インターナショナル・ブルーカーボン・インスティテュート(IBCI)

専門人材の育成と国際協力を通じて、ブルーカーボンで気候変動に挑む

 

IBCIについて

 

マングローブ、塩性湿地、海草藻場からなる沿岸湿地は、気候変動の緩和と適応において極めて重要な役割を果たしています。これらの生態系が保護または再生されると、植物だけでなく、その下に蓄積された堆積物や土壌にも多くの炭素を隔離・貯蔵することができ、この組み合わせは「ブルーカーボン」として知られています。さらに、これらの生態系は、海洋の生物多様性を育み、高潮、洪水、浸食、海面上昇などから沿岸地域を守るうえでも重要な価値を持っています。

インターナショナル・ブルーカーボン・インスティテュート(IBCI)は、気候変動への対応、生物多様性の保全、脅威にさらされている沿岸地域の支援に向けて、ブルーカーボンの可能性を最大限に引き出すための科学と支援体制の発展を推進しています。IBCIは、各国政府、科学者、団体、地域コミュニティと連携し、ブルーカーボン生態系に関する効果的な政策、資金調達、実施戦略の策定と実行を支援します。

 

私たちの役割

© THUNCHANOK THAMMASANYA

研究と実践の推進

IBCIは、ブルーカーボンに関する研究と実践の分野における専門知識、知見、学びを共有するための世界的なハブとして機能しています。最先端の科学を実用的なツールや手法に変換し、気候変動対策にブルーカーボンの力を活用するうえで重要な役割を果たしています。

過去数十年にわたり、コンサベーション・インターナショナルは、各国政府、研究機関、NGO、沿岸地域のコミュニティと緊密に連携しながら、ブルーカーボンに関する科学と実践をリードしてきました。

現在では、IBCIを通じて、さまざまな国々と協力し、ブルーカーボンを国際・地域・地方レベルの気候変動緩和政策や取り組みに統合する活動を拡大しています。

2024年には、ブルーカーボンに関する科学、イノベーション、実践的な解決策の推進を目的としたフェローシップ・プログラムを設立しました。このフェローシップは、ブルーカーボン生態系の保護・再生・保全を世界規模で拡大するための能力構築を目指しています。

 

 
© Konservasi Indonesia/photo by Prastiano Septiawan

ブルーカーボンのハブとして

IBCIはシンガポールに拠点を置き、シンガポール経済開発庁、アマゾン、その他の支援団体からの支援を受けています。この戦略的な立地により、世界のマングローブの3分の1以上、海草の40%以上が存在する東南アジアおよび太平洋諸島地域への支援に注力することができます。この地域では、マングローブの大規模な減少も確認されており、ブルーカーボンの主要な供給源を守ることが極めて重要です。

さらに、東南アジアおよび太平洋諸島の沿岸地域は、頻発する激しい嵐や海面上昇の影響を受けやすい地域でもあります。ブルーカーボン生態系は、気候変動の影響から地域社会を守ると同時に、淡水の供給、生物多様性の支援、その他の自然の恩恵ももたらします。

IBCIは、新たなパートナーシップを築き、その専門知識を活かすことによって、カリブ海、アフリカ、ラテンアメリカなどの地域におけるブルーカーボンの取り組みの世界的な展開も支援しています。

 

 
 

私たちの計画


IBCIのすべてのプログラムと活動の中心には、次世代のブルーカーボン分野における科学者、イノベーター、政策立案者、そして実務者を育成するという強い使命があります。そのために、資金へのアクセス、ネットワーキングの機会、研修、メンターシップなどを提供しています。

IBCIは、研究、ツールの開発、人材育成、そして世界中の実務者ネットワークを通じて、ブルーカーボンのグローバルな実践を加速させています。これらの取り組みは、次の3つの柱を軸に展開しています。

イノベーション


最先端の科学を、気候緩和と適応に活用できるツールや手法へと応用するために国際的なリーダーシップを発揮します。

専門人材の育成


アジア太平洋地域および世界各地において、ブルーカーボンに関する質の高い研究、設計、実施、検証を行うための学際的な能力を育成します。

ネットワーキング


ブルーカーボンに関する専門知識、情報、学びを共有するための、世界的な知識とリソースのハブを構築します。