ヨハン・ロックストローム(Johan Rockström)氏がチーフ・サイエンティストとしてコンサベーション・インターナショナルに参加します
10月 3, 2018
2018年10 月3日( バージニア州アーリントン)
コンサベーション・インターナショナル(以下CI)、(CEO、Dr. M. サンジャヤン) は、国際的に著名な環境学者であるヨハン・ロックストローム(Johan Rockström)博士が、10月1日付でチーフ・サイエンティストとしてCIへ参加すると発表しました。
ロックストローム氏は、保全科学にイノベーションをもたらし、持続可能で、包括的かつ拡張可能な社会モデルを開発してきました。ロックストローム氏の戦略的な科学的アプローチを取り入れることで、森林や海洋を保護しながら、気候変動に対処するというCIのミッション達成が後押しされることになります。
ロックストローム氏は、CIへの参加と同時に、世界的な気候エコノミストであるオットマー・エーデンホッファー氏(Ottmar Edenhofer)と共に、ポツダム気候影響研究所(Potsdam Institute for Climate Impact Research :PIK)の理事長にも就任する予定です。ポツダム気候影響研究所は、気候変動と持続可能性の研究のためのヨーロッパにおける主要な科学機関の一つです。
ロックストローム氏は「これまでの持続不可能な開発によって、地球上の人類の未来が脅かされていることは、科学的に見ても明らかです。しかし、平等で繁栄した未来への転換は可能です。そのためには各地域の自然生態系から、地球規模の気候システムまで、地球を全体的に管理していくことが必須です。CIとポツダム気候影響研究所は、この人類の課題に対処していく力を持っています。科学は人々の生活を守るための、”情報に基づく行動(informed action)”の確固たる基盤でなければなりません」と 語ります。
ロックストローム氏がCIへチーフサイエンティストとして参加することで、氏が提唱した、”プラネタリー・バウンダリー“で示される9つの地球システムの中で、いかに人類が生き伸びられるのか、限界値と許容値がわかるようになります。ロックストロームが2010年にTEDトークで発表して有名になったこの研究は、 その後、国連、各国政府、NGO、企業の持続可能な開発の指針となったものです。
ロックストローム氏の研究は、これまで100以上もの科学論文誌に掲載されており、また、最近の米国科学アカデミー紀要の中の“ホットハウス・アース”という論文にも記載されています。また、氏は、“The Human Quest”(2012)、ナショナルジオグラフィックフォトグラファーのMattias Klum との合作である“Big World, Small Planet(邦題:小さな地球の大きな世界”(2015)、“Water Resilience for Human Prosperity”(2014)、スウェーデンの作家Anders Wijkman との共著である“Bankrupting Nature”(2012)などの著者でもあります。
ロックストローム氏は、ポツダム気候影響研究所(PIK)で科学諮問委員会の副議長に就任する前は、ストックホルム環境研究所(SEI)の所長(2004-2012)、ストックホルム・レジリエンス・センターの所長(2007-2018)を歴任しました。
氏が出演したドキュメンタリーには“地球が壊れる前に”(原題:Before The Flood)、TEDトークには"How we can all become responsible stewards of Planet Earth" と、 "Let the environment guide our development"があります。彼の論説は英ガーディアン紙やスウェーデンの日刊紙などにも掲載されています。
◇プラネタリー・バウンダリーとは?
9つの地球システム(気候変動、生物多様性の損失など) における限界値の評価から、不可逆的で急激な環境変化による危険性と、人類が生存できる安全な活動領域かつその限界点を定義することができる概念。
広報担当
磯部 麻子
Marketing and Development Coordinator
CIジャパン,
aisobe@conservation.org