南東スリナムにおける調査結果発表
 
 
 

熱帯のエデンの園が明らかに: 南東スリナムで、水、気候変動、そして人々の健康の維持に不可欠な新たな生物多様性と純粋な生態系の存在を科学者チームが記録​

​2013年10月7日

世界で最もグリーンな国の最も遠隔森林地帯における初の試みとして、コンサベーション・インターナショナルのラピッド・アセスメント・プログラム科学者チームは、スリナムの持続可能な開発にとって非常に重要な新種の発見、そして気候変動への強靭性のために重要な資源である水などの生態系サービス源を記録しました。


 

 


 


 

人の影響が殆ど及んでいない、地球上に残された熱帯雨林のうち最も遠隔地で未開拓の野生地帯、南東スリナム山岳地帯。これまで調査のなされていなかったこの南東スリナムで、生物学者らによる国際調査チームは、この国の気候変動に対する強靭性、淡水の確保、そしてグリーン開発戦略のために保護が不可欠な、豊かな生態系サービスの存在を発見しました。この科学的調査遠征は、おそらく地球上でもここだけと考えられる60種に及ぶ新種の発見など、生物多様性の驚くべき豊かさをも記録しました。​

2012年に3週間に渡って行われたこの調査と、それに続くデータ分析の末、コンサベーション・インターナショナルのラピッド・アセスメント・プログラム(RAP) 16人の科学者が、今回その結果を発表しました。主要な発見は、この地域における淡水の重要性です。当地の山脈は、スリナムの最も大きな河川のうちのいくつかの源流を抱えており、近隣地域在住の約5万人の人々に対して、さらには太平洋岸にあるスリナムの首都パラマリボまで、輸送、魚などの食糧や飲用および生活用水を供給しています。

 

これらの水源地帯は、水力発電や農業その他の経済活動にも貢献しています。CIの科学者チームは、スリナムの他の地域は乾燥しがちであるのに比べ、南東スリナムにおいては、気候変動に対して最も強靭性が高く、今後この一帯の水流を維持していくことはなによりも重要であることを発見しました。このような森林水源地帯の保全は、この国の人々と経済にとって死活的であるだけでなく、この地域と世界にとっても将来の資源として重要なものです。

 

CIスリナムのExecutive DirectorJohn Coedschalkは「スリナムの濃密な森林と森林破壊の少なさ、そして素晴らしい河川は、持続可能な開発の世界的なモデルとして、本当に独特の存在感を持っています。この地域は、世界の干ばつや水資源の枯渇に苦しむ人々のために水を輸出することもできますが、しかしもし私たちがこうした貴重な生物学的な宝を枯渇させたり汚染したりしたら、この国や世界の国々にとっての重要な水資源をひとつ失うことになってしまいます。今世紀半ばまでには人口90億を超えると試算されている地球においては、私たちに得られる淡水のしずくのすべてが必要になってくるのです」と述べました。​

 

スリナムは、世界の熱帯雨林の25%以上を占める、南アメリカの広大な原生地帯である「ギアナ楯状地」に位置しています。スリナムは比較的人口が少なく、95%の森林被覆を維持できていますが、採鉱、道路やダム建設などのプレッシャーに直面しています。20年以上の間、CIはスリナム政府や地域コミュニティと協働し、国と地域の持続可能な開発のための原動力として、スリナムの自然資本の科学的な分析と保護に取り組んできました。

 

CIは、当時としては最大級の熱帯雨林保護地域である、1,600万ヘクタールにおよぶ中央スリナム自然保護区の創設に貢献しました。この南東スリナムの手つかずの自然は、隣接する保護区や近隣諸国の原生地などと結ぶ生物学的通路(コリドー)を供給しており、動植物の長期的存亡のために不可欠なそれら動植物の移動を可能にしています。また森林と河川は、食糧、建築資材、薬品など、地元のトリオやワヤナらアメリカインディアン種族の暮らしに欠かせない資源を供給しています。​

 

「スリナムは、生物多様性が存続する、広大な手つかずの森林や純粋な河川が未だ存在する機会が残されている、地球上で最後の土地のひとつです。こうした生態系の保全の確保は、スリナム人にとって死活的なだけでなく、世界で増大する食糧や水の需要、また気候変動の影響を減少させるのにも役立つものと考えられます」と熱帯生態学者で、時にその働き方が科学のための"スワットチーム"のようだと評されるCI-RAPのディレクターTrond Larsen博士は述べました。​

RAPチームは、低地の氾濫原から孤立した山頂まで、パルメウ川分水嶺上流の4つのサイトで調査を行いました。近隣コミュニティの30人の先住民の皆さんには、船で危険な急流を2,000キロにもわたって大量の食糧や機材を運んだり、キャンプサイトを設置し、食事作りや森林のガイドをしていただくなど、かけがえのない様々なご支援をいただきました。首都パラマリボからは南東スリナムの村まで飛行機をチャーターし、そこから最初のキャンプサイトまでヘリコプターで到達しました。​

 

この科学者チームが水質に関するデータを採取したところ、植物、アリ類、甲虫類、キリギリス類、魚類、両生類、鳥類に哺乳類と、合計1,378の驚くべき多数の種に上りました。水質は全般的に高水準を示していますが、しかし上流での採鉱が行われていないにも関わらず、いくつかのサンプルは人間に対する安全水準を上回る水銀を含んでいました。「水銀はおそらく隣国の採鉱産業地域から飛んできたものでしょう。このことは、たとえ遠隔地であっても、他国の活動に相互連携し、影響を受けやすいということを示しています」とLarsen博士は説明します。​

 

豪雨により一夜にして洪水となったベースキャンプやヘリコプターの故障などにも遭遇した、濃密なこの3週間の調査から戻った、この遠征チームのリーダーでアリの専門家、かつ前CI科学者で、現在はGlobal Wildlife Conservation所属のLeeanne Alonso博士は、「私は世界中で遠征を行ってきましたが、これほどまでに美しく、純粋な、手つかずの森林を見たことはありませんでした。南東スリナムは、純粋な熱帯雨林の広大な広がりを持つ、地球上で最後の土地のひとつです。数多くの新種の発見は、私たちがようやく見つけ始めた、これらの森林のすばらしい生物多様性の証拠です。」​

 

潜在的に新種と考えられる約60種には、ココアガエル、ヘッドアンドテールライトテトラ、リリプーティアンビートルなど、6種のカエル、1種のヘビ、11種の魚類と、多くの昆虫類を含んでいます。​

 

ココアガエル(Hypsiboas sp.)は滑らかなチョコレート色のカエルで、木の上に住み、指先や足先に見られる丸い円盤を使って上手に木に登ります。「他の両生類と同様、半透性の皮膚により、特に淡水の環境変化に大変敏感です。過去30年ほどの間に100種以上のカエル類が絶滅したと推定される中、この新種の発見は格別喜ばしい限りです」とLarsen博士は言いました。​

 

新種のヘッドアンドテールライトテトラ(Hemingrammus aff. ocellifer) は水族館マニアの皆さんには特に歓迎される魚に非常に良く似ています。調査サイトでは、魚類は非常に多種多様で固体数も多く、地域住民にとっての食糧源として貴重な大型のものも多く見られました。南東スリナムの上流の源流地域は、スリナム全土の人々が依存する回遊魚の重要な産卵場にもなっているものと考えられます。​

 


小型のリリプーティアンビートル(Canthidium cf. minimum)は、とても小さなルビー色の甲虫で、体長はほんの2.3mmほどです。おそらくギアナ楯状地における最も小さな糞虫、南アメリカでは二番目に小さなものと考えられます。枝角上のアンテナにより鋭い嗅覚を持っています。「糞虫は健全な生態系の維持には欠かせない生態系上の役割を担っています。糞を埋めることにより、寄生虫や病気をコントロールし、種子を拡散し、栄養分をリサイクルして植物の成長を促進するのです」とLarsen博士は言います。​

 

このRAP調査チームは、スリナム・コンサベーション基金の資金援助のほか、スリナム・アントン・デ・コム大学、CELOSCI、グローバル・ワイルドライフ・コンサベーション、ハーバード大学比較動物学博物館、ノースカロライナ自然科学博物館、カンザス大学生物多様性研究所、オンタリオ王立博物館、そしてオランダ国立植物標本館の科学者らによって構成されています。​


 

​本プレスリリース詳細(英語版)

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Canoeing Through The Forest​
Flooded Camp Site

 

調査遠征結果のレポートを見る

 

ラピッド・アセスメント・プログラムについての詳細

本件の詳細のお問い合わせ: 
Patricia Malentaqui, Senior Media Manager, CI: +1 (703) 341-2471/ pmalentaqui@conservation.org
Ana Denman, Global Wildlife Conservation: +1 (512) 537-8951 / adenman@globalwildlife.org


南東スリナムが持つ人々への便益についての事実と概要】
スリナム、地域、そして世界の主要淡水源の保護(食糧、輸送、エネルギー、農業、採鉱等に利用)
スリナムの人々への森林資源の持続可能な供給(例:水、食糧、薬品、余暇)
・気候変動の影響による淡水枯渇が他地域で予想される中での、スリナムの淡水資源の長期的強靭性の保全
・炭素の豊富な森林の広範な保全を通じた世界的気候変動の維持
・種の多様性の固有性および健康的な生態系の保護
・世界で最も成長する産業のひとつであるエコツーリズムを通じた、持続可能な経済成長の高い可能性を象徴

RAPについて: 
1990年に設立されたCIのラピッド・アセスメント・プログラム(RAP)は、世界中のフィールドサイトにおいて少人数の科学者による専門チームを展開しています。この迅速かつ科学的に厳格な調査は、これらの地域の相対的な生物学的重要性を評価し、生物多様性、自然資本、そして人間の幸福の不可欠な連携のために私たちの知見を統合するものです。RAP調査はこれまで1,400種以上の新種を発見し、2,000ヘクタール以上の陸上および海洋保護区の創設、拡大、もしくは改善管理を行ってきました。学生や地元コミュニティとの協働により、RAPは世界中の熱帯地域国で400人以上の環境保護従事者のトレーニングを行い、将来への基盤作りを行っています。

 

コンサベーション・インターナショナル(CI) 
科学、パートナーシップ、そしてフィールドにおける実践を強い基盤として創設されたCIは、長期的な人々の幸福を推進するため、責任ある持続可能な自然保護と世界の生物多様性推進のため社会を活性化します。1987年に創設されたCIはワシントンDC地域に本部を設置し、6大陸29以上の国で800以上のスタッフを配し、世界の1,000以上のパートナーと協働しています。詳細はwww.conservation.orgまたはFacebookTwitterをご参照ください。日本語の詳細はCIジャパンまたはTwitterをご参照ください。​