日本の生物多様性重要地域(KBA)228か所発表    
保護が必要な地域は国土の27%

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 2011年6月15日改定 東京】国際環境NGO

コンサベーション・インターナショナル(本部

 米国、日本事務局:東京都新宿区)は、日本列島にある生物多様性にとって世界的に重要な地域(KBAの選定結果を発表しました。日本のKBAは北海道から沖縄まで228か所、総面積は国土の17%(64,000km2)に上ります。しかしながら、このKBAの総面積の約半分(国土の8%に相当する3km2)が既存の保護地域(※1)の外にあることが分かりました。現在日本では国土の約20%が保護地域に指定されていますが、KBAを全てカバーするためには、更にこの8%について対策を講じ、国土の27%を保護する必要があることになります。

KBAとはKey Biodiversity
Areaの頭文字で、危機性と非代替性を指標とした国際標準的な手法(資料1)により選ばれる生物多様性の重要地域です。鳥類のIBA(※2)を出発点として、哺乳類、爬虫類、両生類、および陸水域に依存する種群として魚類とトンボ類から約100種以上の対象種が生息する範囲からKBAを選びました。さらに、KBAの条件を満たす河川を、範囲を限定せずに、“KBA候補”として50か所を選定しました。なお、上記で全ての生態系が網羅されているわけではありません。今後、植物やチョウ類も対象種に加え、特に草地の重要地域を把握する必要があります。

昨年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で合意された愛知ターゲットの目標11では、2020年までに保護地域を世界の陸域の少なくとも17%にまで広げることを目指しています。この目標を達成するためには、生物多様性と生態系サービスの観点から特に重要な地域を明らかにすることが求められますが、KBAはまさにその手法の一つです。また、同目標12では、種の絶滅を回避し、希少種の生息環境を改善することも目指しています。この点からも、全てのKBAを保護する必要があると言えます。

コンサベーション・インターナショナル・ジャパンの生態系政策マネージャーの名取洋司は、「愛知ターゲットの達成のために、日本では少なくとも陸域の27%を適切な方法で保護する必要があると言えます。しかし、その対象はどこでもよいわけではなく、特に重要なところを優先しなければなりません。KBAがその検討の参考になってほしいと思っています。」と、コメントしています。

 ◆KBAマップ、選定対象種リストなどデータ画像は下記からダウンロードいただけます。
http://bit.ly/lx6kVJ   

<クレジット> コンサベーシ・インターナショナル(CI)提供としてください。

資料1 KBA選定基準  

基  準

KBAとする暫定条件

 危機性 (Vulnerability)
IUCNのレッドリストの絶滅危惧種(CR、EN、VU)に分類された種が生息/生育する。

・CR、ENに該当する種が1個体でも存在するサイト
・VUにあたる種が30個体、あるいは10ペア以上存在するサイト

 

 

  

非代替性 (Irreplaceability)

a) 限られた範囲にのみ分布して
  いる種

・世界で50,000km2以下の限られた範囲にしか分布しない種の個体数の5%が集中して分布するサイト

b) 広い範囲に分布するが特定の
    場所に集中している種

・世界的な個体数の5%以上が集まるサイト
(例:ヌーの分布域は広大だが、ある特定の場所に集中して分布する)

c) 世界的にみて個体が一時的に
    集中する重要な場所

・世界的個体数の1%がある特定の季節(時期)に集まるサイト
(例:繁殖地や大集団が一時的に利用する場所=越冬地や摂餌場所。ある種が特定の時期に集中して移動する場所など)

d) 世界的にみて顕著な個体の
    繁殖地

・他の個体群への個体の供給数が、全世界の個体数の1%以上を占める個体群がいるサイト
(メタ個体群の維持に重要なサイト)

e) バイオリージョンに限定される
    種群

・基準定義中(分類群、地域により  様々)

 

   

 (1) 保護地域ここでは国立公園、国定公園、都道府県立自然公園、原生自然環境保護地域、自然環境保護地域、国指定・都道府県指定鳥獣保護区、森林生態系保護地域を指す。

(※2) 愛知ターゲット生物多様性条約の戦略計画で2020年までに世界で達成を目指すことが合意されているもので、20の目標からなる。目標11は、『2020年までに、少なくとも陸域及び内陸水域の17%、また沿岸域及び海域の10%、特に、生物多様性と生態系サービスに特別に重要な地域が、効果的、衡平に管理され、かつ生態学的に代表的な良く連結された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段を通じて保全され、また、より広域の陸上景観又は海洋景観に統合される』、目標12は、『2020年までに、既知の絶滅危惧種の絶滅及び減少が防止され、また特に減少している種に対する保全状況の維持や改善が達成される』(共に環境省仮訳より)。

(※3) IBA(重要野鳥生息地IBAは、Important Bird Areas の略称で、国際的な鳥類保護組織バードライフインターナショナルが、世界100ヶ国以上の加盟団体と共同実施しているプロジェクト(日本では、日本野鳥の会)で、「鳥類を指標とした重要な自然環境」を、世界共通の基準(IBA基準)によって選定している。KBAはこれを鳥類以外の分類群に広めたもの。