世界初の研究発表!気候変動による世界のワイナリーと原生地域への影響
 
 
 
世界規模で初めて行われた、ワインと自然保護に関わる気候変動の影響を調査した研究結果が発表された。2050年までに、ブドウの成長に適した現地域のほぼ全域が農園として機能しなくなり、野生動物の生息地にまでブドウ畑が広がるだろうという予測が明らかになった


 あなたのメルローは、イエローストーン国立公園のオオジカの脇や中国の重要なパンダ生息地で育つことになるかもしれません!? コンサベーション・インターナショナルが取りまとめた国際的な研究者チームによる最近の調査結果は、その可能性を示唆しました。重要な発見として、気候変動は今日世界で最も有名なワイン生産地に劇的な影響を与え、ワインの生産地は今後、生物や人間の生活を支えている重要な自然資源および生態系を劣化、もしくは圧力をかけることになるような、今までとは違う場所へと新たに開拓されると予測しています。

48日、米国科学アカデミー紀要(PNAS)にて掲載された研究結果は、ワイン生産および自然保護に関する気候変動の影響について調査した、初の世界規模での分析です。研究結果によると、世界のある地域では、2050年までにワイン生産の適地が73%も縮小するだろうということが明らかになりました。ブドウ畑ではブドウを冷やすために水を使用するため、上昇する温度や減少する降雨量を補うために灌漑をおこなう必要性が生じ、河川や他の淡水生態系に対して負荷をかける高い可能性が指摘されています。

論文を主筆したコンサベーション・インターナショナルのリー・ハンナ[i]は言います。

「気候変動は、世界中で潜在的なワインの生産地を移動させることになるでしょう。これらの世界規模の変化は、思いもよらない場所で、野生生物や人々の生活を支える自然の受容力に負荷をかけます。自然や自然が提供しているモノやサービスの流れに、意図しない結果を及ぼすことなくワイン生産のクオリティを維持するためには、消費者意識の高まりや産業界の協力および自然保護へのアクション全てが必要です。ただ、これは氷山の一角なのです。多くの他の作物についても同じことが言えます。」


ci_60833273.jpg

研究者たちは、将来のワイン生産地を示す世界初の地図を、適応性に関する複合モデルを使用して、調査しました。調査されたのは具体的に次の
9箇所です。カリフォルニア、北西アメリカ、チリ、地中海ヨーロッパ、北ヨーロッパ、南アフリカのケープ植物相地域、地中海性気候のオーストラリアの一部、非地中海性気候のオーストラリアの一部、ニュージーランド

調査によって分かったその他の重要な発見は、北西アメリカおよび北ヨーロッパの数箇所を含む新たな地域は、よりワイン生産の適地になるだろうということです。高緯度で高地に位置するそれらの地域は、ワインの醸造に一層適した場所となり、ワイン用ブドウを育てるための理想的な気候条件を求める人々が新たにブドウ園を開くことになるでしょう。
研究では、野生動物および生態系の保全に影響が出ることを示唆しています。

イエローストーン国立公園やロッキーマウンテン、また、絶滅の危機に瀕するジャイアントパンダが生息する中国中部のように多様な地域が、新たなブドウ畑の適地となるためです。熟成し、生産性の高いブドウ畑は開くことは、例えば、自然植生を除去するために化学薬品を撒いたり、フェンスを使ったりすることで、在来種の生息環境に長期的な影響を与えます。調査によると、ワイン生産の適地として潜在性がもっとも高い地域は、カナダ-アメリカの国境近くにあるロッキーマウンテン近隣で、同地域は灰色グマ
(Ursus arctos)、ハイイロオオカミ(Canis lupus)およびプロングホーン(Antilocapra americana)のような種の生息地です。


解決策

研究結果は、ワイン用ブドウは、気候変動に応じた地理的な変化が環境保全に大きな意味をもたらすような様々な作物の象徴であり、それらの生産性を維持し、かつ地球の陸域、淡水生態系への負荷を最小化するために、適応戦略が大至急必要である、と結論付けました。
主な提言は以下の通りです。
  • ブドウ畑の拡大にあたっては、民間企業と自然保護のスペシャリストとの共同計画を取り入れ、地域的な環境リスクを回避する
  • 似た風味を持ち、かつ、気候への適応性をもったブドウの新種開発への投資
  • 消費者意識の向上(然コルクや持続可能な生産方法を取り入れたワイン畑から醸造されたワンの購入などを啓発)
共著者の一人、パトリック・ローダン氏[ii]は言います。「消費者は、『カリフォルニア持続可能なブドウ栽培兼ワイン醸造業連合(仮訳、CSWA)や南アフリカの『生物多様性およびワイン・イニシアチブ』に参加しているワイン畑から醸造されたワインを購入したり、バインコロジー(Vinecology:持続可能なブドウ栽培の実践及び普及啓発団体)やコンサベーション・インターナショナル、Environmental Defense Fundなど、解決策を提案できる組織を支援することで、この取り組みに対する消費者の役割を果たすことができます。」

###


■報道関係者の皆様へ

・報道機関用写真はこちら 必ずコピーライトを入れてください
http://bit.ly/10vfD0R
                       
 


○本件に関するお問い合わせ

Kevin Connor, CI: +1 (703) 341-2405 / kconnor@conservation.org
磯部麻子, CI 03-6911-6640 / aisobe@conservation.org
 
 

 
[i] 論文の主筆者コンサベーション・インターナショナル、ベティ&ゴードンムーア生態系科学及び経済センター、気候変動と生物学担当上級科学者
[ii] カリフォルニア大学サンタバーバラ校ブレンスクール