海洋
海への脅威
 
 
 
 
 
海洋生態系サービスを脅かす脅威

漁業

人間の人口は劇的な速さで増え続け、それに伴う乱獲が漁業に悪影響を及ぼしています。魚類と魚加工品は、何百年もの間、全世界の人々の主要な蛋白源となっています。この数十年の間に、世界の海洋での食料獲得が多数の漁法を生み出しました。それらの漁法によって、自給自足の農民から大企業で働く漁民まで、あらゆる漁民が魚群を効率的に発見できるようになりました。環境と漁業の規模により、長さ数フィートの単純な魚網から、数千の釣り針をつけ、海を横切って何マイルも延びる「延縄」までさまざまな漁法があります。

こうした漁業による圧力の深刻化に対する稚拙な政策、低質のガバナンス、管理の悪さが乱獲を招き、漁業の持続可能性を脅かしています。危機に瀕しているのは漁獲の対象になっている種だけではありません。延縄漁法やトロール漁法などほとんどの漁法は特定の魚をターゲットにしますが、意図しない別の種を捕獲することもしばしばです。これら目的外の魚は混獲(bycatch)と呼ばれます。底引き網漁法、シアン化合物漁、ダイナマイト漁など多くの漁法は、海洋の生息地をも傷つけます。混獲と海洋生息地の損傷は、種の個体数を著しく減少させ、存続を脅かす恐れがあり、また実際にそうなっています。

石油、ガス、採鉱

石油とガスの探鉱・開発は、人間が化石燃料に依存することによって増大された、エネルギー採掘活動です。陸上と海上での採鉱はともに、世界的な天然資源需要の増大に伴って活発化しています。エネルギーの入手は、地震探査、設備建設、継続的操業、廃棄物の処理を通じて、海洋の生物多様性を損なう恐れがあります。その影響としては、堆積物、深海生物相その他の海底植物相・動物相の混乱、海洋哺乳類その他の種の混乱、海底生息地の喪失や破壊、水質への影響が挙げられます。

気候変動

気候変動は世界の海洋に劇的な影響を及ぼします。世界的に、大気の条件の変化に伴って、潮位、海の温度、潮流システム、湧昇流などの生物学的に重要な海の仕組みが変化し、海洋の基本的な化学的性質に影響を及ぼしています。これらの変化は、世界中で海洋の生物多様性と天然資源に深刻な影響を及ぼすでしょう。すなわち、海洋環境の基本的特性と、栄養素を作り、海洋生物の幼生を移動させることによって何千種もの海洋生物と世界中の何億もの人間を支えている重要なメカニズムが同時に変化してしまうということです。

沿岸開発

世界の人口の半分以上が沿岸から60km以内に住んでいるため、地球の沿岸部はかつてないほどの圧力を受けています。気候変動などの自然環境によるストレスだけでなく、開発、汚染、生息地の変質と破壊などの人間活動が主な原因となってストレスは増すばかりです。世界各国の政府は、人間が沿岸部に及ぼす影響を調整するため、これらの地域にますます注意を向けるようになっています。

外来種 

国際貿易や海外旅行による物品の流れは、本来意図していないものも運ぶ可能性があります。人とモノの輸送は、外来種と呼ばれる「招かれざる客」をしばしば運びます。大気と海による移動は一般に、さまざまな海洋種が新たな生息地を侵略するための経路または媒介路になります。海洋世界に新たな種が持ち込まれることによってバランスが崩れ、環境の完全性が損なわれるだけでなく、現地に固有の、現在危機に瀕している種が脅かされる恐れがあります。

汚染

汚染はさまざまな形態で、また多数の原因によって生じます。そして、汚染は世界の海洋に有害な影響を及ぼします。エクソン(Exxon)のタンカー「バルディーズ号」などからの原油流出のように、よく知られる原因から、生態学的プロセス、公衆衛生、海洋資源の社会的商業的利用に影響を及ぼす汚染土の流出にようにあまり知られていない(そしてそれは長期的に見ると、何倍も有害な)原因まで、世界の海洋生態系サービス、沿岸生態系サービスは、十分に認識している人がほとんどいない状況の中、汚染されているのです。主な汚染源としては、がれき、流出油、汚染流出液、下水などが挙げられます。これらはどれも、人間活動の結果であり、副産物です。海洋汚染に焦点を当てた国際協定や条約は数多くありますが、その制度をもっと強化させることが必要です。

観光

デベロッパーは、国際的に有名なリゾートを造ろうと、傷つきやすい沿岸や海洋の生息地に入り込んでいます。毎年何万人もの人々を運ぶクルーズ船が世界の水路を航行し、海洋にゴミを捨てていきます。一方で、観光業界は海洋環境に積極的に貢献しています。エコツーリズムを通じ、旅をして現地コミュニティや周辺環境と相互に交流し合う人々の数は激増しました。エコツーリズムとは、生態学的に持続可能な観光のことを言います。さらに、観光業界の側でも、持続不可能な慣行を見直し、環境への悪影響を軽減するための取組みが広がっています。