​​​​​​​​​​​​プレスリリース

世界の海洋健全度指数
(オーシャン・ヘルス・インデックス/OHI) 

スコアが67

2014年度OHI年次報告で
南極および公海を初めて評価

Iceberg in Paradise Harbor in Antarctica.jpg
Iceberg in Paradise Harbor in Antarctica​ © LEVI S. NORTON​​

2014年9月29日

OHI​は、カリフォルニア大学サンタバーバラ校・国立生態系分析統合センター (National Center for Ecological Analysis and Systhesis / NCEAS)コンサベーション・インターナショナル (CI) の科学者らが主導するパートナーシップです。今年で3回目を迎えたOHI年次評価は、公海も評価しました (公海は追加データが必要だったため、過去の評価には含まれていませんでした)。​これまでの排他的経済水域 (EEZs) の評価とあわせ、地球上のすべての海域がOHIで評価されました

南氷洋のスコアは100点満点のうち72点で、他の公海地域での平均スコアは67点でした。また、220のEEZsのスコアは、3年連続で67点でした。

「最初の2年間は、海岸線から200海里以内の海洋健全度を提示できましたが、それはジグゾーパズルでまず縁のピースをつなぎ合わせるようなものでした」と、カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授でOHIリード・サイエンティストのベン・ハルパーンは述べています。「パズルの残りの箇所である南極と公海を埋めると、絵が完成します。これは地球上の海を丸ごと理解するために、とても重要なステップだったのです。」

海洋の約64パーセントを占める公海をOHIに追加することで、未だ十分な研究が進んでいない海域とはいえ、より完全な海洋健全度の姿に近づくことができました。

南極および南極海​

南極において評価された8つの「目標」は「食料供給」(55)、「海洋生産物」(29)、「沿岸保護」(99)、「生計手段&経済」(83)、「観光&レクリエーション」(55)、「場所のイメージ」(46)、「きれいな水」(100)、そして「生物多様性」(94) となっています。​

「南極および南極海は、化学汚染や富栄養化、病原菌やゴミなど、​人間の営みによる様々な影響から遠く離れていることで、その環境が守られています。それゆえ、例えば「きれいな水」などの目標で、非常に高いスコアを獲得しているのがわかります」と、CIのムーア科学海洋センターのエクゼクティブ・バイスプレジデントでチーフ・サイエンティストのグレッグ・ストーンは述べています。「とはいえ、「漁業」に関しては、モニタリング体制を改善し、オキアミ漁業の漁獲量削減と新たな管理体制の構築といった努力にも関わらず、この海域での影響は甚大です。またこの海域では、違法・無届・未規制漁業 (IUUs) が未だに続いています。」

NCEASのプロジェクト・サイエンティストで南極評価担当リード・サイエンティストのキャサリーン・ロンゴは、以下のように述べています。「南極の「生物多様性」目標は100点満点中94点という、心強いスコアを示していますが、これは種の評価がなされている132種のみに基づいています。良かった点として、例えばシロナガスクジラ (blue whale) やナンキョクオットセイ (Antarctic fur seal)、セミクジラ (Southern right whale)、ザトウクジラ (humpback whale) など、歴史的に搾取され続けてきた多くの種が復活しています。しかし、いくつかの象徴的な種であるミナミマグロ (Southern Bluefin tuna)、ウバザメ (basking shark)、ニシネズミザメ (porbeagle)、ジェンツーペンギン (Gentoo penguin) の他、ゴウワタリアホウドリ (the Tristan albatross)、ワタリアホウドリ (wandering albatross)、マユグロアホウドリ (black-browed albatrosses)など、38種で個体数が減少しています。うち2種はIUCNレッドリストで「絶滅危惧Ia」、7種は「絶滅危惧Ib」、14種は「絶滅危惧II」、15種は「準絶滅危惧」にカテゴリー分けされています。おそらく漁業の影響で、餌が減少しているためと思われますが、当地ではすべての自然システムが海氷に依存しており、これは気温上昇の影響でその形成や消失の場所・時期などが異なるため、気候変動も重要な要因と考えられています。こうした状況に生物種がどれだけ適応できるかは不明ですが、あるペンギン種の個体数が増加し、一方で他のペンギン種は減少している状況が警告するように、気候変動による生息環境の変化は既に始まっているものと考えられます。」 

ロンゴはまた「根本的な問題として、この海域に生息する多くの海洋生物の様子について、絶対的に情報が不足しているということです。例えば、評価されていた132種のうち53種については生息状況が不明、象徴的な種48種のうち13種は生息状況についてデータ不足、26種は個体数傾向についてデータ不足でした」と述べています。

「場所のイメージ」目標は46点で、この海洋の文化的、伝統的、精神的、そして美的価値に対する無形要素の価値を示しています。この目標のうち、準目標「象徴的な種」の状況はプロキシー法で90点と評価しており、また準目標「特別な場所」は、南極の近海や沿岸の保護状況がこの準目標ターゲットである30%に対しほんの一部でしかないことから、わずか1点というスコアになっています。

「各目標のターゲットとして設定されている100点満点というスコアは、現在と未来のための最大限の利益を、現実的かつ持続的に生み出すことが出来る状態を反映したものです。100点以下のスコアはすべて、なんらかの改善の余地があることを示しています」と、OHIマネジング・ディレクターのスティーブン・カトナは述べています。「他の海域と同様、南極でも、「食料供給」「海洋生産物」「場所のイメージ」などが低いスコアですが、海洋生息地や野生生物、経済的に重要な生物種などの健全性を維持し、今後まだまだ人口が増え続ける私たち人間のニーズを満たすために改善すべきことを示しています。」

公海

公海の評価に関する3つの目標および準目標:「漁業」「象徴的な種」そして「生物多様性」(すべての評価種の絶滅リスクについて)

「公海は、マグロなどの種の重要な漁場として、またクジラやサメ、ウミガメなどの象徴的な種の生息地や通過点として、私たち人間の暮らしに重要な存在です」と、CIの保全サイエンティストで公海評価担当リード・サイエンティストのエリザベス・セリグは述べています。「南極の評価と同様、公海の広さと遠さから、私たちの研究はすべての生物の生息地や生態について対象にはできませんでした。それゆえ、これらの海域における「生物多様性」目標のスコアは、公式に個体群状況が評価されていた種のみをもとにしています。」

東インド洋および中央大西洋東部は79点ですべての海洋中、最高点を獲得、最低は北太平洋西部で53点でした。

中央大西洋東部は「漁業」準目標で81点を獲得し、総合で最高点、続く西インド洋は80点でした。数種の生産的な種がこれらの高スコアに貢献しており、魚資源バイオマスが最大持続生産量 (MSY) を提供するバイオマスの5パーセント以内というターゲットに近いと考えられます。またこれらのスコアは、漁業管理の質、魚資源の脆弱性、そして水揚げされた海産物の分類の正確性などの要素を反映しています。大雑把な分類は減点になりますが、分類されていない場合は、方法がないので減点はしていません。水揚げした海産物を減点していないため、スコアが高くなっている場合があることに注意が必要です。

北太平洋西部は「漁業」準目標で7点という最低スコアを獲得していますが、これはこの海域のバイオマスが、最大持続生産性を提供するバイオマスからかけ離れた状況にある、ということを表しています。

地域別評価

OHIは今年、今回の第3次グローバル・アップデートに加えて、世界2箇所の地域別評価も発表しています。ブラジル17沿岸州における海洋健全度の評価と、アメリカ合衆国西部沿岸地域の健全度の第二次評価です。

次のグローバル評価の公表は2015年9月に予定されています。

###

プレス関係のお問い合わせ: 

コンサベーション・インターナショナル
Kevin Connor
703-341-2405
kconnor@conservation.org 

CIジャパン・広報担当
笠原 塩見
03-5315-4790
skasahara@conservation.org

NCEAS – UC Santa Barbara
LeeAnne French
805-892-2529
french@nceas.ucsb.edu

メディア用資料: 

オーシャン・ヘルス・インデックス (OHI) 

オーシャン・ヘルス・インデックス (OHI) は、海洋の健全性を生物学的、物理学的、経済学的、および社会学的など、多面的な側面から比較評価する世界初の評価ツールです。持続可能な状態を100点とする10の「目標」は、政策決定者らに対し、より持続可能な人間と海洋の生態系システムの推進に必要な情報のポートフォリオを提供します。OHIはグローバル、地域別、そして個別の海域に利用でき、これまで不可能だった海洋健全性に関する異なる要素間や地域間の直接的な比較が可能です。

OHIは、カリフォルニア大学サン タバーバラ校・国立生態系分析統合センター (National Center for Ecological Analysis and Systhesis/NCEAS)、ブリティッシュ・コロンビア大学Sea Around Us (われらをめぐる海) プロジェクトを含む、65人以上の海洋専門家の協力を得て開発されました。OHI設立パートナーは、コンサベーション・インターナショナル、ナショナル・ジオグラフィック協会、そしてニュー・イングランド水族館です。OHI設立スポンサーはパシフィック・ライフ財団、また設立助成金をボー & ヘザー・リグリー夫妻 (Beau and Heather Wrigley) よりご支援いただきました。詳細は、www.oceanhealthindex.orgを、またFacebookTwitterもご参照ください。日本語の解説ページはこちらをご参照ください。​