国連 気候変動会議 2022

UNFCCC-COP27へ向けた政策提言

 

2022年11月、エジプトのシャルム・エル・シェイクにて開催される国連の気候変動会議(COP27)は、パリ協定の目標達成に向け、気候変動に関する世界的野心の向上と各国の行動の加速を目指して、約200カ国の代表が集まります。

» 気候変動枠組み条約締約国会議(UNFCCC COP27)2022年11月6日-18日 エジプト、シャルム・エル・シェイク

 

 

【サイドイベント情報】東アフリカ共同体とサブサハラ・アフリカにおけるレジリエンスの構築「課題と可能性について」

  • 日時:11月11日(金)4:45pm-6:15pm (エジプト標準時間)
  • 会場:シャルム・エル・シェイク国際コンベンションセンター Room 9 (COP27会場)

本イベントでは、東アフリカ共同体、そして、一般的なサブサハラ・アフリカ地域が、気候変動に適応するために「自然を基にした解決策」をどのように実施しているかご紹介します。そして、それらの対策へ資金を調達する機会と、その課題に焦点を当てます。さらに、地元の知識を活用し、気候適応に関連したアクションについてリーダーシップを発揮するためのアイデアについてもお話します。

スピーカー東アフリカ共同体、アフリカ研究・影響ネットワーク、フランクフルト大学・UNEP共同研究センター、コンサベーション・インターナショナル、アフリカ適応研究同盟、国際開発研究センター、東・南部アフリカの政府代表者らが登壇予定です。

詳細にご関心のある方は、CI適応戦略ディレクター、ジャコモ・フェデレまでお問い合わせ下さい。 gfedele@conservation.org.

 

 

国連気候変動枠組条約締約国会議

UNFCCCウェブサイト »

締約国会議(COP)とは、1992年に合意された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の締約国による年次会議のことです。エジプト・シャルム・エル・シェイクで開催される今年の会議は、気候変動問題の解決を目指して各国の代表が集まる、第27回目のCOPとなります。

国連気候サミットにおいて、コンサベーション・インターナショナルは、気候変動問題の解決策として、森林やマングローブ、泥炭地の保護など、「自然を基にした解決策」を積極的に推進します。自然の果たす役割を強調し、地球温暖化の抑制と地域社会の気候変動への適応能力双方を支援することに重点を置いています。

エジプト、シャルム・エル・シェイクで開催されるCOP27でのパリ協定交渉において、コンサベーション・インターナショナルは、今年ドイツ、ボンで開催された中間交渉の勢いに弾みをつけ、各国が自然を基にした気候変動対策を加速させるための支援とインセンティブを提供できるよう働きかける予定です。自然保護を基ににした気候解決策は、パリ協定の第6条として知られる、国際協力アプローチの残りの実施指針に含まれなければならず、また気候変動への対処における農業と海洋の役割に関する議論にも含まれなければなりません。コンサベーション・インターナショナルは、パリ協定の目標達成に向けた進捗状況を評価するために進行中の「グローバル・ストックテイク・プロセス」において、自然の重要な役割をどのようにとらえるかについて提言を行う予定です。COP27はまた、気候変動への適応、気候正義、資金調達、説明責任に関する重要な議論の場となる予定です。コンサベーション・インターナショナルは、交渉会場の内外でこれらの問題に対する行動を喚起するために、様々なセクターを代表するパートナーと協力しています。

パリ協定の目標達成に不可欠な自然由来の解決策は、各国に気候変動への野心を高める機会を提供します。それらは、各国の国別貢献の一部となり、パリ協定のメカニズムを補完するものでなければなりません。気候変動を緩和し、その影響に地域コミュニティが適応できるよう、自然の潜在能力を最大限に活用することは、パリ協定の成功に不可欠です。


私たちのアプローチ

パリ協定の目標を達成するためには、自然を保護することがとても重要です。森林や湿地帯などの自然生態系の保護、持続可能な管理、再生は、平均気温の上昇を摂氏1.5度に抑えるために必要な世界の行動の少なくとも30パーセントを提供することができるのです。しかし、自然保護活動は現在、世界の気候変動資金のわずか3%しか受け取っていません。

自然は、最も効果的で費用対効果の高い気候変動対策です。
国連の調査によると、①森林やその他の生態系の破壊を減らすこと、②生態系を回復すること、③農場などの作業土地の管理を改善すること、の3つの行動が、気候変動の原因となる炭素を削減する最も効果的な戦略の上位5つに含まれていることが分かっています。また、世界の発展のためのロードマップとして2015年に制定された17の目標からなる「持続可能な開発目標(SDGs)」の大半を達成するためにも、自然の保護と再生が必要です。

自然保護は、世界中の何十億もの人々の生活を直接的かつ物質的に向上させることができます。世界の陸域炭素の約4分の1を含む土地の「管理者」である先住民族や地域コミュニティは、気候変動問題の最前線にいます。これらの関係者の重要性を認識するため、CIは、先住民族と地域社会を支えるために資金調達やトレーニング、技術提供を実施し、自然を保護することで彼らの生活も守ることができるよう、彼らの土地の権利確保を支援する活動も行っています。

CIは、「自然気候ソリューション(Natural Climate Solutions)」を大規模に実施するための政策提言、科学的モデル、ツール、資金調達プラットフォームを提供し、各国がパリ協定の目標を達成できるよう支援しています。私たちは、気候変動問題への取り組みに自然の貢献が最大化された世界の構築を目指しています。つまり、「自然気候ソリューション」は、気候変動を緩和するためにその可能性を最大限に発揮することができ、また、気候変動による現在および将来の影響に対して脆弱な人々がそれらに適応するのを生態系が十分に支えることのできる場所で展開されるのです。

 

今年は、各国がパリ協定達成のための目標である国別貢献の実施を加速させ、国際社会がさらなる技術的・財政的支援を行うべき重要な年です。一部の国は、気候変動との戦いの野心を高めるための前向きな一歩を踏み出し、支援実施の約束もしていますが、気候変動の最も危険な影響を防ぎ、コミュニティがそれに適応できるようにするためには、さらなる行動が必要とされています。


政策提言

 

CIポジションペーパーリンク  English


<プレスコンタクト>

ジェシカ・ブラウン, メディアリレーションズ ディレクター
jbrown@conservation.org

磯部 麻子、CIジャパン 広報担当
aisobe@conservation.org

 

コンサベーション・インターナショナルは、地球規模で行う気候変動対策の一環として、重要な生態系を回復し、保護するために、政策決定者に科学的知見を提供しています。COP27において、各国に提言しているCIのメッセージは以下の通りです。

■ パリ協定第6条の協力的なメカニズムを通じて、気候変動に関する目標の実現および資金を調達する効率性を高めること

  • 交渉では、第6条の運用に向けた主要な未解決問題に焦点を当て、第6条2項および第6条4項の下の排出回避のための作業計画がそのマンデートに沿った狭い範囲を維持するよう確保する必要がある。
  • 野心的な緩和対策の行動に対してインセンティブを与えるため、第6条2項または第6条4項下の市場ベース手法および第6条8項下での非市場ベース手法は、厳格な環境性および社会的整合性を備えた「自然を基にした気候変動対策(Nature-based Solutions:NbS)」を加速する必要がある。
  • 締約国は、第6条の運用と「地域社会および先住民プラットフォーム」のリンケージに関する議論において、クレームに対処する独立したメカニズムのような形で先住民および地域コミュニティを参加させるべきである。

 

■ 農業部門においてネイチャーポジティブな気候変動対策を加速させること

  • 締約国は、パリ協定の実現と緩和と適応の目標を達成するために、「農業に関するコロニビア共同作業(Koronivia Joint Work on Agriculture:KJWA)」の次のフェーズを開発し、合意した内容と喫緊に必要な変革的行動の必要性に焦点を当てるべきである。
  • COP27において、KJWAの次のフェーズは、すべての人のための食糧安全保障と尊厳ある生活を確保しつつ、農業セクターのレジリエンスを高め、排出を削減するための解決策への支援の実施と提供を推進することを、新たなマンデートと共に具体化すべきである。また、持続可能な土地管理におけるNBSの重要な役割に特に焦点を当てるとともに、先住民族の権利を明確に認識することも含めるべきである。

 

■ 先住民族の気候政策プロセスへの包括的かつ効果的な参加をより確実にするため、「地域社会・先住民プラットフォーム(Local Communities and Indigenous Peoples Platform :LCIPP)」 の機能を強化すること
  • 締約国は、LCIPPの活動について、特に国家気候政策計画プロセスへの先住民及び地域社会(IPLC)の参加を改善することを目的とした活動において、政府関係者の有意義な参加を増加させるべきである。
  • 第2次3カ年作業計画の実施により、LCIPPの全ての機能が満たされるようにし、全ての関連議題項目へのIPLCの参加を促進することにより、気候交渉との連携を改善できる。

 

■ 海洋と気候のネクサス(相関性)に関する緊急行動の構築と強化を継続すること

  • 各国は、関連するすべてのUNFCCCのプロセスおよび交渉において、沿岸および海洋のNbSを取り入れ、前進させるよう求めるべきである。これらには、資金、科学、緩和、適応、グローバル・ストックテイク(GST) プロセスに関連した、進行中の交渉が含まれる。
  • 詳細は Options for strengthening action on ocean and coasts under the UNFCCC 

■ グローバル・ストックテイク(GST)で、パリ協定の目標実現における自然の重要な役割を完全に反映させること

  • GST技術会議の参加者は、GSTにおけるNbSの確実な検討を確保するため、NbS実施のための資金アクセス、能力開発、技術移転を含めたNbSに関する質の高いインプットを包括的に取り入れるべきである。
  • 締約国は、GSTの成果に自然を完全に含める方法を明示的に議論する必要がある。

 

ネイチャー ゾーン パビリオン

コンサベーション・インターナショナルは、20以上の団体とともに、COP27の会場で「ネイチャーゾーン・パビリオン」を共同主催しています。この共同イベントスペースは、気候変動と生物多様性どちらの危機にも対処するためには「自然」が不可欠であること、また、自然を基盤とした完成度の高いソリューションは、大気中から炭素を取り除くための”最もスマートでコスト効率の高い”アプローチの一つであるという信念のもとに、人間中心で自然を肯定する未来への機運を高めることを目的としています。

自然は、地域コミュニティの生活を強化し支えながら、ネットゼロ目標や気候・生態系の回復力・適応力に大きく貢献することができます。ネイチャー・ゾーンのパートナーには、ネイチャー4クライメート(N4C)、国連気候変動チャンピオンズ、グローバル・コモンズ・アライアンス(GCA)、ネイチャー・コンサーバンシー、ブルームバーグ・フィランスロピー、ナショナルジオグラフィック協会、クライメイト・プレッジ、環境防衛基金、野生動物保護協会(WCS)、ピュー・チャリタブル・トラスト、クラウザーラボ、レストア、持続可能な開発のための世界ビジネス会議(WBCS)、アメリカン・フォレスト、WWFインターナショナル、世界資源研究所(WRI)が含まれています。

ネイチャーゾーンのイベントプログラムでは、気候変動に関する議論の中心に自然を据えることの重要性を紹介する予定です。プログラムの詳細は近日中に公開されます。炭素市場、利益主導型の森林破壊の終結、土地利用の持続可能なアプローチ、自然のための新しい技術の進歩など、気候変動に関する公約を行動に移すための課題と機会に関するセッションが、11月6日から18日まで、ブルーゾーン内のネイチャーゾーン・パビリオンで開催されます。