ブルーカーボン

気候のために沿岸の自然を守る


ブルーカーボンとは?


マングローブや海草藻場、塩湿地などの沿岸生態系は、大気や海水から二酸化炭素を取り込み、海底の堆積物に蓄えます。このように沿岸生態系に貯蔵される炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれています。

沿岸生態系は、地球上でもっとも多くの炭素を蓄える生態系のひとつですが、劣化や破壊が進むと、蓄えられた炭素は二酸化炭素として放出され、気候変動を加速させます。現在、沿岸生態系は急速に減少しており、もっとも脅威にさらされている生態系の一つとされています。

We break down “blue carbon,” a term you may not have heard of but which has immense importance for curbing climate change. LEARN MORE: https://www.conservation.org/blog/what-on-earth-is-blue-carbon

政府への働きかけ

私たちは地方政府や中央政府と協力し、沿岸と海洋に関する政策や管理の改善を推進しています。沿岸生態系が長期にわたり確実に守られるように働きかけるとともに、国際・国内・地域レベルの気候変動緩和策に沿岸生態系の価値が組み込まれるよう取り組んでいます。

沿岸地域の炭素の保全

沿岸生態系に蓄えられた炭素の価値は、保全・再生プログラムに徐々に反映されつつあります。CIは現地プロジェクトでベストプラクティスを開発・実践し、沿岸地域の保全を加速化させています。さらに、世界中の専門家と協力して、現場で活用できる基準や方法の整備も進めています。

能力の向上

沿岸生態系を長期間にわたり健全に維持するには、コミュニティや政府がその価値を理解し、保全能力を育むことが不可欠です。CIはパートナーとともにブルーカーボンの取り組みを支える次世代の専門家や政策決定者を育成するため、グローバルな専門家ネットワークを構築しています。

これまでの成果

私たちはコスタリカ、エクアドル、インドネシア、フィリピンなどで中央政府と協力し、ブルーカーボンを蓄える沿岸生態系を保全する政策策定やプロジェクトの実施を支援してきました。

 

ブルーカーボンを蓄える生態系の保全は、気候変動対策に欠かせません。緩和策と適応策の両方で重要な役割を果たすからです。 

エミリー・ピジョン(CI戦略的海洋イニシアティブ、シニア・ディレクター)

 

Gulf of Nicoya, Costa Rica
© CI/photo by Ashton Jones

コスタリカ・ニコヤ湾のブルーカーボン

コンサベーション・インターナショナルは、コスタリカのニコヤ湾で、多様なマングローブ生態系の保護に取り組んでいます。ニコヤ湾のマングローブ林は、魚の生息地として欠かせないだけでなく、6千人を超える漁師の所得を支え、地域コミュニティの主要な食料源として100年以上にわたり利用されてきました。

さらに、マングローブは水質の維持や海岸の浸食防止、堆積物の混入抑制にも重要な役割を果たしています。しかし、沿岸林の劣化や減少が進み、地元経済に影響をおよぼすとともに、温室効果ガスの排出を招いています。

現在はマングローブの回復と保全を通じ、生態系の復元に力を入れています。地元の学校やコミュニティと連携し、健全なマングローブの重要性や、気候変動への適応と炭素排出削減への効果を伝える活動も行っています。

 

国際ブルーカーボン・イニシアティブ

「国際ブルーカーボン・イニシアティブ」は、コンサベーション・インターナショナルがIUCN、UNESCOと連携して立ち上げた取り組みです。沿岸生態系の保全と回復を通じて、地球規模で気候変動の緩和を進めることを目的としています。科学、政策、現場の協力を統合し、各国政府や専門家とともに実践的なプログラムを推進しています。

  • 科学と政策に関する国際的な作業グループの調整
  • ブルーカーボンを国際政策に統合するための支援
  • インドネシア、フィリピン、エクアドル、コスタリカなどでの中央政府との協働
  • 炭素量の測定・モニタリングに関する優先的研究の特定と実施
  • 沿岸生態系を守り、炭素を隔離・貯留するための管理手法の開発