キリバス共和国、太平洋島嶼地域で最大/世界で3番目の大きさになる海洋保護区を設立
 
 
生物多様性条約第8回締約国会議で発表 (3月28日 ブラジル/クリチバ)- 本日、太平洋の広大な海域に位置するキリバス共和国は、世界で3番目に大きい海洋保護区を設立することを生物多様性条約第8回締約国会議で発表した。地球上で最も自然のままのサンゴ礁からなる群島を保全することで、環境保全の歴史上、極めて大きな役割を果たした。同国は、保護区設立にかかる費用を確保し失われる商業的利益を補填する仕組みをNGOなどとともにつくる。

キリバス共和国のマーティン・トフィンガ環境・土地農業開発相は、ブラジル・クリチバで開催中の生物多様性条約第8回締約国会議において、フェニックス諸島保護区の設立を発表した。

フェニックス諸島保護区は、8つの環礁と2つの海中サンゴ礁からなり、面積は、184,700キロ平方メートル(日本の国土面積のおよそ半分)で、太平洋島嶼地域で最大の海洋保護区となる。ほとんどの島に人が住んでいないため、海洋生物や鳥類の楽園となっているほとんど自然のままのサンゴ礁が残る。海底山脈などの深海域を含む海洋保護区は、この地域で初めてである。

フェニックス諸島は、キリバス共和国領。ハワイとフィジーにまたがる中央太平洋の赤道付近の数百キロメートルの間に点在している。ギルバート諸島、フェニックス諸島、ライン諸島の3つのグループの合計33の島は世界最大の環礁国家である。

アノテ・トン大統領は、「フェニックス諸島保護区の設立によって、キリバスの人々がいつまでも彼らの故郷の豊かな海の恵みを受けていける」と語った。「サンゴ礁が保護されれば、魚も生きていける。魚は育ち、私たちに恵みをもたらしてくれる」とトン大統領は語る。「この方法なら、全ての種の魚が保護され、減少や絶滅を食い止められるだろう。」

キリバス共和国は、ニューイングランド水族館(米・ボストン)と共同し、コンサベーション・インターナショナル(CI)から資金や技術面での支援を受けながら、フェニックス諸島に関する科学的調査と議論を進めてきた。

2000年に始まったニューイングランド水族館による3回の調査によって、120種のサンゴや520種の魚類(いくつかは新種)などを含む、豊かな海洋生物多様性が発見された。巣作る海鳥たちや魚の大群、ウミガメなどの生き物は、この地域が自然のままで、移動性動物のための重要なルートであることを表している。

「環礁の自然はほとんど人の影響を受けてこなかったが、現在は、大規模な漁法の脅威があり、気候変動の影響も受ける可能性もあるため、保護が必要だ。」と、ニューイングランド水族館グローバルマリン・プログラムのグレッグ・ストーン部長は言う。

フェニックス諸島を保護区にするということは、同域での商業的漁業の制限を意味する。すなわち、キリバス政府が商業的漁業ライセンスの発行により受け取ってきた歳入の減少につながる。

キリバス共和国、ニューイングランド水族館、CIが署名した覚書により、フェニックス諸島保護区の維持管理のために基金を置き、主要維持費と既存の漁業ライセンス収入額分の補填に供与する。地元住民の生計のための漁業とその他の生活に必要な経済開発は、指定された地域において行うことができる。

キリバス共和国は保護区の設立により、生物多様性条約の「2010年目標」(「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという目標」のことで、2002年の第6回締約国会議にて採択された)と、「島嶼部生物多様性プログラム」にむけて、重要な一歩を踏み出した。

CI会長のラッセル・ミッターマイヤーは、「太平洋での海洋保全および島嶼部の生物多様性保全における画期的な功績であり、キリバス共和国は、貴重な海洋生物多様性の長期的な自然保全において前例のない洞察力を示した。われわれは、この努力に協力できることを光栄に思う」と述べた。

CIジャパン代表の日比保史は、「キリバスは小さな島国で、すでに気候変動による影響も出てきている。その状況で、国家の利益を超えた地球規模での生物多様性保全への取り組みへのこの第一歩は極めて大きな意味を持つ」と語っている。