キリバスのフェニックス諸島保護区が世界最大の世界遺産に
 
ブラジル、ブラジリア(オリジナルリリース 201081日)-中央太平洋の小国キリバスに広がる原生の諸島群と大海原が、地球上で最も比類がなく、環境的に重要な場所の一つとして、ユネスコにより国際的な認定を受けました。これにより、大規模な海洋保護に向けた新たな時代の幕開けとなりました。

これは、フェニックス諸島保護区の創設にあたり、キリバス共和国とパートナーを組んだコンサベーション・インターナショナル(CI)とニューイングランド水族館(米・ボストン)の報告によるもので、その“手つかずの自然と回遊経路と水系として重用な役割を果たすこと”から、5つの新たな世界自然遺産の一つとして、このほどユネスコに登録されました。

世界遺産登録を推進する一人、CIの会長ラッセル・ミッターマイヤー博士はブラジルの世界遺産会議に出席し、「キリバスという小国に非常に大きなコミットメントがあったことが直接の結果となり、さらに連携を組む上で見事な外交手腕があったことで、この遺産登録は現実なものになりました。キリバスは世界中の賞賛と支援を受けるに値します」とコメントしています。

ニューイングランド水族館のCEOバド・リス氏は「フェニックス諸島が世界遺産としてユネスコに認定されたことは、ここのサンゴ礁の生態系が、地球上でもっとも原始の美しさを放ち、畏敬の念さえ感じるという、そこに訪問した人々が誰もが感じることを裏付けています」と付け加えています。

フェニックス諸島保護区の代表団はブラジルで開かれた第34回世界遺産会議で、この権威ある称号の通知を受け取りました。この積極的な決定により、フェニックス諸島保護区域は、408000 km2以上(ほぼ、カリフォルニア州と同じ面積)の海域をカバーし、深さは6000mに達するなど、世界で最も大きく、最も深い世界遺産地域になりました。

キリバスのアノテ・トン大統領はこの遺産登録を祝福し、なぜキリバス共和国が世界遺産登録に向けて取り組んできたかを説明しました。

「我々は、何千年もの間、海の民であり、生きるために多くの恵みと資源を海に頼ってきました。その宝物が人類にとっての長期的な恩恵をもたらすためには、保護され、分配されるべきだと考えています。この点で、フェニックス諸島保護区は、私たちから人類への贈り物なのです。」

フェニックス諸島は、オーストラリアとハワイのほぼ中間で赤道の真南に位置し、ほとんどが無人島であり、数百マイルの長さの半島を形成しています。なお、キリバス共和国はこのフェニックス諸島を含め、3つの低海抜諸島群(ギルバート諸島、フェニックス諸島、ライン諸島)から成っており、合わせてたった811㎢の土地面積の中に合計33の島が含まれ、海域は350万㎢以上をカバーしているため、世界で最も大きな環礁国家となっています。

フェニックス諸島保護区の中に、8つの環礁と2つの海中サンゴ礁、およそ14の海山(深海底から1,000 m 以上の高さの海面下の山)、深海、そして外洋が広がっており、最も、外界から隔離されて、人間の影響がなく、外洋は数千年前のようだと例えられています。この地域には、多くの固有の海洋生物種が満ち溢れ、200種以上ものサンゴ礁、500種の固有の魚類、18種の海洋哺乳類、44種の鳥類がこれまでのところ確認されています。この中には、サメをはじめとする、非常に多くの捕食動物、何万という海鳥や、ナポレオンフィッシュのように記録的な数で絶滅に瀕している生物種などが含まれます。

ニューイングランド水族館とCIとのパートナーシップを得たキリバス共和国の数年に渡る科学的な合同調査と協働を経て、フェニックス諸島保護区域はCIのグローバル・コンサベーション基金(GCF)、クリティカル・エコパートナーシップ基金(CEPF)、その他のドナーから資金と技術協力を受けています。

「キリバスは、いくつもの大きな海洋保護区域を作ることで、先陣を切って、世界的な流れを作りだしてきました。全世界は、キリバスのヴィジョンとコミットメントに敬意を表すべきです」とリス氏は言います。

キリバス保護地域の姉妹地域で、ハワイ諸島にあるパパハナモウケアケア海洋国立記念物も世界遺産リストに登録されましたが、ここはアメリカ領としては15年ぶりに世界遺産リストに登録されました。このユネスコによる同時登録は、海洋保護地域の価値が、国際的に認められたことの証であり、長いこと待ち望まれていたものです。

「地球上には2つの巨大な海洋地域が、一か所は小さな途上国に、もう一か所は世界で最も大きな経済地域にありますが、海洋生物の宝庫を保全するために一致協力して取り組むことは絶対的に重要です。海洋保護区域はついに、海洋管理のツールとして日の目を見ることができました。これは希望という新しい章の始まりであり、健全な海洋のために人間同士の協力があったことを示しています」とミッターマイヤー博士は述べています。

海洋保護区域の管理と強化はキリバスの資源、補助金、新たな寄付システムなどを通じて資金が生み出され、これが保護区域の管理費用をカバーし、商業漁業の収入で失われる分を政府に保障するものとしています。

「海面上昇や海洋の酸性化を加速させている気候変動を含めた脅威によって、私たちのライフスタイル、文化、国民、そして国家がまさに危機に瀕しています。今回の世界遺産登録により、フェニックス諸島海洋保護区域が自然のラボとなることで、汚染や都市化のような人間に起因する要因がない場所で、科学者が気候変動の影響を調査することができる。このことは、私たち人間が地球規模の変化に適応する上でのヒントを与えてくれるかもしれない」と、トン大統領は述べています。

CIの海洋保全のシニアバイスプレジデントのグレッグ・ストーン博士は、かつてない科学的好機だと考え、次のようにコメントしています。「私は、過去10年間で3回以上、フェニックス諸島を探検し、驚くべき生物多様性の一端を見てきました。しかし、CIの海洋科学者の主任研究員にとしては、生物の宝庫を理解するという点で、ほんの表面を削ったにすぎないと、断言できます。なぜなら、発見されていないものが依然として多くあるのです。これが、世界遺産にした所以であり、非常に貴重であり、とても興奮するようなことなのです。」

ボストンのウォーターフロントにある、合衆国で最も著名で人気の高い水族館の一つです。展示・公開のみならず、水族館は海洋保全の主要な機関でもあり、 世界中にフィールドを持つ科学者、ニューイングランドで海洋生物を救う生物学者、持続可能な漁業を推進するために、主要なシーフード産業に助言を与えるスタッフなどを擁しています。