沿岸生態系に熱帯林の50倍以上の炭素固定力 気候変動緩和策の観点からもマングローブ、海草、海岸草原などを含む沿岸生態系保全が急務
 
 
(2009年11月18日)-コンサベーション・インターナショナル(CI)の海洋気候変動プログラム ディレクターのEmily Pideon博士の研究により、海岸の塩分を含んだ草原やマングローブ、海辺の植物の草原は、大気中の炭素を取り除き、土壌に閉じ込める驚異的な可能性を持っていることが分かった。CIは沿岸の壊れやすい生態系を守るための迅速な行動を呼びかけている。

11月17日に発表されたIUCNの「The Management of Natural Coastal Carbon Sinks」に掲載されたPideon博士の報告「Carbon Sequestration by Coastal Marine Habitats: Important Missing Sinks」は、沿岸生態系が1年間に同じ規模の熱帯林の50倍ものカーボンを堆積物内に固定できることを説明している。

Pideon博士によれば、沿岸生態系と森林の大きな違いは、マングローブや海草、塩生草原は、それらの堆積物のなかに炭素を数百年、あるいは数千年の間、留めておける点で非常に効果的であるということである。熱帯林は、炭素を土の中に留めておく点においては効果的でなく、炭素のほとんどは生きている植物内および落葉落枝に留められている。しかし沿岸生態系は、その生活史を通じて多くの炭素を留め続ける。また、多くの炭素は、植物内よりも土中に閉じ込められるため、植物が死んだときにも、比較的少量の炭素だけが放出されるだけだという。

「沿岸生態系は、大気から炭素を取り除くだけでなく、世界の貧困層が気候変動による最悪の影響を避けることを手助けする適応策として極めて重要である。早急に沿岸生態系を守るための行動を起こす必要がある」とPideon博士は述べている。

マングローブは、沿岸のコミュニティを異常気象から守り、住民の安定した食料源となる多様な魚類が育つ場所となっている。海草は、沿岸の土壌流出を防ぎ、住民の生計を助けるような商業的に重要な魚類の住処となっている。また、塩生草原は、破壊的な漁業による堆積物を防ぐバッファー(緩衝地帯)となり、淡水の帯水層への塩水の浸入を防ぐ役割を果たしているとみられる。

「世界の森林は、その規模だけでも重要な炭素固定源である。一方、沿岸の生態系の莫大な炭素固定力はいままで見過ごされてきたが、気候変動における国際的な努力における重要な可能性を持っているといえよう」とPideon博士は述べた。

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