インドネシア・パプア州沿岸で、新種のサメ、シャコ、サンゴなどを発見
 
 
早急な保全措置を-
(アンタナリボ)- 国際環境NGO・コンサベーション・インターナショナル(CI, 本部・米ワシントンDC)は、アジアの海洋生物多様性の中心ともいえる「コーラルトライアングル」で2回の海洋調査を実施し、エポウレットシャーク(モンツキテンジクザメ属)、クジャクベラ、サンゴなどの新種を含む多数の新種の海洋生物を発見しました。

多数の新種が発見されたのは、インドネシア・パプア州の北西端のバーズヘッド半島沿岸海域。1200種以上の魚類、世界のサンゴの75%に相当する約600種のサンゴが生息しており、他に類のない多様性の高い海洋生態系です。調査隊は、バーズヘッド沿岸海域の海底は非常に変化に富んでおり、胸びれで「歩く」エポウレットシャークや、色とりどりの魚がいろいろな色・形・大きさをしたサンゴ礁に生息する様が見られるとのこと。

この海域は、コーラルトライアングルの中核的な海洋生態系で、インド洋から太平洋にかけての海洋生態系の維持にとっても重要ですが、ダイナマイトや青酸カリを利用した漁法による過漁獲や、沿岸水質を悪化させる森林破壊や鉱業が行われています。

CIインドネシア海洋プログラムのシニア・アドバイザーで、調査隊長を務めたマーク・アードマン(Mark Erdmann)によれば、「パプアのサンゴ礁生態系は、豊かな生物種を生み出す『工場』ともいえ、地元コミュニティはもちろんのこと国際社会もその恩恵を受けており、その保全は急務」です。バーズヘッド沿岸海域の海洋生物多様性は、「カリブ海全体のサンゴの多様性の4倍に当たり、今回の調査対象地のうち6ヶ所では、それぞれ250種以上のサンゴからなる生態系を形成しています」。

バーズヘッド半島の人口密度は高くありませんが、住民は海の恵みに生活を依存しています。インドネシアでは、同国西部で続く過漁獲に対処するためパプア州に漁業を移転させる計画があり、バーズヘッド沿岸海域の豊かな海洋多様性とともに地域住民の生活を脅かすことになりかねません。

社会・経済調査を担当したパプア州立大学のパウラス・ボリ(Paulus Boli)氏は、「沿岸漁村は、ほとんどが採取・零細漁業に従事しており、彼らの生存にとって健康な海洋生態系は不可欠である」と述べています。「同海域に現在計画されている商業漁業の拡大は、生態系に悪影響をもたらす可能性があり非常に心配される。生態系の持続可能性が維持されるよう予防原則に基づく早急な対策が求められる。」

今回の調査では、これまで未知だった50種以上の魚類、サンゴ、シャコが、2500の島々およびサンゴ礁からなる1800万haの海洋生態系で発見されました。ここには、オサガメの世界最大の産卵地が含まれているほか、マッコウクジラやシャチ、イルカなどの生息地としても知られています。一方、当地から数百キロしか離れていないパプア島フォジャ山地では、今年初めに多くの新種生物が発見されたばかりであり、パプアが陸海の生物多様性の宝庫であることが明らかになってきています。

インドネシア科学院(LIPI)海洋科学センター長であるスハルソノ博士(Dr. Suharsono)は、「森林省とCIが本調査からもたらしたデータ類は、重要な生態系の保全と管理を計画する上で、非常に有効だ。2007年中に計画されている調査も大変期待しており、重要な地域の効果的な計画策定に貢献してくれるだろう」と述べています。

現在、バーズヘッド沿岸海域の中で保護下にあるのは、WWFインドネシアが支援するTeluk Cenderawasih 国立公園だけであり、全体のわずか11%に過ぎません。今回の調査結果によって、この地域の海洋生物多様性を保全し、商業漁業および採取・零細漁業の長期的な持続可能性を維持するために、適切な海洋保護区(MPA)のネットワークの形成が必要であることが明らかになりました。

今回の調査は、ウォルトン・ファミリー財団がスポンサーし、インドネシア森林省森林・環境保護局とそのパプア地方局、Teluk Cenderawasih 国立公園事務所、パプア州立大学、WWFインドネシアの協力により実現したものです。

***

ジャーナリストの方にこの度発見された新種および調査の写真・ビデオ映像をご提供いたします。