気候変動に取り組むNGO、企業、研究機関などによるネットワークが「気候・地域社会・生物多様性プロジェクト設計スタンダード(CCBスタンダード)」日本語版を発表
 
 
(4月16日 アーリントン)- 国際的ネットワークである「気候変動対策におけるコミュニティおよび生物多様性への配慮に関する企業・NGO連合(CCBA)」が、植林や森林保護、農業などの土地利用による気候変動対策に関するプロジェクト企画および実施のための基準である「気候・地域社会・生物多様性プロジェクト設計スタンダード(以下、CCBスタンダード)(第2版)」の日本語版を発表した。これにより、CCBスタンダードは、英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語を含む全6言語となり、より多くの地域での利用が促進される。

CCBスタンダードは、第1版が2005年に発表され、2008年12月に第2版として改定された。日本企業による植林事業や森林カーボン・プロジェクトへの投資が増えるなか、今回新たに日本語とポルトガル語が追加されたことで、日本のカーボン・クレジット購入者やプロジェクト開発・実施者にも利用されやすくなるとともに、アマゾンなど重要な森林を持つブラジルでの利用促進が期待される。また、一般市民の間における土地利用プロジェクトの設計・実施時に配慮すべき事項の理解が高まることも同時に期待される。

CCBスタンダードは、森林カーボン・プロジェクトにおいて、温室効果ガスの排出削減・吸収する効果とあわせ社会および環境(特に生物多様性)への追加的便益を促進する実証可能な基準を示すものである。また、第三者機関の審査を受けることにより、プロジェクトの多面的便益性を客観的に実証することができる。

CCBAのディレクターであるジョアンナ・ダービン氏は、「CCBAでは、より多くの人々がCCBスタンダードを使えるように努めている。今回の翻訳版の発行により、日本企業やブラジルのプロジェクト関係者などに最大限に利用されるようにしていきたい」と述べた。

日本では、環境や社会への配慮に関心を持つ企業・個人が増加している。多面的な便益を生み出すカーボン・プロジェクトへの関心も高く、CCBスタンダードが、排出削減や社会的責任の目標に合致するプロジェクトを見極めることに役立つことが期待されている。

「CCBスタンダードは、温室効果ガスの削減と同時に地域社会、生物多様性に配慮した多面的な便益をもたらすプロジェクトであることを示すための有効なツールとして、国際標準となりつつある」と、三菱総合研究所 科学・安全政策研究本部 主任研究員の関根秀真氏は指摘する。「CCBスタンダードは森林から農業まで対象範囲が広く、世界中で様々な土地利用プロジェクトへ導入が進むことを期待している。」

カーボン・オフセット・プロバーダーmoreTrees事務局長の水谷伸吉氏は、「良質の森づくりによるプロジェクト展開を目指す我々にとって、多面的便益をもたらすプロジェクトを誰でも簡単に見極められることは、大きな意味を持つ」と語る。

三菱総合研究所、moreTrees、コンサベーション・インターナショナルは、3者が協力してフィリピンで準備中の森林再生プロジェクトが多面的に貢献することを明確に示すために、CCBスタンダードを用いることを計画している。

森林が消失すると、二酸化炭素が大気中に放出されるが、その量は世界全体の人為的な温室効果ガス排出量の約2割を占める。これは自動車や航空機など世界中の運輸部門からの総排出量よりも多い。

アマゾンの熱帯雨林の保全を目的とする『森林ジュマ持続的開発保全プロジェクト』でもCCBスタンダードが採用されている。「ブラジル政府や地元および国際的なパートナーとの協働で展開するこのプロジェクトでは、CCBスタンダードを使うことで、森林減少・劣化からの温室効果ガス排出を削減するプロジェクト(以下、REDD)が森林を守り続けている先住民族や地元のコミュニティに貢献することができる」と、アマゾナ州環境と持続可能な開発長官のナディア・フェリパ氏は述べている。「ブラジルではREDDプロジェクトのポテンシャルが非常に高いため、公用語であるポルトガル語でCCBスタンダードを利用できることは重要である」と付け加えた。ブラジルの温室効果ガスの排出量は、土地利用変化を含めると世界第4位であり、排出量の60パーセントが森林の減少によるものである。

マリオット・インターナショナル、ディズニー社、3M社など、数多くの有力企業ではCCBスタンダードで認証されたクレジットを用いて、カーボン・オフセットを実施している。現在、世界中で100を超えるプロジェクトが、CCBスタンダードを採用し、プロジェクトの改善に努めている。

CCBスタンダードの日本語版は、
http://www.climate-standards.org/standards/ 
よりダウンロードできます。

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