アジア太平洋の大地と海は、ヒマラヤの山々からニュージーランドの海岸まで広がっています。この地域には世界の先住民族の約70%が暮らし、豊かな生態系を受け継ぎ守っています。
地球最大でもっとも深い太平洋は、地表の3割以上を覆い、世界でもっとも多様な海洋生物を育む海です。世界の漁獲の約4分の3がここからもたらされています。さらにこの地域には、世界の熱帯雨林の半分や、炭素を豊かにたくわえるマングローブ林が広がり、多彩な陸の自然が息づいています。こうした豊かな自然は、何十億もの人びとの暮らしと経済を支え、そして気候の安定にも欠かせない存在です。コンサベーション・インターナショナルは、この自然を未来へと守り継ぐための計画を進めています。
私たちの取り組み
コンサベーション・インターナショナルは、アジア太平洋地域で30年以上にわたり、自然を守り、再生し、活動資金を提供し、保全の取り組みを広げてきました。現場での活動と、科学・政策・金融の革新的な取り組みを組み合わせながら、自然が人びとにもたらすかけがえのない恵みを守ることを目指しています。環境保護と経済活動を結びつけ、大規模で持続可能な保全モデルをつくり、地域のコミュニティに具体的な成果を届けます。
私たちの願いはシンプルです。海や森林、そして多様な自然の生態系をも守ることで、人びとの暮らしをより豊かにすることです。
そのために、先住民族のコミュニティから政府、支援者まで、さまざまなパートナーと手を取り合いながら、人や野生生物、そして地球の気候の安定に欠かせない生態系を守り、再生するための自然に寄り添った解決策を提供しています。
活動地域
脅威
アジアは世界でももっとも森林が減少し、生息地が劣化し、汚染や種の絶滅のリスクが高い地域です。
太平洋諸島地域は世界最大級の漁業市場で、世界のマグロ漁の3分の1が行われています。同時に、乱獲による種の絶滅のリスクももっとも高い地域です。
世界の人口増加の60%はアジアで起こっており、過去65年間で人口は3倍に増加しました。
1989年から、コンサベーション・インターナショナルはアジア太平洋地域で活動を始めました。この地域には、スマトラ島やボルネオ島を含む「スンダランド」、フィリピン、そして日本を含む、合計15の生物多様性ホットスポットが存在します。私たちは、海洋や森林といった、人びとの暮らしに欠かせない生態系の保護を中心に、活動を地域全体へと広げています。
食料安全保障への取り組みや、活動資金の革新的な調達、重要な生態系を網羅する保護ネットワークの確立も支援しています。アジア太平洋12カ国のオフィスを拠点に、先住民コミュニティや地方・国家政府、民間セクターと協働しながら、人びとが依存する自然の恵みを守る活動を進めています。
重点分野
気候変動の最悪の影響を避けるには、2030年までに世界の気温上昇を1.5℃未満に抑える必要があります。自然生態系が蓄える炭素は、この課題解決の少なくとも30%を担うことができます。アジア太平洋地域では、フィリピンのマングローブ林やメコン川流域の原生林など、炭素を豊富に蓄える生態系の回復を通じて、気候変動の緩和に取り組んでいます。
海は人びとに収入や食料をもたらし、天候を調整し、二酸化炭素を吸収する役割を担っています。しかし、今まさに脅威にさらされています。アジア太平洋地域には、ニューカレドニアの世界で2番目に大きな海洋公園をはじめとする海洋保護区が広がっており、CIはこうしたネットワークの構築を支援しています。
カンボジアでは地域コミュニティと協力し、効率的な水産加工のトレーニングを行い、フィリピンでは有害な焼畑農法の転換を支援しています。天然資源への負担を減らしながら、生活の質を高め、地域にもたらされる経済的恩恵を最大化することで、持続可能な漁業管理や農業を促進しています。
現地プロジェクト
西パプア州政府は、同州をインドネシア初の「自然保護州」とする法案を承認しました。コンサベーション・インターナショナルは、健全な海洋や陸域生態系を守るため、州政府に助言を行い、保護法の制定を支援しました。
コンサベーション・インターナショナルは、太平洋諸島で30年近く活動してきました。海洋保全や気候変動対策、自然に基づく開発、革新的な資金調達のための技術支援を通じて、太平洋地域では総面積400万平方キロメートル以上の海が保護されています。
東南アジアのメコン川では、コンサベーション・インターナショナルが政府や地域コミュニティと協力し、水源となる森林や湿地の保護、森林劣化の影響軽減、漁業管理の改善に取り組み、淡水資源の健全性を守っています。
1991年以降、コンサベーション・インターナショナルはインドネシアの地域コミュニティや政府と連携し、重要な生態系を守りながら、自然を基盤とした持続可能な開発を推進しています。
1995年以来、フィリピンではマングローブの保全と回復に取り組んできました。ブルーカーボンの価値を貨幣化する試みや、保険会社との協働により、地域コミュニティが主体となってマングローブの保護を持続できる仕組みを整えています。
東ティモールでは、自然を基盤とした持続可能な開発モデルの構築を支援しています。アタウロ島では、地域コミュニティと協力して12の海洋保護区を統合し、保護活動の強化と地元への利益還元を進めることで、食料安全保障や生活向上、気候変動の緩和を目指しています。
マンタは、持続的に管理することで地域社会に経済的なライフラインを提供できる貴重な海洋生物です。コンサベーション・インターナショナルは、革新的な技術と政府や関係者との協議を通じ、マンタの生息環境の保護と繁栄の維持に取り組んでいます。