CIとCEPFはスマトラ被災地で現地NGOを通じた長期的支援を開始しましたアチェ:共同体精神で第一歩を踏み出す
 
 
報告・ベン・ジョリフェ(2005年2月)- スマトラ島北部・ナングル・アチェ・ダルサラム州の州都であるバンダ・アチェから2時間程離れたランパナアダットには漁師や農民、森林労働者が住んでいますが、その5つの小さな村の建物や農地に被害はありませんでした。しかし、スマトラ沖地震や津波はこれらの村にも被害をもたらしました。被害の集中した州都の学校に通っていた村の子供達や、被災地に友人や親戚を訪ねた婦人達など53名が犠牲になりました。

ランパナアダットの人々は、自分達の生活を建て直し近所への緊急物資配給を手助けするかたわら、より困難な被害調査や復興事業にも取り組んでいます。

彼らの多くはまず、地域の市民森林管理団体であるインドネシア・グラスルーツ (Yayasan Rumpun Bambu Indonesia :YRBI)の現地事務所を訪れました。YRBIは クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)の支援を受けており、ボランティアスタッフが活動の調整を行っています。

YRBIのリーダー・サヌシ・シャリェフは、ランパナアダットで長く働いてきましたが、今回、人々が実にすばやく、しかも効率的に自分達を組織化したことに驚いています。

「このコミュニティでは自立支援や資源管理の手助けはしましたが、被害が甚大だっただけにこれほど迅速な組織化は期待しませんでした。ほとんどの人々はショックを受け、家族を探すことで精一杯でしたから。」とシャリェフは語ります。

支援ネットワーク
緊急救援活動、教育および保全
新たな責任感が、残された人々を癒しはじめた
森林伐採の脅威
支援ネットワーク

YRBIは、アチェ州内のおよそ40のコミュニティと活動してきました。それらのコミュニティでは、何百年にもわたって築かれた土着の習慣や信仰が、18世紀に伝わったイスラム教の慣習と絡み合って存在しています。

YRBIとの会議や交渉の経験を共有することで、出会いと友好のネットワークが幅広く構築されており、地震後のお互いを心配し合っていました。しかし、それら慣習的コミュニティの法的地位は不安定であり、地方自治体や現地の木材伐採権区域に対する彼らの立場を弱める原因となっています。

さらに、アチェ州の中でさえも各コミュニティの事情は様々です。各コミュニティ間の複雑な関係は、とりわけ天然資源管理に関する事柄に関しては、長期的な議論を要する政治的合意形式を通じて維持されています。

しかし、YRBIは2001年より、バンダ・アチェから西に一時間の距離にあるクルン・ラヤの八つの村々において、現地コミュニティがこれらの特定の課題に取り組む支援を行ってきました。YRBIは、コミュニティが地方自治体の意思決定者や民間企業との交渉力を強化し、その結果、海洋資源管理のあり方に関してより強い発言力を得られることに重点を置いています。

緊急救援活動、教育および保全

ここで得られた経験は、現地および国際的な非政府組織の共同体であるアチェ人道主義ポスト(AHP)が地方中心都市以外における唯一の地域密着型緊急救済センターを設立するにあたり、計り知れないほど貴重なものとなりました。

権限が委任され、医療の配給だけでなく教育と保全努力における取り組みも迅速に始まりました。

アジア医学生協会の医師らがYRBIおよびEkowistaアチェの財務およびコミュニティ調整員に加わり、現地の環境保護団体MAPAYAHからのボランティアとEKONAのスタッフが協働しています。ボドゴール保存教育センターからのボランティアは、非公式の授業を実施して児童を支援しました。また、コンサベーションインターナショナル(CI)とCEPFの両者は資金を調達し長期的な支援を提供しています。

「AHPは、コミュニティとともに地域社会レベルの援助を提供しているバンダ・アチェ外でただ一つのグループです」とCEPFスマトラ・グラントマネージャー、プルバサリ・サルジャリ(写真右上)は言います。

「私たちが次に行いたいのは、そのエリアの他5村のために移動医療サービスを作成し、教育支援や再建に向けた助言を含めた支援を拡大していくことです。学校は子供達が今まで通りの生活を再開するために重要な役割を果たします。さらに、再建のための建材が持続可能な資源から調達されることは非常に重要です、さもなければこれらのコミュニティは将来の生計手段を失う危険を負うことになりかねません。

多くのコミュニティ・リーダーを失うことは復興の作業をより困難にするものです。しかしアチェの人々は、慣習的あるいは行政上のリーダーを失っても、たった今、必要とされる要件を満たす代表を選び出していることが報告されています。

これらのコミュニティではインドネシアの法律下でまだ土地の完全な所有権をもつことができなく、保有権および、慣習的土地所有権も認められていません。更に、コミュニティ・リーダーが死亡した場合は、存在する権利に対する規則について再交渉する必要があります。したがって土地とリーダーの両方を失ったコミュニティは、事実上2倍の問題を抱えることになるのです。

しかしながら、地方自治体や他のコミュニティとの復興へ向けた交渉への活発な関与は、彼らが将来へ向けてのリーダーシップを身に付ける重要な経験になると同時に、彼らの心の傷を癒すための方法のひとつになり得るかもしれません。

新たな責任感が、残された人々を癒しはじめた

世界銀行と国連は、地域社会が復興事業に参加する重要性を、まさに癒し効果として繰り返し強調してきました。公務員の三分の一から半数が犠牲になった地域も多く、新しいコミュニティ・リーダーの役割はさらに重要になっています。

インドネシア国家開発企画庁(BAPPENAS)も同様の見方をとっています。BAPPENAS は、1月19日に「 被害損失仮報告書」を発表し、その中で「支援を現地のニーズとすり合わせるためには、地域社会に生計を立てなおすために選択可能な情報を伝え、住民自身が復興支援のプロセスの方向付けを行うべきである」と述べています。

「アダットの地域社会が新天地に移ったときに、土地や資源につき同じ権利を持てるとは限りません」とスルヤディは言います。「移転先に他に地域社会がなくても、新しい権利を主張するのは難しいと思います。また、残してきた土地も気がかりです。」

森林伐採の脅威

現地コミュニティはまた、復興のための木材の需要が増加すれば、資源保護の難しさに直面すると予想されます。1月27日に( WWFインドネシア)と政策研究機関 グリーノミクス・インドネシアが発表した報告によると、アチェ州での復興活動には、今後五年間で推定400万~800万立方メートルの木材が必要だとされています。

報告は、縮小しつつあるスマトラの森林が何千ヘクタールにもわたって伐採されるのを防ぐため、支援と復興努力向けの何十億ドルにもおよぶ義援金に、持続的に調達可能な木材もその中心に含めるよう外国の支援提供者に求めています。

木材はまず、自宅からの立ち退きを余儀なくされた、推定50万人の仮設住宅を建設するために必要となり、次に、低価格の住居やオフィスビル、病院、学校、礼拝所の建設が必要になります。

WWFインドネシアとグリーノミクス・インドネシアは、年間100万立方メートルの木材の供給支援が、巨大需要への対応の一助になると見込んでいます。

復興努力に関連してクリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)は、現地の義援金の受取人が資金の残額を環境保護論者の活動再開のための物資あるいはサービスに充当できるよう支援しています。CEPFアジア・グラント・ダイレクターのジュディ・ミルズ氏は次のように述べています。「現在の我々の課題は、被害を受けなかった生態系や自然資源を破壊することなく、スマトラの被害地域をどのように再建すべきか見出すことです」。

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(翻訳・CIボランティア 岡埜・中村・端野)

クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)とは、絶滅危惧種が多く生息し、生物多様性が脅かされている開発途上国の「生物多様性ホットスポット」を保全するために、当該地域で活動を行う民間団体を支援するもので、コンサベーション・インターナショナル(CI)、地球環境ファシリティー(GEF)、日本政府、マッカーサー財団、世界銀行により共同出資・運営されている基金です。