2019年のアマゾン森林火災に関するニュースは世界中で取り上げられましたが、これにはさらなる事実があります。
コンサベーション・インターナショナルの分析から、どこで火災が発生し、なぜそれが問題であるのかが明らかにされつつあります。
*NASA MODIS AquaとMODIS Terra人工衛星により、30%以上の信頼度で検知された火災のモニタリングデータ。過去48時間に発生したところは、赤、過去7日間に発生したところはオレンジ、そして今回2019年7月1日以降の発生しているところは黄色で表されている。保護区、また、先住民の土地、森林被覆を見るには、左上のメニューから選択。保護区データソースはこちら。
さらなる事実
2019年の8月は、この5年間で最も
森林火災が深刻な月の一つだった
アマゾンの「火災シーズン」は、一般的にこの地域の農家が農作物を育てるために土地を焼き払う7月から始まります。火は、熱帯林を焼き払うのに主に使われる手段です。乾季には、農業目的の火は制御できないほど大きくなり、森林破壊や森林劣化を引き起こしています。
アマゾンではより深刻な年が以前もあった
半分以上の火災が森林内あるいは付近で発生している
ほとんどの火災(2)は保護区や先住民の居住地以外の場所で起こっている
ブラジルでは、法定アマゾン地域(3)保護区や先住民の土地の外での森林伐採が近年増えている
公有地では、ほとんどの森林伐採が農村集落や公有財産で発生しています。地球上で最も優れた自然管理者のグループである先住民は、周囲の自然、自分たちの生活への新しい脅威をモニタリングするのに必要なデータや技術、資源へのタイムリーで一貫したアクセスを持っていないことが多くあります。CIの「先住民主導の土地管理のための地球観測(Earth Observations for Indigenous-led Land Management:EO4IM)」は、地元住民が土地の状態をモニタリングし、保全や土地管理について、彼らの知見にもとづいた判断を下せるようサポートするために、地理空間ツールの技術的な能力開発トレーニングを実施しています。
大豆と牛肉のともにブラジルの火事頻発地域で生産されている。それは国内外の需要に左右される。
ブラジルは大豆生産で世界をリードしており、さらに世界最大の牛肉輸出国でもあります。トレイス(Trase)データを見ると、牛肉や大豆の輸入国や企業のサプライチェーンを追跡し、2019年の火災発生率が最も高かった50か所のアマゾンの地方自治体において、購買のパターンを突き止めることができます(4)。中国(メインランド)、EU、ブラジルが、火災が頻発する地域から大豆を購入する主な国です。そして中国(香港)、エジプト、ロシアが、火災が頻発する地域から牛肉を購入する主な国ですが、ほとんどの牛肉はブラジル国内で消費されています。
Created with Esri and Logi Analytics.
ティッピングポイント(転換点)
保護区と先住民の土地は、このきわめて重要な自然生態系を救うカギとなります。アマゾンの熱帯林は、最大で20%の地域がすでに破壊されており、科学者は、これがもし25%~30%に到達した場合、生物圏全体が永遠に改変され、気候状況に世界的な影響をを及ぼすと予想しています。「ファイヤーキャスト(災害予測)」のないところに煙は立たぬ
※注釈
(1) アマゾンの農業森林の辺縁部は、隣接する森林及び農業用地の広大な土地をまたぐ約1キロのバッファー区域である。ここは、熱帯林が土地劣化や乾燥により死滅しつつある重要なエリアで、かつ極めて高い頻度で火災が起こる地域でもある。
(2) 衛星により検出された火災の正確な場所は不明確なことから、保護区やIPエリア内の火災と、境界の両側から50メートル以内で起こる火災(本部記事ミス-thatが二つ)を確実に区別するために、1キロのバッファーを採用。この辺縁区域を「保護区とIPLC正確性バッファー」と呼ぶ。(火災検知の正確性について)
(3) ブラジルの法定アマゾン(Amazônia Legal)は、ブラジル最大の社会地理区域であり、アマゾン流域の9州全てを含んでいる。これはブラジルの59%の面積を覆う正式な地域の名称であるが、ここにはブラジルの人口の12.34%しか居住していない。この地方は法的アマゾンと呼ばれているが、3つの異なる生物圏と重なっている:ブラジルのアマゾン生物圏全域と、セラード生物圏の37%と、40%のパンタナル生物圏である。
(4) ブラジルの大豆及び牛肉の体積についての2017年のトレイスのデータセット・2019年の火災と比較。