カルフォルニアなど米3州、ブラジルおよびインドネシアの6州と、新たな気候変動プログラムの実施に合意―広大な森林の保全や回復による気候変動対策の事前契約に合意
 
 
(11月19日 米カルフォルニア)- アメリカのカルフォルニア、イリノイ、ウィスコンシンの3つの州とブラジルおよびインドネシアの6つの州が、熱帯林を守る新プログラムにより、気候変動対策に協力していくことに合意しました。気候変動に取り組む上で、熱帯林の保全は不可欠であるのにもかかわらず、今まで十分な手立てがされてきたとはいえません。

カルフォルニア州のアーノルド・シュワルツネッガー知事、ウィスコンシン州のジム・ドイル知事およびイリノイ州のロッド・ブロゴジェビッチ知事と、ブラジルの4州(アマゾナス、パラ、マトグロッソ、アマパ)およびインドネシアの2州(パプア、アチェ)が合意した覚書(MOU)は、熱帯林が持つ二酸化炭素の吸収源および固定源としてのサービスに対して、支払いを行うという画期的なコンセプトを後押しするものです。

気候変動の主要な要因は二酸化炭素の排出によるものです。エネルギー生産や、石炭や石油などの化石燃料の利用からの削減について多くの議論がなされていますが、熱帯林を燃やすことや伐採することで発生する二酸化炭素の総量は、全体のおよそ20パーセントに達し、世界中の車両や航空機などの輸送手段からの排出をあわせた量を上回っているのです。

熱帯林は、また、地球上の半分以上の生物種が生息する場所であり、人間にとっても、水、食糧、薬、花粉による媒介、土壌再生などの重要な生態系サービスや、人間の生活上欠かせない資源を供給しています。しかし、産業国による木材、ヤシ油、牛肉その他の日用品を手に入れるための需要が主な原因となって、毎年英国イングランドと同じ面積の熱帯林が、燃やしたり伐採したりすることで破壊されています。科学者たちは、森林の破壊を食い止められない場合、世界の気温は、他にいくら気候変動を防ぐための手段を講じたとしても、危険なレベルまで上がってしまうと警告しています。

「熱帯林が破壊されるとき、誰もが、どこにいてもその痛みを受ける」とコンサベーション・インターナショナル(CI)会長のピーター・セリグマンは言います。「アメリカの3州と世界で最後に残された原生林を有するブラジルおよびインドネシアの州で合意されたMOUは、歓迎されるべき重要なステップだ。この知事たちのリーダーシップは、森林に依存して暮らすコミュニティや先住民の生活を支えている熱帯生態系の危機を守るための効果的なインセンティブとなり、地球の気候を安定させることに役立つだろう。」

11月18日から19日にビバリーヒルズでシュワルツネッガー知事が呼びかけ開催された「 知事によるグローバル気候サミット」で、セリグマンは、開会のあいさつを述べ、パネルディスカッションをリードしました。知事サミットには、他の米国の州知事や、ブラジル、インドネシア、オーストラリア、カナダ、中国、インド、メキシコ、さらにEUなど世界からの参加者が参加しました。

このたびの合意は、アメリカ連邦政府の気候変動に対する立法措置と、2009年にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)における協議が進展するために、気候変動問題に先見的に取り組む各知事が発信したメッセージでもあります。国家および国際的な行動を促進する手段としての州レベルでの気候変動に対しての行動の必要性、さらに、現存する森林を守り、劣化した土地や森林での森林再生を通じて、追加的に二酸化炭素を固定し、森林管理の手法を改善することにより、森林から排出される温室効果ガスの削減する重要性を認識したものです。

国連気候変動枠組み条約での議論は、京都議定書に続く2012年以降の取り組みとして、「途上国の森林減少・劣化に由来する二酸化炭素等の排出の削減(REDD)」と呼ばれるメカニズムを模索していますが、まだ具体的な合意に達していません。今回の合意は、ブラジルやインドネシアの各州におけるREDDの取り組みによる削減効果が、今後アメリカの法制度のもと有効なカーボンオフセットの手段として検討される可能性があることを示しています。

CI森林カーボン市場担当シニアディレクターのトビー・ジャンソン・スミスは、「この合意は、アメリカの気候関連の法制度において、森林を守ることによるカーボンクレジットをコンプライアンス目的で利用していくための入り口を開くことになるだろう。国際交渉に関わる専門家も、森林からの排出削減を信頼できる強固な方法で実現し、最終的に国際的な気候変動対策における枠組みに取り入れることができることを認識するだろう」と述べています

昨年バリで開催されたCOP13では、京都議定書に続く枠組みの中で、気候変動を緩和するための戦略として、森林保全を対策のひとつに検討することに合意しました。CIやパートナー団体は、世界各地で森林を守るための実質的かつ実証可能なイニシアチブを立ち上げており、発展途上国が国際的な議論や新しい気候変動対策上の資金メカニズムに参加していくための支援を実施しています。

京都議定書は、新規植林や再植林からの二酸化炭素クレジットの取引しか認めておらず、原生林を守ることへのクレジットは認めていませんでした。その結果、現在カーボン市場での森林保全に関する資金のほとんどは、京都議定書の枠組み外のボランタリーなマーケットで取引されています。

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