太平洋のオサガメ、10年以内に絶滅の危機-研究者が国際会議でオサガメ保護戦略を発表:
 
 


コスタリカ、サンホセ(2004年2月26日)-

温和な性格を持ち、ときには、体重1トン近く、2.4メートルの体長にもなるオサガメ。このウミガメが、太平洋において10年以内に絶滅する危機に瀕していることが、コスタリカ、サンホセで開催された第24回ウミガメの保護に関する国際シンポジウム(70カ国より1000人以上の専門家が参加)で報告されました。

オサガメは甲羅ではなく滑らかな上皮をもつその姿から、英名ではleatherbackといわれ、1億年以上前の恐竜の時代から既に熱帯地方から北極にかけての海で泳いでいました。しかし、1982年にはおよそ11万5千頭いた太平洋の産卵可能なメスオサガメの数は、現在までに97%も減少し、約3千頭になっていると専門家たちは考えています。

「地上の炭鉱では、カナリアが人間に危険が迫っていることを知らせるが、海洋の状況に関する警告者はウミガメであり、いま彼らが伝えてくれていることは、極めて危機的だ。残念ながらこの急激な減少は海洋全体の現象なのである。」と、国際ウミガメ保護協会会長でありCIバイスプレジデントでもあるRoderic Mastは語っています。

オサガメはよく知られたウミガメですが、他の6種のウミガメのうち5種が同様に絶滅の危機にあります。ケンプヒメウミガメおよびタイマイは、オサガメ同様に国際資源保護連合(IUCN)の絶滅危惧種(1A類)としてレッドデータブックに記載されています。またアオウミガメ、ヒメウミガメおよびアカウミガメはすべて絶滅危惧種(1B類)です。ヒラタウミガメはオーストラリアの北部海岸発見されているだけで、レッドデータブックカテゴリの「情報不足」に記載されています。

ウミガメが直面する脅威は、延縄漁業のような壊滅的な漁法や、"美食"とされる卵の盗掘までさまざまです。延縄漁とは、8000もの仕掛け張りの付いた150Kmの釣り糸を船から延ばす漁法で、多くの場合、対象とした魚だけでなく、ウミガメをも予想外に捕え殺してしまうのです。

「今日、太平洋のオサガメの死亡率は、年間30%にのぼる。」とDrexel 大学・環境科学教授のJames R. Spotilaはいいます。「これは、明らかに自然で持続的な死亡率を超えており、もし迅速な対応をしない場合は、10年以内に彼らは絶滅するだろう。」

専門家たちによれば、ウミガメを急激な減少から救うためには、2つのアプローチが必要です。 まず、産卵場となる海岸の保護と管理をより強化することです。無秩序な海岸の開発と卵の盗掘に加え、陸地側の照明もまた脅威となっています。ウミガメは、照明を月と間違え、その方向に進んでいってしまうからです。陸に入り込んでしまえば再び海に戻ることはできなくなってしまいます。たとえば、サンタクルーズ諸島や南アフリカでは海岸の保護を強化することによりオサガメの数が再び増え始めました。

つぎに、海洋環境の保護を強化し、漁業方法を改善することが必要です。今日、正式に何らかの保護海域に指定されているのは、全海域の0.5%以下です。魚を捕獲しようとする漁業者が予想に反して捕まったウミガメを殺してしまうこともしばしばです。ウミガメが逃げられるような少し大きい釣り針やしかけのようなちょっとした工夫で、死亡率を大きく下げることができます。

今回コスタリカで開かれた会議では、専門家や保護活動家たちにより、十分計画された保護活動がウミガメの減少をとどめ保護につながった成功事例が報告されました。例えば、ラテンアメリカ4カ国、国連基金(UNF)、ユネスコ世界遺産センターおよびCIの地球保全基金(GCF)は、エクアドルからコスタリカまで伸びる海洋保護区域を統合するために、これから3年間にわたり数百万ドルの支援を行います。

本年の第24回ウミガメの保護に関する国際シンポジウムでは、人間とウミガメの共存関係に焦点があてられました。かつて意見交換から始まったこのシンポジウムも、いまでは世界のウミガメ保護にとって、最も重要で影響力のある決定機関へと発展しています。 ジャーナリストの方には、より詳しいファクトシート、写真、インタビューの機会を提供いたします。