カリブ海のサンゴ礁が絶滅の危機
 
 
気候変動・水温上昇などが原因。レッドリストの候補に
(6月7日 米ヴァージニア)- 海洋生態系の急激なバランスの変化により、カリブ海のサンゴ礁の種が絶滅に瀕していることが、最新のカリブ海海洋生物研究によって明らかになった。。

最新のカリブ海海洋生物研究により、カリブ海の62 の造礁サンゴのうち10%が危機に瀕していることが分かった。Staghorn や Elkhorn などのサンゴは、かつて最も多くみられた種であったが、現在、国際自然保護連合(以下IUCN)のレッドリストの「絶滅危惧IA 種(Critically Endangered)」の候補となっている。

コンサベーション・インターナショナル(以下CI)カリブ海生物多様性イニシアティブ代表のマイケル・L・スミス博士は、「大西洋で最も美しい海洋環境は、気候変動や水温上昇を主要因とするサンゴ類の病気の急増により、多くの場所で、もはや失われている」と述べた。

2007年3月、23名の科学者の会合がドミニカで開催され、西部熱帯大西洋のサンゴ、海草、マングローブ、藻に関するデータの分析を行った。これらは、海洋生態系の基本要素であると同時に、幾多の生物、そして地域社会に食料や住まいを提供している。同研究の一部は、王立カリブ・クルーズ海洋基金の助成を受けたものである。

この調査は世界海洋生物評価(GMSA)の一環として初めて行われたもの。GMSA は CI とIUCN のパートナーシップによるもので、バージニア州ノーフォークのオールドドミニオン大学に本部が置かれている。海洋政策や海洋の保護活動のための最新の情報提供を目的として、IUCN レッドリストの厳密な基準に従った海洋生物種の評価数を大幅に増加させることを目指している。

上記ドミニカにおける会合の評価種は、最終的な見直しの後、2008 年IUCN レッドリストに加えられる見込みである。

GMSA プログラム・オフィサーのスーザン・リビングストン博士は、「サンゴ礁は、世界で最も生物多様性が豊かな地域の環境を支えている。サンゴ礁が消滅すれば、住まいや繁殖、採餌を目的としてサンゴ礁に依存してきた多くの種も消えてしまうだろう」と述べている。

サンゴやその他の海洋生物の危機は、沿岸の汚染や人為的な開発の結果もたらされたもので、具体的には、排水がもたらす堆積物の増加、気候変動による熱ストレスやハリケーンの巨大化、乱獲による生態系のダイナミックスの変化が原因であるという。カリブ海は、植民地時代以来、最も長期にわたり継続した開発の影響下に置かれていると、科学者は説明している。

サンゴだけでなく、マングローブも大きな痛手を負っている。マングローブは過去25 年で42%減少し、同地域の8種のマングローブのうち2 種が絶滅危惧II 類(Vulnerable)に、別の2 種が準絶滅危惧(Near Threatened)と考えられている。

「マングローブは海岸線を保護し、魚にシェルターを提供し、また汚染物をろ過する役割を持っている」とハーバード大学のアーロン・エリソン氏は述べている。「かつてカリブ海はそのような有益な植物の豊かさに恵まれていたが、本会合は、今ではマングローブが至るところで危機に直面しており、保護し再生する必要が生じていると意見が一致した。」マングローブの森は住居や観光、養殖開発の目的で伐採されている。

また、浅瀬に成育する海草も、マングローブと同様に、商業的に重要な多くの種を含む魚たちの重要な生息地を提供しており、同様の危機に直面している。海洋生物の豊かさを維持するためには、海草も保護する必要性がある。

一方、サンゴ、海草、マングローブとは異なり、カリブ海の藻はうまく生き残っている。おそらく、サンゴ礁の消滅を利用しているとも考えられている。藻はサンゴ礁の死骸や死につつあるサンゴ礁の上に成長し、生い茂り、新しく生息したサンゴを覆ってしまう可能性がある。さらに、藻を常食とする魚は乱獲され、これら魚の生息数の減少により、藻がより密生し、サンゴが再びコロニーを形づくることを妨げうる。

科学者は、オランダ領アンティル諸島のボネールマリーン公園(Boraire Marine Park)のように良好に管理された保護地域においては、カリブ地域サンゴ礁の幾つかはまだ健全な状態で生存していると指摘している。これらの地域では、人為的な(開発の)直接的な影響が減少し、サンゴ礁が生き残ることができた。しかしながら、彼らはまた、地球温暖化による熱ストレスはカリブ海のすべてのサンゴ礁に影響を与えており、熱ストレスを食い止めなければ、これらのカリブの美しい被害者たちは生き残ることはできない、と付け加えた。

GMSA 所長のケント・カーペンター博士は、「カリブ海の観光産業は、海洋生物の美しさや健全さに大きく依存している。地域経済の成長に欠かせない原動力となる海洋環境を保護するには、集中的な海洋保護や人類が引き起こした気候変動を食い止めるための地球規模の取り組みが必要である」と述べている。

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