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シースケープ(Seascapes)
 
 
Galápagos Green Turtle (Chelonia mydas agassisi) feeding on algae underwater, Galápagos, Ecuador.
© Andy Rouse / naturepl.com
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世界の海のために​


2004年、コンサベーション・インターナショナルは、広大なスケールで海洋管理・統制の方法を改善する、新たなアプローチを開発しました。それが「シースケープ​」です。シースケープは豊かで多様な海洋生物たちに生息環境を提供し、何百万もの人々に食料や収入をもたらします。​

ウミガメのように絶滅の危機に瀕する種や、サンゴ礁等を含む海洋生態系を守ることは、生計手段や食糧保障、レクリエーション等を海洋生態系に依存しているすべての人々への利益へ繋がります。シースケープはまた、海と人々が気候変動の複雑な影響に対処するためのフレーム​ワークにもなります。

このモデルは、既に創設された4つのシースケープ、「東部熱帯太平洋シースケープ」(コスタリカ、パナマ、コロンビア、エクアドルをつなぐ海域)、「バーズヘッド・シースケープ」(インドネシア)、「スルー・スラウェシ・シースケープ」(フィリピン、インドネシア、マレーシアをつなぐ海域)、そしてアブロルホス・シースケープ(ブラジル)にてテストされ、成功を収めています。​


シースケープのアプローチ

シースケープは、人々の幸福という最終的な目標へ向けて、多様で豊かな海洋生命を守るために、政府や事業者、その他関係者が協働して保全に取り組むもので、科学的で戦略的に定義付けられた、広​大で複合的な海の利用を目的にした海域のことです。

シースケープは、最も効果的な方法で対処すべき課題を解決するために、持続可能なマルチレベルのガバナンス構造を開発します。たとえば、小規模沿岸漁業は、高度にローカライズされたコミュニティモデルを介して管理することができるのに対し、回遊性の種の保護には、しばしば境界を越えた対応が必要とされますが、そうした場合にも有効です。

シースケープのフレームワークを構成する9つの要素は全て欠かすことができません。シースケープは、海洋保護区(MPAs)のネットワークに基づき創設されています。それらのネットワークを管理、施行する上で、法的整備が整っていることは非常に重要です。

シースケープは、選ばれたプロジェクトサイトで、生態系ベースのアプローチを構築するために科学が適切に適用され、プロセス全体を通じて、民間企業、一般人そして政治家が関与するしくみです。そして、最終的には、海の健全性を確保するために、それぞれのシースケープが必要な変化を成し遂げるための財源の確保が必要になります。

シースケープのアプローチが成功するか否かは、地元に根ざした組織-政府や地元コミュニティなど-とのパートナーシップによります。何より、シースケープのアプローチはフレキシブルなので、既にさまざまなスケールで多様な文化的側面などにも適合しています。

シースケープアプローチは、「アブロルホス・シースケープ (the Abrolhos Seascape)」、「バーズヘッドシースケープ (the Bird’s Head Seascape)」、「東熱帯太平洋シースケープ (the Eastern Tropical Pacific Seascape)」、そして「スル・スラウェシシースケープ (the Sulu-Sulawesi Seascape)」​で成功を収めています。今では、各国家やその他の組織から、シースケープは、コーラルトライアングルイニシアティブの重要な成果であると位置づけされています。そして、
CIはシースケープアプローチでグローバルな海洋保全と管理のスケールをより大きく拡大(地理的にも組織的にも)するために、積極的に活動しています。

●シースケープ 9つの必須要素
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  1. 法的枠組み:
    シースケープは、海洋保全を、地元レベルから地域レベル、国家レベルのスケールで促進する、法律、協定、規則や政策の枠組みを生み出します。

  2. 海洋保護区(MPAs)を含む生態系主体の管理:
    シースケープは、あらゆる専門分野の科学的情報を効果的な計画、実行、監視および評価に取り入れることで海洋生態系と海洋生物の広範囲な管理を促進します。

  3. 充分な体制作りとキャパシティ:
    シースケープは、海洋政策の構造(政府的、商用的、社会的)を作り上げるため、人材、インフラを含む適切な体制を構築します。

  4. 民間セクターの参画:
    シースケープは、生態系の持続可能な管理を前提とした、主要な経済活動の実現可能性と採算性との連結により、保全と開発の両立を推進します。

  5. 社会的・政治的サポート:
    シースケープは海洋保全の社会的、政治的な実現可能性の拡大を持続可能な開発に欠かせない一部とみなし、現地の海洋管理関係者から、国家のリーダーたちまで、あらゆるスケールでの支援の拡大に努めます。

  6. 重要な生息地・生態系の維持と回復:
    シースケープは、重要な生息地と生態系を維持もしくは回復させるので、生態学的プロセスと生態系サービスが持続していきます。

  7. 危機に瀕している種の再生:
    シースケープは絶滅の危機にある海洋生物の個体数減少を食い止めます。

  8. 人々の幸福と利益:
    シースケープは海と沿岸に頼って生きる人々の、社会的、経済的、文化的な利益を高めます。

  9. 持続可能な資金とマーケットメカニズム:
    シースケープは、
    安定した、多様でかつ全ての優先海洋保全活動を実施するのに十分な大きさのポートフォリオへの資金提供し、継続的な財政支援の確保に努めています。

 

結果を導く戦略​

CIは、海の状態が世界的に回復するまで、シースケープアプローチを創設し、改良し、推進し続けます。シースケープがもたらす自然と人々への利益は、政策決定者や関係者らに、彼らの国でシースケープモデルを取り入れる決断を促すことになるでしょう。総合的な海洋統治と管理へ向けたグローバルな動向は、未来の豊かな海へと繋がります。

  • アブロルホス、バースヘッド、東熱帯太平洋、スル-スラウェシ​の各シースケープへの戦略的投資を通じて、更なる自然保護の達成と地元のパートナー組織が可能な限り責任を持てるよう強化
  • それぞれのシースケープにおける、長期的視点に基づく持続可能な財政モデルの構築
  • 西インド洋やコーラルトライアングル、中国など、保全と人々の両立をシースケープによって実現できそうなエリアを新たに特定
  • CIが関与する、しないに関わらず、国境を超えた海洋の管理と統治を改善するために、シースケープのアプローチを政府関係者や多国間機関関係者らに普及啓発