地中海沿岸
​A Raso lark (Alauda razae). This species of bird is found in Cape Verde off the west coast of Africa.
© Chris Batty
 

地中海沿岸の植物相は非常に印象的です。固有の 維管束植物種は22,500種で、ヨーロッパの他の地域の4倍以上にものぼり、固有の爬虫類も多く生息しています。しかしながら、 ヨーロッパ人のバカンス地として人気のこの地では、リゾート開発とインフラ開発の影響により、絶滅の危機に瀕する生物種の個体数はますます減少しており、その生息地は断片化・孤立化しています。地中海モンクアザラシや、バーバーリーエイプ、スペインオオヤマネコが、現在絶滅危惧種に指定されています。



概説

世界最大の地中海性気候である、地中海沿岸は西のポルトガルから東はヨルダン、北イタリアから南はモロッコまで広がっています。 地中海周辺のホットスポットの総面積は208万5292km²で、スペイン、フランス、バルカン国、ギリシア、トルコ、シリア、レバノン、イスラエル、エジプト、リビア、チュニジア、アルジェリア他、約5,000もの周辺の島々をカバーしています。また、ヨーロッパ・アフリカ大陸の西側のカナリア諸島のマカロネシアン島、マデイラ諸島、セルヴァージェンス島、アゾレス諸島、およびカボベルデも、ホットスポットに含まれます。

ここは、ユーラシア大陸とアフリカ大陸 が交差する場所で、生物多様性の高さと壮観な風景が特徴です。 このエリアは4,500m級の山々や半島、世界一大きな列島群などを誇っています。地中海沿岸地域の気候は冷涼で、冬は湿度が高く、夏は暑くて乾燥し、降雨量は少なければ100mm、多いと3,000mmに達します。

ホットスポットの大部分は過去、常緑のオーク林、落葉針葉樹林が覆われていましたが、8,000年の間にヒトが定住したことにより、環境が変化し、植物は独特の進化をとげてきました。
今日、最も広がっている植生は、フランス語でマキー、スペイン語でマトラルと呼ばれる硬葉樹林あるいは、低木の灌木地帯で、ビャクシン属、ミルツス属、オリーブ属、フィリレア属、カイノキ属、コナラ属(Juniperus, Myrtus, Olea, Phillyrea, Pistacia, and Quercus)を含んでいます。

これらの植物相は、シャパラル(カリフォルニアの暑く乾燥した夏と冷たく湿った冬に対応した、常緑の低木から成る生物群系)やチリのマトラル(潅木地)で見られる特徴に似ています。また、200万年にその地域を覆っていた古代の森林に生息していた残存種が、現在の地中海の植生(アルブツス属Arbutus、ギョリュウモドキ属Calluna、イナゴマメ属Ceratonia、チャボトウジュロ属Chamaerops、カモメ類Larus)を織り成す重要な構成要素の一部を織り成しています。

頻繁な火災により、植生の多様性は薄れ、ケルメスオーク(Quercus coccifera)、ゴジアオイ(Cistus spp.)トゲワレモコウ(Sarcopoterium spinosum)ら火災の後にすぐに発芽や萌芽を促し、急速に植生を回復させる植物種にとって代わっています。

また、マキー含め、香り豊かで、柔らかい葉を持つローズマリー(Rosmarinus)、サルビア(Salvia)、タイム(Thymus)など潅木地帯は、この半乾燥した、低地の沿岸地域にしっかりと根付いています。