ワシントン条約 ~まだ間に合ううちに~ 世界が生物資源の価値に合意した歴史的瞬間
 
地球上の生物多様性を守るため、生態系、経済、そして人々にとって深刻な脅威を回避するための決断がなされた

バンコクで開催されていた、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する国連のワシントン条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora: CITES)16回会議は、5種のサメ、オニイトマキエイ、ほぼ全ての紫檀(英名:rosewood)に関する国際取引の制限を新たに設け、歴史的に重要な会議となりました。
これらの種は、これまでその取引が禁止されていませんでしたが、今回CITESの附属書Ⅱのリストに加えられました。これは、国際取引の禁止ではありませんが、管理と責任能力を通じて、より大きなレベルの保護および国際取引の規則を提供します。これは、南・東アジア、中央アメリカ、ブラジル、マダガスカルから提案され、その商用価値からいくつかの絶滅危機にさらされている、ヨゴレザメ、ニシネズミザメ、アカシュモクザメ、シロシュモクザメ、ヒラシュモクザメ、オニイトマキエイ、紫檀、黒檀(英名:ebony)を含みます。

サメ類や樹木に関するこれらの決定に加え、CITESの会議参加国は象やサイ、カメ、アジアの大型猫科動物、ワニに関するより良い取引管理および保護に関する方策も採択しました。

CITESは、不法な野生動物取引から広範囲の種を保護する、最も重要な国際協定です。違法な野生動物取引は世界規模のマイナスインパクトを持つ“麻薬取引”にも匹敵します」と、CIのプレジデント、ラッセル・ミッターマイヤーは言います。

「今、生物多様性と全ての人類が依存する生態系に起こっている、長期的な損害を考えれば、その影響は恐らく他のどんな不法な国際活動をも超える被害です。商業的価値の高い種が保護リストへ加わることは、全ての人間にとって脅威となる、非常に重要な自然資本のさらなる損失のリスクについて各国が理解し始めていることを示していると言えます。」
不法な野生生物取引は、数十億ドルのビジネスであると推測される、世界的な闇市場です。さらに、それは世界中の生物種、暮らしや国家安全保障にとって、著しいリスクを引き起こすその他の犯罪活動へのきっかけにもなります。

「バンコク会議の進捗と合意は、2010年のカタール会議とは全く対象的でした。カタールでは、絶滅しそうな象やサイ、あるいはサメの状況を改善するための決定はほとんどなされませんでした。」と、CIのカメ保護プログラムの責任者、およびCITESCIチームのリーダー、ピーター・ポール・ヴァン・ダイク博士は言います。「象やサイ、カメ、センザンコウ、サメやエイから紫壇、黒檀および白檀(英名:sandal wood)などの国際取引のおける種と生活品に関する保護策にはまだ解決すべき課題が山積していますが、参加者達は、そうした政策がさらに持続性が継続するための唯一の実行可能な方法であることを理解するようになるのです。私達は、2週間前に到着したときよりも更に大きな希望を胸にバンコクを発ちます。」
 
●サメとエイ
「過去数十年間の国際的なエイ、サメの保全の中でおそらくもっとも前進した成果が出たといえるでしょう。」とCIの上席執行役員で海洋のチーフサイエンティスト、グレッグ・ストーンは言います。
ヨゴレザメ、ニシネズミザメ、アカシュモクザメ、シロシュモクザメ、ヒラシュモクザメを含む5つの種がついにCITES附属書Ⅱへ追加されました。これは、公海での産業用漁業によって影響を受けた種がCITESリストに初めて追加されたことになり、これらの種を追加することは今後のCITESにとって重要な先例となるでしょう。これは革命的な決定です。」
 
「クジラやウバザメ、ホホジロザメを加えれば、8種のサメ属がCITES附属書Ⅱへ追加されることになります。」
海の健全性は、サメの健全な個体数に依存しています。サメは、海洋食物連鎖の中で下位魚の個体数を安定させます。さらにサメは南アフリカ、エクアドル、インドネシアのような国にとって重要なエコ・ツーリズムを生んでいます。こうした利点にもかかわらず、乱獲によってサメの個体数は激減してきました。
 
「国際間取引は、これらの乱獲を助長させます。そしてCITESは絶滅の危機に直面している種の取引を規制する唯一の国際メカニズムなのです。」「しかしながら、サメを守るにはCITESの規則だけでは十分でありません。全ての港で適切な検査を保障する寄港国検査(Port State Measures) の実施や、地域漁場管理組織による管理法の改編などが欠かせません。」

●高級木材
「ほぼ全ての紫檀(Rosewood)附属書Ⅱへ追加されたことは、国際的に蔓延している違法取引を減らすための素晴らしき一歩です。」とCIの科学者であり、CI-CITESメンバーである、リ・ジャンは言います。
「高級家具のために需要が増加し、この大切な樹木の違法取引は暴力を伴いながら、森林減少をさらに拡大させています。」今後はワシントン条約の新たなリストによって、これらの種に関する全ての取引は、認可されていることを求められます。そして、その認可は、こうした犯罪率を軽減させることにつながるでしょう。
 
「マダガスカルと南東アジアで取引されている紫檀(Rosewood)は、過去数十年間この地域の違法伐採の犯罪を引き起こしてきました。」ミッターマイヤーは言います。「マダガスカルでクーデタ勃発した20093月からそれは主な課題でした。保護種のリスト化は、時間をかけて成長するようなこうした硬材の絶滅の危機を回避するための大切な一歩です。」
 
●カメ
北米に生息している三種類のカメが、附属書に掲載されたことで、初めて国際的な取引による乱獲に対するセーフガードが作られました。同様に、アジアに生息する23種類の淡水ガメに対しても、リストの追加が採択されました。
 
附属書によって既に取引が規制されているその他の20種類のカメについては、野生で採取された個体に対し商業取引枠ゼロ、もしくは附属書に掲載され、商業目的での国際取引が全面的に禁止することによって、厳しい管理下にありました。
 
「このワシントン条約会議においてカメに関心が向けられたことに、希望を持つことができます。」とヴァン・ダイクは語ります。「ワシントン条約でのカメの扱いに変化が起きたことは同様に、国際取引がカメの個体数にもたらす影響についてより理解し、乱獲からカメを保護するために必要な行動を展開するための一連の決定をもたらしました。」

●ゾウ
ワシントン条約のゾウ違法捕殺監視システム(MIKE)からの報告によると、2011年には象牙を得るために17千頭以上のゾウが密猟され、2012年初頭にはさらに密猟が増えているとの事です。それと同時に、マルミミゾウの60%が失われたことが、CIPLOSONEが共同出資している論文で先週確認されました。この結果を受けて、ワシントン条約の締約国と科学者達は、国内の象牙市場の監視と管理を強化し、象牙を輸入している国に対し、需要を削減するための対策を強く求めました。
 
●ワシントン条約
タイのバンコクで開催された今年のワシントン条約締約国会議は大成功を収めました。この節目となる年に、議長国タイのインラック・シナワット首相は、象牙の国内取引の停止と、タイにおける生物多様性と生態系サービスの保全活動を、国民の生活を尊重しつつさらに強化することを宣言しました。CIは、会議を具体的な成功に導いたワシントン条約の事務総長であるジョン・スキャンロンのリーダーシップを称えます。
 
ワシントン条約締約国会議は、35千種を越える動植物の取引規制の在り方を議論することを目的として、三年毎に開催されます。COP16の時点で、177の政府が、彼らの国の市民社会や実業家、非政府組織(NGO)、そして先住民の代弁者のグループを代表して、ワシントン条約に参加しました。
 
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