中国南西山岳地帯
​Mountains in Southwest China.
© Piotr Naskrecki
 

気候と地形の変動が目覚しい中国南西山岳地帯は、多様な生態系を有しており、温帯にある植物相としては最も固有性が豊かな地域の一つです。固有種であるキンシコウ、ジャイアントパンダ、レッサーパンダ、キジ数種は、絶滅危機種でもあります。ダム建設、違法な狩猟、過放牧、森林伐採などが、この地域の生物多様性に対する主な脅威となっています。







概説

中国南西山岳地帯のホットスポットは、チベット高原の東端と中国平野の中央部の間を高山山脈に沿って、26万2400 km²以上に渡っています。ホットスポットのインドビルマの北で、同じくホットスポットのヒマラヤのすぐ東に位置し、北西は乾燥したチベット高原に、北は南ガンスー(甘粛省)のタオ川に、東は四川盆地と雲南省東部の高原に接しています。

中国南西山岳地帯は、非常に複雑な地形で、2000m以下の谷床から、ミニヤコンカ(Gongga Shan)の山頂の7,558mまで標高は様々です。山の尾根は一般的に、南北の方向で、ヒマラヤ山脈に対して垂直に走っています。この地域はは 雲南省西部の横断山脈、高黎貢山,(Gaoligong)、雲南省西部の怒山(Nu Shan)、チベット高原の南東端に位置する、ニンチンタングラ山脈(念青唐古拉山Nyainqentanglha)、寧静山(Ningjing)、他念他翁山(Taniantaweng Shan)やその他の山々、四川省の沙魯里(The Shaluli)、Gongga Shanを含む大雪山 (Daxue)、雀児山(Chola)、 Qionglai Shan山系、そして、四川省-甘粛省の境界に当たる重慶を含んでいます。なお、 雲南省中央部の哀牢山(Ailao Shan)と無量山(Wuliang Shan) はこのホットスポットではなく、インドビルマホットスポットに含まれています。

中国南西山岳地帯には、アジアの中で、種が最も豊かになる気候と熱帯水系が揃っています。ホットスポット内を横切る、あるいはそこを水源とする主な河川系には、金沙江(Jingshajiang)、Yalongjiang, 大渡河 (Daduhe)、岷江(Minjiang)で、いずれも揚子江の支流ですが、これらは、東シナ海まで続いています。メコン川(瀾滄江:The Lancangjiang)は南シナ海に向かって、雲南省、ラオス、カンボジア、ベトナムを流れ、怒江(Nujiang)は、雲南省とビルマを抜けて、インド洋に達します。

雲南省の一部の、1年中、霜の降りない地域や、北方の国境近くにある、短期間ですが霜が降りない地域から、四川省、雲南省、チベット地域の高山の頂上付近にある永久凍土まで、この地域は、複雑な地形のために、気象条件は、非常に多様です。この地域の年間降水量は、雲南省の高所地域の南西側斜面では1000mmを越える一方、北西部のチベット高原の雨影(雨雲を含んだ風が山を越える際に、風上側で雨が降り、風下側は「陰」となって乾燥する現象)の場所では、年間400mm以上降ることはめったにありません。

この特徴的な気象や地形的な状況により、 ホットスポットには、広葉樹林、針葉樹林、竹林、低木群落、サバンナ、草地、大草原、淡水湿地、高山帯の低木、崖錘植物特殊群落など、非常にバラエティ豊かな植生が見られます。