​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​国際シンポジウム

「自然資本と企業・自治体経営」​​


自然資本経営をめぐり​​​​​
国内外のエキスパートが
ディスカッションを行いました​

はじめに​​​​

2010年に生物多様性条約第10回締約国会議で愛知目標が採択されて以来、自然資本を国家や企業の会計や経営に盛り​込む取り組みが国際的に活発化しています。2012年に開催されたリオ+20では、59か​​​国と民間企業88社が国家・企業会計に自然資本を盛り込むことを宣言しました。こうした中、CIジャパンでは、国内外で自然資本の取り組みをリードする専門家を集め、自然資本経営を巡る国内外の最新動向を紹介し、我が国でその導入を推進するための方法を議論することを目的とした国際シンポジウムを環境省と​地球環境戦略研究機関との​​共催で開催​しました。​プログラ​ム​​


​シンポジウムは、環境省の牧原秀樹政務官の開会の挨拶と趣旨説明に続いて、基調講演、事例報告、パネルディスカッションの3部構成で行われました。

​■開催日時: 2月17日 (月) 14:00-18:00
■開催場所: 東京国際交流館 東京国際会議場
■参加者: 213名
■主催: 環境省、一般社団法人 コンサベーション・インターナショナル・ジ​ャパン、​公益財団法人 地球環境戦略研究機関
■協力: 日経BP環境経営フォーラム

第1部-基調講演​

自然資本経営の取り組みを世界的に牽引しているお二方より、自然資本会計・経営の重要性と世界での最新動向について基調講演をいただきました。

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パヴァン・スクデフ氏 (GISTアドバイザリーCEO/TEEBスタディー・リーダー/CI理事) (→
略歴) (→PPT)
スクデフ氏は、着目点を国レベルのマクロな政策転換から、企業レベルのミクロな転換に移す重要性を指摘し、その中で企業の担うべき役割の大きさを強調しています。持続可能な開発のためにはグリーン経済が必要で、グリーン経済を実現するには“2020年型の企業”が必要であること、2020年型企業を生み出すには、資源利用への課税、資金調達におけるレバレッジの制限、責任ある広告、外部不経済の公表を進めていく必要があると強調しました。​

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ジョン・マトゥーザック氏 (世界銀行WAVESパートナーシップ国際エンゲージメント長) (→略歴) (→PP​T)​
マトゥーザック氏は、GDPのような代表的経済指標では自然資本が十分に表現できていないことを指摘し、国際的に合意された枠組みであるSEEAを使ってギャップを埋めること、自然資本会計は、水、エネルギー、大気汚染、森林、鉱物、土地・生態系において特に効果的であることを説明しました。またWAVESパートナーシップの現在の活動と愛知目標との関係性について紹介しました。


第2部-事例報告

企業と行政・自治体による先進的な取り組みとして、国内外から6件の事例報告がなされました。​
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ジョナサン・ヒューズ氏 (スコットランド・ワイルドライフ・トラスト/IUCN西ヨーロッパ地域理事) (→略歴) (→PPT)
イギリスでの自然資本に関する取組の進捗の報告と、ピートランド (泥炭地) における取組の事例および昨年開催された世界自然資本フォーラムの紹介を行いました。

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​ダンカン・ポラード氏 (ネスレ社) (→略歴) (→PPT)
自社の自然資本への依存度を評価した結果を提示した上で、自社の責任ある調達、工場立地と生物多様性の関係、顧客へのコミュニケーションについて紹介し、政府に望まれる事項についても触れました。

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ヘレナ・パブセ氏 (CIアメリカ部門/TEEB for Businessブラジル・コーディネーター​) (→略歴) (→PPT)
ブラジルの膨大な生物多様性・自然資本とビジネスの関係を、ブラジルの化粧品会社ナトゥーラが実施する生物多様性の課題への取組を例に紹介しました。

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春日隆司氏 (北海道下川町) (→略歴) (→PPT)
同町の豊かな自然資本を紹介した上で、町の持続可能な発展戦略の中で自然資本をどう位置付けているかを説明しました。

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杉本信幸氏 (味の素株式会社) (→略歴) (→PPT)
本業と自然資本の関係、適切な管理に関する取組を説明し、社会から“操業許可”のみならず、“成長許可”を得られるような企業となる取り組みを進めていることを紹介しました。
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藤原啓一郎氏 (キリンホールディングス) (→
略歴) (→PPT)
同社の長期環境ビジョンを実現するための取組例として、主力製品の一つである紅茶を例に、スリランカ紅茶園の生態系保全認証取得支援について紹介しました。


​第3部-パネル・ディスカッション

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日経BP環境経営フォーラムの藤田香氏 (→
略歴) がコーディネーターを務め、パヴァン・スクデフ氏 (GISTアドバイザリー)、ジョン・マトゥーザック氏 (世界銀行)、ダンカン・ポラード氏 (ネスレ)、金井司氏 (三井住友信託銀行→略歴)足立直樹氏 (レスポンスアビリティ/JBIB→略歴)奥田直久氏 (環境省自然環境局生物多様性地球戦略企画室→略歴) がパネリストとして登壇しました。

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​まず、金井氏から、自然資本格付け融資と日本で自然資本経営を進めることや、日本の生物多様性保全・国土保全における課題について (→PPT)足立氏から、英トゥルーコスト社の自然資本会計手法の適用事例と、日本の​企業等が自然資本経営を進める意義について話題提供していただいたうえで、海外の動向を注視しながら自然資本を踏まえた経営を日本国内で進め、国内外の生物多様性保全を進めるための方策、課題と展望について議論しました。​​​​


パネルディスカッションの様子
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​自然資本経営と生物多様性管理の違い、自然資本経営をどう実践していくか、手法の統一は必要か、などに焦点を当てた議論がなされました。​
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閉会
にあたり、総合司会を務めたコンサベーション・インターナショナル・ジャパン代表理事の日比保史​ (→略歴が次のように総括を行いました。

​生物多様性条約の愛知目標では、2020年までに生物多様性を国家勘定に含め、持続可能な生産消費への転換を図ることが求められています。世界の人口が増えていく中、自然資本の適切な保全・管理は不可避です。今後、企業が環境配慮をビジネスに内在化させるために必要なことは、評価方法の標準化、自然資本の貨幣価値換算の議論、一般消費者に自然資本の上に成り立つビジネス経済の在り方を理解してもらうための新たな広告・コミュニケーションの構築などで、企業が自然資本会計に取り組めるように政府がルールや環境の整備をすることも重要です。
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シンポジウムの様子​