中央アジア山岳地帯
Kyrgyzstan mountain.​
© Karen Mikosz/KSM Photographic
 

アジアを代表する2つの主要山脈が走る中央アジア山岳地帯は、古代ペルシャ人に『世界の屋根』として知られていました。このホットスポットの生態系は、氷河から砂漠まで変化に富んでおり、中でも破壊の聞きに瀕しているクルミ種の森は周辺地域に生息する様々な果実樹種の原種を多く含んでおり、遺伝的多様性の宝庫といえます。

また、絶滅危機に瀕しているアルガリ(中央アジアの高山に生息する野ヒツジ)を含め、非常に多様な有蹄動物の生息地もあります。


概説

中央アジア山岳地帯はアジアを代表する2つの主要な山岳地帯、パミール高原と天山山脈からなっています。このホットスポットの86万km2には、政治上は、カザフスタン南部と、キルギスとタジキスタンのほぼ全土、ウズベキスタンの東部、中国の西部、アフガニスタン北東部、およびトルクメニスタンの一部を含んでいます。また、標高6,500m以上の山々や、砂漠盆地もあり、そのもっとも大きいものがフェルガナ峡谷です。ここには、非常に多くの固有植物種が生息していますが、水ストレスと内戦により、固有の生物多様性が、深刻な脅威にさらされています。

東パミール、西パミール、パミール・アライ山脈を含むパミール高原地帯は、「世界の屋根」として古代ペルシア人に知られていました。東パミールは高度変化のあまりない、いわば高原のような感じですが、西パミールはうって変わって、鋭く尖った尾根に、険しい勾配、深い谷と断崖絶壁の峡谷が特徴です。

このホットスポットの最高峰はコングール山です。(最高地点は中国領パミール高原の7,719mで、その他の4つの山頂も7,000m級です。) 長さ300km、幅150kmのフェルガナ谷は、パミール高原と天山山脈を分け、東西2500kmにも渡る、複雑な山並みを成しています。また、2万箇所以上の氷河を擁し、およそ、18,000 km²を覆っています。

中央アジアの気候は基本的に、乾燥しています。降水量は、主に春と冬に集中し、ホットスポットの西のGissar 山脈の1,500mm以上から東パミール高原の100ミリmm未満まで様々です。

ホットスポットの主な植生タイプは、砂漠、半砂漠地帯、そして大草原地帯で、下部斜面、丘陵地帯、周辺の山脈や主な盆地帯などで見られます。ところどころに見られる水系森林はイリ渓谷とその他数箇所に残っています。

より標高が高い場所では、大草原群は様々な種類の草やハーブ類に占められる一方、比較的、低い場所の草原地帯では、潅木群落が広がっています。トウヒ林はこのホットスポットで唯一の針葉樹林で、天山山脈の北側斜面に生息し、ジュニパーあるいはarchaのような疎林が900m~2800mの間に広がっています。高山植物が生息する草原は山の西側、2000m~4000の間、あるいはそれ以上の高所で確認できます。標高が最も高く、最も冷涼な場所になると、植生や多様性が、団塊植物や雪田植生、ツンドラなどに限られます。