マンタの潜水深度の世界記録が明らかに

3月 20, 2020

マンタの生態行動に関する新たな研究結果は、マンタの群れの沖合沿岸水域も保全地域に含まれる必要があることを強調

 

ヌメア・ニューカレドニア(2020年3月19日)-世界的に絶滅危急種であるマンタの潜水行動に関するデータがニューカレドニアで初めて収集され、これまで知られてきた潜水範囲を大幅に上回ることがわかりました。

 
PLOS Oneジャーナルで発表されたこの研究結果は、ニューカレドニア大学、ラグーン水族館、マンタ・トラスト、コンサベーション・インターナショナル(以下CI)の共同研究によるものです。マンタの行動を記録できる衛星タグを用いて、ニューカレドニア海域に生息する9匹のマンタの行動を調査しました。9匹すべてのマンタにおいて、定期的に300メートル超の潜水が記録された一方で、6匹のマンタは450メートル程度の深さまで潜ることが確認され、これまで記録された紅海に生育するマンタの432メートルを更新しました。今回最も深い水深記録が確認された2.4メートル幅のメスの潜水は624メートルを記録し、3メートル幅のオスは、これまでの世界記録を200メートル以上更新した、最大深さ672メートルを記録しました。
 
マンタは、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで、「危急種(絶滅の危険性が高い)」とされています。ニューカレドニアにおける個体数は、問題ないように見えますが、一部の国では、特にマンタを狙った漁と混獲漁業により、最大80%の個体減少が記録されています。この新しいデータは、重要な漁業活動が行われている外洋地域の近くで記録されたマンタ個体群の保護活動に特に重要な示唆を提供します。
 
「マンタを保護するために設計された海洋保護区は、通常、沿岸地域とサンゴ礁地域に焦点を当てており、より深い沖合の海域にはめったに広がりません。 この新しい研究結果では、リーフマンタがこれらのより深い水域にも定期的に存在していることを示しています。このような海域には、クジラ、サメ、カメなど他の大型種も存在しており、それらもまた脆弱な環境下にあります。彼らのような海のシンボル的な種が失われないようにするために、より広い海洋生物の生息地を保全プログラムに含める必要があります。」CIニューカレドニアプログラム カントリーディレクター、フランソワ・トロン
 
「ニューカレドニアのマンタ個体数は捕獲対象とされていないため、他の地域のマンタが直面しているような、漁業やその他の圧力がない環境下におけるマンタの生態を理解する機会を与えてくれます。 調査結果は、特に捕獲と漁業によるネガティブな相互作用が一般的である場合、世界中の他の個体群の生息回復に役立つ可能性があります。マンタは、ニューカレドニアの先住民であるカナック族を含む太平洋諸島の人々にとって、非常に強力な文化的価値を持っています。地元のカナックコミュニティに環境への意識を高め、そして持続可能な方法で管理することができれば、より広い範囲で観光業に利益をもたらすことが期待できます。」ニューカレドニア大学、応用化学研究所主筆 ユーゴ・ラゾス
 
ニューカレドニアでは、マンタはそれほど脅かされていないように見えますが、ニューカレドニアで起こっている土壌の侵食は、海に土壌が流れ込むことにより、エラ呼吸であるマンタや、サンゴ礁の生息に影響を与える可能性があります。今だ管理が不十分な観光業も、海の生物に影響を与える可能性があります。 土地の劣化がこのまま続き、生き物たちの生息地の観光需要が増加するにつれて、特にマンタの集合場所の特定と持続可能な環境管理は必要不可欠です。
 
CIは、マンタに関する知識を世界規模で増やし、マンタの生態と保全のニーズをよりよく理解するために、ニューカレドニアやインドネシア、およびニュージーランドでの研究活動にも協働して取り組んでいます。
 
本プロジェクトは、経団連自然保護基金創立25周年記念特別事業として支援を受け、調査を実施しました。
 
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■メディア向け素材(クレジットの表記をお願いいたします。)
 
•映像素材 https://we.tl/t-OGt4yYVMOm (©Shawn Heinrichs)
•写真素材: http://ci.tandemvault.com/lightboxes/riTwrHVa0?t=GMfK5T0FC 
(©Conservation International/photo by Mark Erdmann.)
•動画:マンタの科学:https://youtu.be/ukbTVPbegN8
•ニューカレドニアマンタ・イニシアチブ: https://www.facebook.com/initiativemantaNC/

 

<本件に関する問い合わせ>
エメリン・ヨハンソン コミュニケーションズディレクター、CIアジア太平洋フィールドディビジョン
+64  277 793 401 | ejohansen@conservation.org

磯部 麻子 CI ジャパン広報担当
03-5315-4790 | aisobe@conservation.org

〇コンサベーション・インターナショナルについて
コンサベーション・インターナショナルは科学と政策とパートナーシップによって人々が生きていくのに欠かせない食料、水、生計を守っています。1987年の設立以来30以上の国と地域で私たちを支えている健康で繁栄した地球のために活動しています。
 
〇ニューカレドニア・ラグーン水族館について
ラグーン水族館はニューカレドニア政府、ニューカレドニア南部州、ヌメアが共同で運営しています。ニューカレドニアの海洋生態系システムを魅せること、環境問題の啓発活動、海洋・淡水生態学の科学的リサーチに取り組んでいます。詳細は下記URLをご覧ください。
www.aquarium.nc , https://www.facebook.com/Aquarium.Des.Lagons.Nouvelle.Caledonie , https://www.instagram.com/stories/aquariumdeslagons/ , https://twitter.com/AquariumDLagons , https://www.youtube.com/user/Aquariumdeslagons1,