両生類の個体数が激減;1980年に比較して122種が絶滅
 
 
研究により、3分の1近くが絶滅の危機に瀕していることが明らかとなりました。 ワシントンDC/グラン、スイス(2004年10月14日)- 今回実施された今までで最も包括的な調査によると、世界中の両生類種が空前の脅威にさらされており、何万年もの間に起こる絶滅をわずか100年で経験していることが分かりました。60カ国以上から500人を超える科学者らが世界両生類調査に協力しました。この結果はサイエンス・エクスプレスのウェブサイトで発表され、数週間後には、サイエンス誌に掲載されます。

CI、IUCN、ナチュラルサーブの科学者らが、この世界両生類調査に協力しました。彼らは、世界中の500人以上の優れた両生類の専門家の協力を得てデータを分析し、その危機レベルの評価、それぞれの種の分布の確認およびその他重要な生態学の情報収集を行いました。

本調査では、過去3年以上に渡って、カエル、ヒキガエル、サンショウウオ、アシナシイモリを含む、現在知られている全ての両生類種5,743種の分布・保全状況の分析を行いました。その結果、約32%にあたる1,856種が絶滅の危機に瀕しているとの結論を得ました。加えて、十分なデータがなく正確な評価が出来ないものが1,300種近くあり、そのほとんども危機に瀕していると考えられています。

両生類は透過性の高い皮膚を持ち、淡水や空気の変化を含む、環境の変化に他の動物よりも素早く、敏感に反応することから、「炭鉱のカナリア(危機をいち早く告げる者)」として広く知られています。

「両生類は、環境全体の健康状態をはかる、最も優れた自然の指標である。これらの壊滅的な減少は、我々が重大な自然環境の悪化時期に直面していることへの警告である。」とコンサベーション・インターナショナル(CI)会長のラッセル・ミッターマイヤー氏は語っています。

今回の調査における主な発見は、以下の通りです。 ・ IUCNの絶滅のおそれのある生物種レッドリストによると、少なくとも、全体の32%にあたる1,856の両生類種が絶滅の危機に瀕している。ちなみに、鳥類は12%、哺乳類は23%が危機に瀕している。 ・ もっとも急激な減少が始まった1980年以降、少なくとも9種が絶滅している。他に113種が、近年生息が確認されておらず、絶滅した可能性が高いと考えられている。 ・ 全種のうち43%で個体数が減少傾向にあり、増加しているものは1%に満たない。27%は安定した数を保っており、残りについては不明。 ・ 427種は「ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種(絶滅危惧ⅠA類)」(CR)、761種は「IA類ほどではないが、近い将来における絶滅の危険性が高い種(絶滅危惧ⅠB類)」(EN)、668種は「絶滅の危険が増大している種(絶滅危惧Ⅱ類」(VU)に分類される。 ・ 絶滅の恐れがある両生類種は、208種とコロンビアが最も多く、メキシコ191種、ブラジル110種、中国86種と続く。一方、絶滅危惧種の割合が最も高いのはハイチで、92%。

「両生類は、鳥類と哺乳類に続いて、世界的規模で包括的な調査が行われた第3番目のグループである。この調査は、両生類に関する現在の知識をいちじるしく拡大させ、環境への影響を長期的に観察する上での基準となるものを与えてくれる。両生類の3分の1が急激に減少しているという事実は、我々が異常な絶滅数へ急速に近づいているということを物語っている。」と、IUCN(国際自然保護連合)事務局長アーキム・スタイナー氏は述べています。

アメリカ大陸、カリブ諸国、オーストラリアでは、chytridiomycosis(ツボカビの一種)と言われる感染力の強い感染症が両生類を激しく襲っています。最近の研究によると、いくつかの地域では、この感染症の急激な発生は長年の干ばつと関連しているのではないかという事を示しており、科学者らの間では気候変動の影響と結びつけることが一般的となってきています。

それでもなお、科学者らは、迅速な取り組みによって、この悪化傾向を覆すことができると確信を持っています。例えば、新たな保護区の制定、捕獲・繁殖プログラムの実施、地域住民の協力、淡水の保護の実施などにより、両生類の生存の機会が高まるとしています。

「ほとんどの両生類は淡水に依存しており、人間を含む他の多くの生き物よりも早く汚染の影響を感知することから、彼らの急速な減少は地球の最も重要な生命維持システムが崩壊していることを物語っている」と、IUCN/CI生物多様性評価ユニット専務理事であり、この研究のリーダーでもあるサイモン・スチュアート氏は語ります。

「両生類が危機にさらされているということは、以前から分かっていたが、今回の調査によって、その規模が明らかにされた。これからは、より一層の自然保護と、絶滅の波に歯止めをかけるための両生類の病気の研究を急速に進める必要がある」と、ナチュラルサーブの動物学者であるブルース・ヤング氏は語っています。

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(翻訳・CIボランティア 武本京子)