活動レポート


これまでプロジェクトは4つの目的を達成するために様々な活動を行ってきました。
その様子を、現地から届いた活動レポートよりお届けさせていただきます。
これからも、面白いレポートがあり次第随時更新していきます!

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現地コミュニティとディスカッションを開催しました!

私達はコミュニティ林管理ユニットであるLembaga Pengelola Hutan Desaとともに、地域コミュニティや政府を対象としたディスカッションを開催しました。村の政府や住民が、森林は自分たちのものであるという意識を高めてもらうことが目的です。森林は彼らの暮らしの源であり、気候変動から彼らを守ってくれ、そして彼らが精神・文化活動の拠り所とする大切な場所だからです。ディスカッションでは、今後は森林を保全しながら、持続可能な方法で活用していくことが確認され、アグロフォレストリーの一環として、森林に植えていきたい植物(竹、イチジクなど)のリストアップも行われました。

また、Jambanganという農家グループとも会合を行い、新しいコラボレーションが始まりました。このメンバーは植樹予定地の近くに土地を持っており、食糧を求めて近くの森林地域に入っていくこともしばしばあります。わたしたちは農家のみなさんは地域の森林再生を最前線に立って進める立場にあり、彼らの役割は植林した木々を育てていくためにとても重要であると考えています。
ミーティングでは、気候変動やその影響がどのように変化しているか、そして手つかずの自然が彼らのようなコミュニティにとっていかに重要であるかを強調しました。この農家グループはこのような森林の持続的な活用を積極的に進めていくことを約束し、これからも、どのように日々森林を育て、将来的に活用していくべきか、ディスカッションを行っていく予定です。

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政府へのアップデート報告を行いました!

プログラムを進めるにあたって、インドネシア政府・バリ政府とは継続的に報告と協議を行っています。彼らは環境・林業省の下にある、社会林業・環境パートナーシップ事務所と流域・森林・土地管理事務所、バリ州の林業局の方々で、“サンゴ礁を守るために森林再生をする”というNyegara Gunungのユニークなアプローチに興味を持っており、彼らのサポートを得られればと考えています。写真は、CIインドネシアのバリオフィスで2018年11月15日に撮影したものです。この話し合いでは、アグン山における森林再生事業の一環である、ドゥク村における社会林業プログラムの進捗についても協議しました。

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環境ジャーナリズムトレーニングを実施しました!

11月中頃に、CI インドネシアとインドネシア環境ジャーナリスト協会は、環境ジャーナリズムトレーニングを実施しました。ジャーナリストたちが環境問題を報道する際のトレーニングを行い、感性を養ってもらうことが目的です。トランベン 、ドゥク、カランガスムを訪問するプログラムを準備しました。

また、わたしたちは、トランベンとドゥクでの保全活動を伝える若いジャーナリストグループの活動も支援しています。その一つはSMA Negeri 3 Denpasarというデンパサールの州立高校に通っている3人の高校生グループです。彼らはアガベの繊維と竹の葉を組み合わせて、防弾ベスト材料を作り上げるプロジェクトを行っています。このプロジェクトはIndonesian Invention and Innovation Promotion Associationから選ばれ、タイの国立研究委員会が主催するイベントで発表することになりました。このイベントは2019年2月2日から6日にかけてタイで行われるもので、わたしたちは彼らのプレゼンテーションをサポートすることになりました!このイベントでは、カランガスムの保全事業の中でアガベがどのように地域社会や保全への役割を果たしているかも説明し、わたしたちのプロジェクトをさらに多くの人に知ってもらうよい機会になると考えています。

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森林再生活動の準備を行いました!

現地の関係者と一緒に、優先して森林の再生を行うべきエリアを特定しました。このエリアは通常11月末ごろから雨季になるのですが、今年は雨季が遅れ、11月末から年末にかけてにわか雨が数回降る程度にとどまりました。雨が少ないため日中は土壌が固く乾燥してしまい、この時期に植樹を行うことはリスクが大きいと判断しましたが、肥料や苗の準備は進められました。

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アガベが成長しています!

この時期は雨がとても少なかったのですが、昨年植えられたアガベは厳しい乾季を経て力強い回復を見せてくれました!葉はほとんど直立の状態にもどり、いくつかは根っ子から若い芽をのぞかせていました。この芽は、根がよく成長しているというサインでもあるため、これからアガベが、将来周りの土壌の浸食を防ぐ役割を担ってくれるだろうと期待しています。

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ビャクダンを育てています!

Legundi Lestari農民グループのビャクダン(白檀)は発芽し、すくすくと成長しています。同様に、半寄生植物であるビャクダンの成長を助ける宿主植物となるトウガラシとマツバボタンもよく成長しています。ビャクダンの苗木は、2018年末に植え付けが行われるまで丁寧に手入れをして育てられていきます。短期間で収穫ができるトウガラシとナスはすでに畑に植えられているそうです。

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『フェスティバル・ペソナ・トランベン2018』開催!

CIインドネシアはトランベン村とカランガセム政府と協力し、『フェスティバル・ペソナ・トランベン2018』を開催しました!ペソナとはインドネシアの言葉で“まじない、魔法”という意味です。このフェスティバルでは、塗り絵イベントや、小中学生向けの読み聞かせなどを行い、114人が参加してくれました!このようなイベントは、自然保全のメッセージを若い世代に広めることができる良い機会となりました。
このフェスティバルでは、ドゥク村の自然素材を活用した商品を紹介するコーナーも設置し、アガベの繊維から作った製品、パームシュガー、カシュ―、地酒などを展示しました。カシュ―やアガベは生態系において大切な植物で、これら植物の繊維の市場や経済的価値が高まることは、生態系のバランスを長く維持していくことにも繋がります。
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現地の動物たちをカメラがとらえました!

バリの森林局の許可を得て、ドゥク村の森林にカメラを設置してきました。その結果、以下のような動物たちが見つかり、森林再生の必要性を再確認することとなりました。

Manis javanica (Sunda Pangolin)マレーセンザンコウ 
マレーセンザンコウは国際自然保護連合の定めるレッドリストで絶滅危惧種(「絶滅寸前」)に分類されています。主な原因は肉や鱗を得るために行われてきた密猟で、特に中国への輸出が目的でした。現地での消費も行われてきました。この種はインドネシア環境森林省の新しい規制においても保護対象となっています。 

Hystrix sp. (Malayan porcupine) マレーヤマアラシ 
夜間に撮影された写真のため、マレーヤマアラシ(Hystric brachyura)かスンダヤマアラシ(Hystric javanica)か特定できませんでしたが、どちらの種もインドネシア政府によって保護対象生物として指定されています。

Prionailurus bengalensis (Leopard Cat) ベンガルヤマネコ 
ベンガルヤマネコはバリなどの特定の地域において、個体数が減少しています。これらの地域では人間の居住地が拡大したために、生息地を失ったベンガルヤマネコが民家の畑に侵入して飼育されている鶏を食べるようになりました。そのため、ベンガルヤマネコは農家の人々に捕獲されてしまう可能性が高くなってしまっているのです。 

Macaca fascicularis (Monyet Kra) カニクイザル 

Chalcophaps indica (Emerald Dove) キンバト 
キンバトは、キラキラしたエメラルドグリーンの羽を持っていて、際立ってきれいなハトです。しかし、インドネシアでは鳥をペットとしてカゴに入れて飼うことは珍しくなく、野生のキンバトは減少しています。 

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アガベから製品を作るトレーニングを行いました!

現地の女性たちを対象としたトレーニングを行いました。彼女たちはアガベという植物から繊維を抽出し、経済的価値が高い製品作りに取り組んでいます。10人の女性がトレーニングに参加したのですが、将来的な収入源になるという希望もあって、新たしいスキルを得ることにとても積極的です。いまのところ、まだ製品をマーケットに出していくには早く、これから改善を重ねていくことが必要です。
(バスケットの作り方を学ぶNi Luh Sasihさん)

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苗木の観察を行っています!

今までのところ、植えられた苗木の生存率は36.6%です。観察データによると、ココナッツの生存率が最も高く、80%ものココナッツの苗木が乾季を乗り越えることができました。次に生存率が高かったのが、パラミツ(Artocarpus camansi)という木で75%、その次がリュウガン(Dimocarpus longan)で64%でした。その他は40%以下の生存率となってしまいました。生存率が低い主な理由は以下の通りです。 

1.水を十分に得られなかったため。3月~11月にはドゥク、トランベンどちらの村でも水が不足していました。5月初めには土地が乾き始め、一方で家庭では雨季の間にためておいた雨水は節約する必要性が生じました。この時期、料理や洗濯といった家事に利用する水ですら節約する必要があり、植物への水やりへの優先順位は低くなりました。水不足は11月まで続き、苗木は約5ヶ月にわたりほぼ水を得られない状態が続きました。例外的に、家庭の庭の、特にキッチン周辺に植えられた苗木は、料理や皿洗いで使った水をそのまま与えることができたため、生存率は高くなりました。 

2.私有地に植えられたため。5月になって草が乾き始めると、人々はヤギや豚など家畜を庭に放すようになります。この時期は農作業ができなくなるため、人々は代わりに現金収入となる仕事をしなければならず、家畜のために草を取ってくる時間を作ることが難しくなります。そうなると、苗木の葉っぱや茎はお腹を空かせた家畜に食べられてしまう可能性が高まります。 

乾燥して砂っぽい地域、特に経済的に貧しいコミュニティにおいて、森林再生を進めていくのは困難な作業です。このように、環境保全の目的と経済活動のニーズの双方が満たされる必要がある地域では、取り組みが起動に乗るまで時間がかかるのは仕方のないことだと言えます。 

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Kebun Bibit Rakyatを紹介します!

Kubun Bibit Rakyatは、現地の農家グループであるLegundi Lestari Indahが育てる苗木のことです。このグループは長い間、自分たちで苗木を育てて、自分たちで選んだ種の植林が進められるようになることを望んできました。苗木づくりは将来の景観回復にもつながることから、わたしたちはLegundi Lestari Indahの苗木づくり活動をサポートしてきました。 現在、このグループではビャクダン(Sandalwood)を育てています。ビャクダンはバリ島と小スンダ列島のいくつかの島の在来植物で、国際自然保護連合の定めるレッドリストで絶滅危惧(「危急」)に分類されています。特にバリ島におけるビャクダンの減少が著しいため、農家グループはその数を増やしていきたいと考えているのです。

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ドゥク村コミュニティ林のプロポーザルについて

CIインドネシアは、Pokja PPS Baliというバリ州の社会林業ワーキンググループのメンバーに入っています。このグループを通じて、CIインドネシアはドゥク村のコミュニティ林申請作業を進めてきました。その中で、社会林業が土地回復やサンゴ礁保全、コミュニティエンパワーメントに貢献する、いわばコミュニティ林のモデル事業を立ち上げることを目指しています。BPDAS HL Unda Anyar(流域と保全林の管理ユニット)はこのプロジェクトと密接に関わっており、ドゥク村のコミュニティ林をnature school(自然の学校)としていく計画を立てています。

ドゥク村が提出したプロポーザルに基づいて、2018年9月21日には、環境・森林省のチームがドゥク村を訪れ、技術的な検証やフィールド調査が行われました。私たちは、雨季が始まる前の10月、11月頃には許可が下り、雨季の間に村の人々と主要エリアでの森林再生活動を始められることを望んでいます。

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プラスチックごみの悪影響について共有しました! @ドゥク村

ドゥク村はゴミ管理のシステムを持っていません。プラスチックごみは近所に散らかっていたり、川に捨てられていたり、各家庭で燃やされてしまっているという状況です。ドゥク村は高地にあるため、管理されていないプラスチックごみは、下流地域の環境にすぐに悪影響を及ぼします。そのため、プラスチックごみが土壌・海・人間の健康に及ぼす影響について、現地のみなさんの意識を高めることはとても重要です。わたしたちは現地のこども達にメッセージを届け、プラスチックごみゼロのキャンペーンに前向きなこども達を集めてグループを作るところから始めました。

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ドゥク村コミュニティ林の登録の支援をしました!

ドゥク村は保護林の西側に隣接している1900ヘクタールほどの地域です。そのため、この森林は現地のコミュニティにとってだけではなく、土壌・水・生物多様性など地域の生態系保全にとっても重要な役割を担っています。 インドネシア政府の環境・林業省がこの森林を管理しているのですが、1963年のアグン山の噴火や2000年代に発生した森林火災などの過去の影響により、現在森林の被覆率は50%程度しかありません。気候が乾燥していて、表土もほこりっぽいため、この地域の木は本来成長速度が遅いです。しかし、森林で覆われた面積を増やしていくことは、土壌や水源の保全において重要で、また暑く乾燥した気候を和らげ、気候変動の備えともなります。 森林再生は必要ですが、政府に頼っていると、プロセスが長く進捗が遅くなります。理想としては、村で森林を管理することで、森林資源を保全すると同時に、その恩恵を村のコミュニティが直接受け取れるような仕組みを作り上げることです。現在ドゥク村では、社会林業プログラム(Program Perhutanan Sosial)を通じてコミュニティ林として登録し、森林の一部をコミュニティが保全管理して、コミュニティの生活向上のために活用できるよう申請しています。CIインドネシアは村の人々と協働して、調査・地図作成、行政手続き、東バリ森林管理ユニットとの協議など行い、申請の準備を進めています。

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アガベの繊維を使った製品づくりのトレーニングをしました!

アガベ(サイザルアサ)は、トゲのある植物で成長が早く、乾燥している東部地域およびバリ島北部で育ちます。以前はドゥク村ではよく見られる植物だったのですが、農地に侵食するのを防ぐために、10年ほど前に刈り取ってしまった経緯があります。 CIインドネシアは、この土地の生態系において、アガベが重要な役割を担うと考えています。アガベは乾燥した気候で育ち、砂っぽく養分の乏しい土地にも適応し、また根は土壌をしっかり固定するため土壌侵食を防ぎます。そのため、アガベは3月から10月にかけて乾燥するドゥク村の気候条件に適しており、比較的勾配が急なドゥク村の土地保全においても非常に重要となるのです。

コミュニティの人々がアガベを伐採せずに、アガベをもっと植えるように促す方法の一つは、アガベの経済価値を上げることです。CIインドネシアは7月25日から29日にかけて、現地の人たちを対象としたトレーニングを行いました。アガベの繊維を、ランタンやランプシェード、キッチンマットなどを作るためのロープにするトレーニングです。このトレーニングに参加し、さらに継続の意欲がある人のほとんどが女性であり、このコミュニティにおける女性のエンパワーメントを推進しています。このトレーニングを通じて、参加者は5キロの繊維を約1000メートルのロープにしました。これは、ひとりで一時間当たり7.5mのロープを作った計算になります。さらに練習を積むことで、スピードを上げていくことでしょう。

(写真:慣習的な方法を用いてアガベの繊維を紡いでロープにするトレーニングを受けている現地女性の様子 )

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現地の子供たちへの教育活動

子ども達こそ、持続可能な保全活動を進めていく真の力を持っていると考え、CIインドネシアはドゥク村で子どもを対象とした教育プログラムを開始しました。バリの有名な漫画家であるAgus Arya Mahendraさんの協力を得て、子ども向けの保全活動に関するコミックを作成しました。CIのスタッフが原稿を書いたものを、絵でわかりやすく表現してもらいました。

コミックは現在第2章まで出来ています。1章目は『バリ島における水の現実』で、バリでどれほどの水が利用できるのか説明し、近い将来生じる可能性のある水をめぐる危機とその原因を描いています。2章目は『バリ島の文化における水』で、バリ文化における水源やその周りの生態系の価値について描き、それらが現在十分機能していないこと、環境を修復していく必要があることを訴えています。3章目は現在作成中で、Ridge to Reefアプローチによる保全活動と、アグン山の森林再生プロジェクトの必要性を伝える内容となる予定です。 

現地アーティストAgus Arya Mahendra氏が子どもたちに教える様子

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土壌沈下の予測を行いました!

Ridge-to-Reefアプローチを効果的に実施するためには、土壌侵食・土壌沈下のインパクトを理解しておく必要があります。これは、上流での森林再生計画の効果を計算するためです。土壌沈下率を知るために、GISデータとRUSLEという方法を用いて、年間の浸食量の推定を行いました。

降水量、土壌侵食の受けやすさ(受食性)、土壌の傾斜角度や長さ、土地の被覆度、保全活動の実施データやGISデータを用いながら、マップを完成させました。わたしたちの分析では、トランベンには、土壌浸食率が高いと考えられる地域が4か所あり、そのうちの2つがトランベン海洋保全地域の端に位置していることが分かりました。暫定的に設定した再生林地域とアガベ植林によるインパクトの推定値から、トランベン海洋保全地域に流れ込む2つの流域の侵食率は約15%下げることができる計算になります。しかし、現在提案されている再植林地は、より侵食が著しい海洋保全地域の東部エリアは含まれていません(下図参照)。 

土壌侵食を減らすために、①森林再生の地域を南東方面に拡大する、②アガベなど土壌に根を張る木を植林することで、森林被覆率を高める、③浸食率が高い流域においては、テラス状にするなどの技術導入を検討する、という3つの方法を提案します。