熱帯アンデス
​Glass frog eggs from an undescribed species in southern Ecuador.
© CI/Photo by Robin Moore
 

地球上で最も豊富な生物資源を有する熱帯アンデス地域は、世界の地表面積の1%弱に過ぎない地域に、全世界の植物種の約6分の1が見られます。固有植物種には、100年に1度花を咲かせるというプヤ・ライモンディも含まれます。

絶滅危惧種であるキミミインコ、イエロー・テイル・ウーリー・モンキー、メガネグマは全て現地固有種です。このホットスポットは世界で最も多様な両生類を有し、664種が生息しています。残念ながらそのうちの450種が2004年度のIUCNレッドリストに絶滅危惧種として登録されています。

これらの生物が生息する森林は、その4分の1を残すのみで、採鉱、森林伐採、石油採掘、麻薬栽培などによって脅かされています。この地域の多くの大都市の発展のために、この脅威は拡大しています。雲霧林は水力発電のダム開発により破壊されつつあり、アフリカツメガエルや牛の放牧用の牧草などの外来種の移入も問題となっています。





概説

地球上で最も豊富な生物資源を有する熱帯アンデス地域は、西ベネズエラから北チリ、アルゼンチンに広がる1,542,644km2もの面積を持つ地域で、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビアの大部分を占めています。南は南回帰線から、北はコロンビアやベネズエラのアンデス地域まで拡がり、アンデス山脈や近隣山系の熱帯区域を含んでいます。西側は標高1,000mまで下に拡がり、トゥンベス・チョコ・マグダレナ・ホットスポットと隣り合っています。また東側は標高500mまで下に拡がり、アンデス山脈の斜面の森林地帯とアマゾン低地帯との境界線となっています。

アンデス山脈は雪山や急斜面、深い渓谷、点在する渓谷を持つために気温の高低差が大きく、微小な生息環境や生物種は驚くべき多様性を進化させてきました。このホットスポットは、ペルーの街・カバナコンデにある深さ3223mの世界一深い渓谷「コルカ渓谷(Cañón del Colca)」や、ペルーとボリビアの国境の街・アルティプラーノにある、標高3810mに位置し航行可能な湖として世界最高所の湖「チチカカ湖」を有しています。

ペルーの極北部のエクアドルとの国境線を通る東西方向の渓谷により、熱帯アンデスは北域と南域に分けられます。この渓谷はマラニョン峡谷(Marañon Gap)あるいはワンカバンバ渓谷(Huancabamba Depression)と呼ばれ、標高が約500m降下するために、動植物相の分散を妨げる重要な役目を担っています。北部では、アンデス山脈はコロンビア最高峰のシエラ・ネバダ・デ・サンタ・マルタ山脈(Sierra Nevada de Santa Marta)を含むコロンビアの3つの山脈に分割されているため、元来このホットスポットは複雑に分断化されています。ベネズエラでは、アンデス山脈はラ・コスタ山脈(Cordillera de la Costa)、カリペ山脈(Cordillera de Caripe)、パリア半島(Península de Paria)まで続いています。

このホットスポットには、標高の変化により様々なタイプの植物が分布しています。標高500mから1,500mには熱帯湿潤林が広がっています。標高800mから3,500mには様々な植生の雲霧林が広がり、ペルーやボリビアの面積の500,000km2以上を占める雲霧山林帯(ユンガス地域、セハ・デ・セルバ地域、あるいはセハ・デ・ラ・モンタナ地域)を含んでおり、地球上で最も豊富な生物資源を有する森林の1つです。3,000mから4,800mの高緯度帯には雪線まで草原と低木の植生が広がっています。これらの生態系は、寒冷で湿潤な北アンデス地域では、スポンジのような吸湿性の高いコケや芝生の厚いマット状に成長する高山植生のパラモを有し、寒冷で乾燥した南熱帯アンデス地域では、ハーブや芝生、スゲ、地衣類、コケ、シダに囲まれた高山性のバンチグラス種に象徴されるように、乾燥プーナを有しています。これらの主な生態系に加えて、このホットスポットには乾燥林や森林地帯、サボテン、有刺低木林、潅木林もあります。