世界初!地球規模の野性生物カメラ調査が捉えた哺乳類減少の要因
 
 

 

 

20082010年の2年間、3大陸7カ国に渡る地球規模の定点カメラ調査が捉えた
52,000枚もの画像から明らかになった事実

~哺乳類の多様性を守るための保護地域の重要性~


20118 16日 アメリカ・ヴァージニア州】
本日、世界初の地球規模による野性動物カメラ調査の結果が国際的な科学者グループより発表されまし
た。調査結果には、南北アメリカ大陸、アフリカ、アジアに渡る7つの保護地域から、52,0000点余りの画像に105種類の生物が確認され、写真は、小さな野ネズミから、 巨大なアフリカ象、ゴリラにクーガー、オオアリクイなど驚くほど様々な動物のありのままの姿を瞬間的に捉えているほか、旅行者や密漁者の姿まで捉えています。

生息環境が失われ保護地域が減少すれば、哺乳類の個体数の多様性や生存に直接的で有害な影響を与えるということが、これまでの個別の地元調査で分かっていましたが、今回の画像データの分析によって、科学的にその命題を証明することができました。種の多様性が低く、体の大きさや食べ物の選択肢が限られる生物種についてはその影響が大きくなります。つまり、生息環境が悪化すれば、小動物や食虫動物から姿を消していくことになります。長期間の調査で得られた今回の情報は、森林に生息する哺乳類に与える地球規模~地域レベルの脅威の影響を認識し、手遅れになる前に絶滅を予測する上で、非常に重要なものとなります。

調査は、コンサベーション・インターナショナルの“熱帯生態学評価とモニタリングネットワーク(TEAM)”の生態学者、ジョージ・アフマダ博士率いるチームで行われ、研究の成果は、英国学術院のフィロソフィカル・トランザクション誌に、「群集構造と熱帯哺乳類の多様性:グローバルネットワークを利用した定点カメラからのデータ(仮訳)」として発表されました。調査対象は、ブラジル、コスタリカ、インドネシア、ラオス、スリナム、タンザニア、そしてウガンダの保護地域です。この調査は、哺乳類研究において地球規模の定点カメラ調査で世界初となっただけでなく、哺乳類以外の様々な種類の動物も含めた最大規模のカメラ調査となりました。

データ収集には、世界中で420台のカメラが設置されましたが、一つの調査地で1ヶ月間、2㎢ごとに一台の割合で60個の定点カメラを配置しました。画像は2008年~2010年の間に回収され、研究者らはそれらの画像から、まずは、種や体の大きさ、食習慣別に分類しました。この結果、保護地域が大きく、森林に連続性が高いほど、次の3つの傾向があることを突き止めました。

(1) 種の多様性が高い。
(2)大型哺乳類の個体数を含めて、非常に様々な大きさの動物がいる。
(3)それら哺乳類は、非常に多様な食習慣を持っている。(食虫動物、草食動物、肉食動物、雑食性動物)

「生息地の破壊は、地球上に棲む哺乳類の多様性を少しずつだが、確実に減らしている。」と、アフマド博士は語り、続けて次のように結論づけています。「私たちはこの調査から2つの重要な結論を提起したい。一つは、保護地域の重要性。動物たちが暮らす森が大きければ大きいほど、生物種、体の大きさ、食習慣の多様性が高い。2つ目は、アリクイ、アルマジロ、霊長類の中のいくつかの種類に見られるような食虫哺乳類は、哺乳類の中でも生息地の喪失に対する適応能力が弱い。つまり、他のグループ(例えば草食動物)に対して、最初に姿を消していくと考えられるのです。」

調査された場所の中で、中央スリナム自然保護区が28種類と最も多様な種を捉えた一方、ラオスのナン・カディング国立保護区域は13種と最も少ない。なお、画像が捉えた種の大きさは26g(ナミマウスオポッサム/Marmosa murina)から3,940kg(アフリカ象/Loxodonta africana)まで幅広く及んでいます。

全哺乳類の約25%が脅威にさらされ、地球規模での定量データがほとんど手に入らない中、今回の調査は不完全な情報を埋め合わせ、研究者らは乱獲や農地転換、気候変動といった、地元から地域、そして地球レベルの様々な脅威に対して、哺乳類がどのように、影響を受けているかについて知ることができました。

哺乳類は生態系の健全さを示す指標になり、自然界で重要な役割を果たすだけでなく、例えば植物の生育調節や栄養の循環、種子の飛散のように、究極には人間に便益を与えてくれるものです。科学者の中には、大型哺乳類は二酸化炭素の密度の高い種子を分散させることができるため、もし乱獲されて姿を消すことになると、森林の炭素貯蔵能力が減少すると主張する人もいます。  

森林の炭素貯蔵能力が減ることは、気候変動の影響を軽減させる力が減少することにもつながり、それは私たち人間の生存に大きく関わることなのです。

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◆調査の画像、データ資料は下記からアクセス・ダウンロードいただけます。

◇論文全文はこちらから
http://rstb.royalsocietypublishing.org/lookup/doi/10.1098/rstb.2011.0115

◇定点カメラ調査の全データはこちらから
www.teamnetwork.org/en/data/query

◇画像はこちらから
http://smu.gs/piTgWh

※クレジット

コンサベーション・インターナショナル(CI)提供

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