気候変動
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気候変動、生物多様性の喪失、貧困問題はつながっている

今日、気候変動は既に地球上の様々な地域の人々の暮らしや生態系に影響を与えています。島嶼国等での海水面の上昇、洪水・干ばつ、珊瑚礁の消滅が、世界各地から報告されています。森林火災やハリケーンなどの自然災害も、今までにない規模や頻度で発生しています。気候変動はもはや将来世代の問題ではなく、実際に私たちが「目撃」し、体験している問題であり、このままでは私たちの子どもや孫の世代の暮らしや、人々の生活を支える地球環境に、より深刻な影響を与えます。

2007年に発表された気候変動に関する政府間パネル(
IPCC)による「第4次評価報告書」は、これまでの報告よりさらに深刻な気候変動の現状と将来予測を世界に向けて発信しました。世界の気温上昇はもはや疑いの余地がなく、世界の多くの自然生態系が気候変動による影響を受けていること、そして地域的な気温上昇により人間社会への影響が現れつつあることに、「中程度の確信がある」と発表しています。今後の世界平均気温の上昇については、複数のシナリオが提示されました。気候変動の影響による21 世紀末(2090 年~2099 )における平均気温の上昇は、1980 年から1999 年までとの比較において、環境の保全と経済の発展が地球規模で両立する場合は平均値で約1.8℃、化石エネルギー源を重視しつつ高い経済成長を追求する場合の平均値で約4.0℃との予測が出されました。私たち人間のライフスタイルや今後の選択が、将来世代の運命を大きく左右することが警告されています。

また、気候変動は、途上国で暮らす人々の暮らしに、特に甚大な影響を与えるといわれています。干ばつや砂漠化が深刻なアフリカの最貧国や、
小島開発途上国など、気候変動に特に脆弱な国々では、気候変動の影響による貧困問題や保健衛生上の問題の悪化も心配されています。

さらに、IPCC「第4次評価報告書」では、気候変動による生物多様性への影響が指摘されました。世界平均気温の上昇が1.52.5℃(19801999年との比較)を超えた場合には、人類に既知の種の約2030%が絶滅するリスクが増し、世界平均気温の上昇が約3.5℃を超えた場合には、地球規模で重大な絶滅(同4070%)をもたらすと予測しています。

生物種の絶滅が増すことは、地球の生物多様性が損なわれることを意味します。地球上には様々な遺伝子を持つ多種多様な生物種が存在し、微妙なバランスを保ちつつ相互に関わりながら地球上に様々な生態系を形作っています。そして、その生態系からもたらされる様々な自然の恵みを受け、私たち人間は生物として生存し、社会を形成しています。国連が実施したミレニアム生態系評価(ミレニアム・エコシステム・アセスメント)では、人間社会が享受する自然の恵みを「生態系サービス」と呼び、大気の循環や気候の調整、水質浄化、食糧の供給、文化的価値など、生態系サービスが人間社会に与える様々なサービスの重要性を強調しています。

このように、人間の生存、社会の持続に必要不可欠な生態系サービスを生み出す生物多様性ですが、その構成要素である生物種の絶滅率は、今、地球上の生命の歴史の中で最も高いと言われています。

そして、気候変動は、今や地球上の生物種の生息環境や生態系にも異変をもたらし、生物多様性への脅威となっているのです。