マダガスカルの生物多様性略奪-国際社会の対応が急務 レストランの注文で絶滅の危機に瀕する霊長類レムールが密猟される
 
 
(2009年8月20日 ワシントンDC)- 政治の不安定な状況が続くマダガスカルでは、多くの希少な生き物の生存が危うくなっている。違法にレムールを狩猟し、レストランで"贅沢な" 肉として供するために売ろうとした密猟者など15人が逮捕された。ユニークで貴重な生態系を有するマダガスカルでの"生物多様性の略奪"を直ちにやめさせるために、コンサベーション・インターナショナル(CI)は、国際社会の至急の対応を呼びかけている。

政治的混乱により法的執行力が弱体化している隙をついて、犯罪者グループがマダガスカルのユニークな生物多様性を大規模に破壊している。違法伐採、違法堅材輸出に続いて、野生動物レストランのオーナーから注文を受け、レムールが野生食肉(ブッシュミート)として売られる事件が起こり、国内で15人が逮捕された。政変後最初のケースとみられる。

今年起きた政変以降、世界銀行やアメリカ政府など多くの国や国際機関が、人道支援以外の環境保全と開発に関する事業を停止した。この国際支援の引き上げによりマダガスカルの環境行政は弱体化し、この状況を利用しようとする犯罪者に格好の状況を作り出した。マダガスカルは世界の生物多様性保全においてもっとも重要な国のひとつであるが、2009年3月以降、アジアへの輸出のため国立公園で違法に木材が伐採されたり、ペット取引のために野生動物が収集されたりという環境的悲劇が起こっており、いまやブッシュミートとしてレムールが狩猟されている。

コンサベーション・インターナショナル(CI)の会長でレムール研究者としても世界的に知られるラッセル・ミッターマイヤー博士は、「マダガスカルの生物多様性に起こっている状況は、あまりに恐ろしい。また、この優美で魅力でほかに類を見ない生き物の虐殺は、まったく許しがたい。この違法狩猟は、住民が生活のために行ったのではなく、この地域の都市部にあるレストランで"贅沢"なメニューとして出されるためである。なにより、この密猟者たちは、人々がもっとも見たがっているレムール、すなわち"金の卵を産むガチョウ"を殺している。国と住民が将来エコツーリズムから得られる収入を奪っている」。

さらに博士は、「マダガスカルは、先週、政治的危機を解決するために重要なステップを踏み出し、デモクラシー回復に向け動き出した。国際支援機関が環境保全と開発への資金凍結を続けることは、貧弱な自然資源行政を助長するだけで逆効果だ。国際社会は、地球規模で重要な資源を破壊から守るため真剣に取り組んでいる地域の野生生物保護組織を支援するために至急行動すべきである」と付け加えた。

マダガスカルのエコシステムや危機に直面する野生生物を守ることは、単に科学的に重要というだけではない。マダガスカルでは、2千万人の人々がエコツーリズムに大きく頼っている。エコツーリズムは政変以降崩壊していたが、状況が改善されればすぐに息を吹き返す可能性が高い。マダガスカルの森林は、気候変動(地球温暖化)を防ぐためにも重要であり、CIが実施する数件のプロジェクトは、現存する森を守り荒廃した地域を回復させることが、いかに大きな利益を地元住民にもたらし、二酸化炭素吸収に貢献するかを示している。

ミッターマイヤー博士は、「実質的に全支援を停止することによって国際社会が国のリーダーを罰しようとするためにこのような状況が発生する。今後、政治的変動への国際的対応については熟慮し、支援がもっとも必要とされるところに多大な負荷を背負わせることのないようにする必要がある」と述べた。

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