アフリカン・モニタリング・システム(AMS)発表!
 

地球と人類の健全性を測るグローバルツール、
アフリカで始まる

ビル&メリンダ・ゲイツ財団の寄付を受け、アフリカの農業開発に関する総合的な意思決定のための政策ツールおよび環境モニタリングシステムが開発されました


2012227(東京)
食糧安全保障を安定化し、かつ環境の悪化を防ぐために、コンサーベーション・インターナショナル(以下CI)およびパートナーは、政策決定者がアフリカの農業生産性、生態系の健全度、人間の幸福度など総合的に測定することができる、革新的な地球の診断システムを構築しました。このシステムは、ほぼリアルタイムで更新されるデータに基づき、アフリカの農業生産増加による機会およびトレードオフに関してより良い理解を促進します。

「アフリカン・モニタリング・システム(AMS)」はビル&メリンダ・ゲイツ財団の寄付により立ち上がり、CI、南アフリカ科学技術省科学産業研究委員会(CSIR)およびコロンビア大学のThe Earth Institute(EI)が協働運営します。 

CIのバイスプレジデントでAMSの代表を務めるサンディー・アンデルマンは次の点を強調します。「90 億人という世界人口を支える食料を、環境を破壊せずに、さらに不確実性の高い気候変動が起こる中、どうやって確保するのか、という非常に大きな課題を抱えている状況において、地球で起こっていることの全容を見ずに意思決定を続けることはもうできない。全容を把握して農業開発を持続可能に行うには、正しい情報を正しい場所で把握し、その情報を政策決定者が分かるように翻訳する必要がある。質の高いデータ、解析手法の改良、リスク管理の向上により、農業開発、貧困撲滅、環境保全の相乗効果とトレードオフを正しく評価できるようにしなければならない。つまり、地球の脈を測らなければならない。」


 
「アフリカ・モニタリング・システム」は、農業開発が自然や生態系サービスに害を与えないため、特に小規模農家に役立つツールとなります。現在は、農業、生態系サービス、生活の質に関するデータを統合する手段が致命的に欠如していますが、ほぼリアルタイムの様々なスケールのデータを集めてオープンソースとしてオンラインで提供することで、賢明な政策決定に貢献することを目指しています。
生データは全て公開されるばかりでなく、農業生態系に関する6つの包括的な指標に加工されて提供されます。指標の例としては、安全な水の供給量、気候の変動性への作物生産の安定性、農業形態の変化による生態系サービスや生計手段の安定性などです。

現状では、課題ごとにデータが散在しています。このシステムが目指すのは、意思決定者に対して、個々のデータとデータをまとめることで見えることを、透明性高くワンストップで提供することです。つまり、パズルのピースを並べてはっきりした絵が見えるようにすることです。


データ収集は、最良の全体像が把握できるようにマルチスケールで行われます。 

(1) 家族スケール健康、栄養状態、家計収入、財産など

(2) 区画スケール使用する種子、その種子の産地、使用する肥料、収穫量、収穫後の対応など

(3) 景観スケール(100km2)…家庭や農業で使われる水の供給量、生態系の多様性、土壌の状態、炭素ストックなど

(4)地域スケール(~200,000 km2)…個々のデータをまとめて、農業開発の意思決定がなされるスケールで全体像を描く

正確な比較ができるように、情報は全て標準化された方法で収集・処理されます。このシステムは環境モニタリングシステムの「ゴールドスタンダード」を作ることを目指しています。

そして作業は可能な限り、AMSのパートナーとなるアフリカ人のスタッフや研究者によりアフリカで行われること。それによりアフリカ地域で能力開発を進めることを目指します。

今後3年間で、CICSIREIは、政府やNGO、学界や民間企業、また、世界銀行のLiving Standards Measurement Survey、国際食料政策研究所(IFPRI)、国際アグロフォレストリーセンター(ICRAF)、国際連合食糧農業機関(FAO)など、主要な国際組織と連携し、AMSを設計し運用を進めていきます。この3年間は、「農業・生態系サービス・生活の質に関するグローバル・モニタリング・システム」(Integrated Global Monitoring System for Agriculture, Ecosystem Services and Human Well-Being)を3段階(1015年)で構築する計画の第1段階と位置付けられています。

サブサハラ地域では、アフリカの増加する人口を支えるために農業生産の強化が目指されていますが、この3年間で合計1000万ドルの資金により、それを統合的にモニタリングするシステムの基盤が構築されます。対象は5地域で、タンザニア、ガーナ、エチオピアが既に決まっており、残り2カ国は今後決められます。

「貧困を考えるなら、農業を考えるべきです。農業への社会的投資は、飢えと貧しさに対抗するための最良な武器です。これまでも何十億もの人々の生活を改善してきました。国際農業社会では、貧しい農家が生産量を増やすことを効果的に進めるためには、より革新的で、調整がとれ、ターゲットがはっきりしていなければなりません。

それができれば、困窮した状態を劇的に減らし、自立した生活を構築できるのです。」とゲイツ財団の共同代表、ビル・ゲイツ氏は語ります。

2006
年にプログラムが始まってから、ゲイツ財団による農業分野への支援総額は20億ドルにのぼります。


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【編集者注釈】

アフリカン・モニタリング・システムは以下の5つを目的としています。

1)基礎データとトレードオフを評価し情報に基づいた判断ができる分析フレームワークを提供し、農業活動が生態系サービスに与える意図しない悪影響を最小化すること

2)農業生産の強化が計画されている地域において、土地の被覆、炭素ストック、水文、生物多様性および生態系サービスの参照レベルを設定し、変化を把握するシステムを構築すること

3)サブサハラ地域全体において、科学者、市民社会、政府指導者および民間セクターの環境モニタリングのための能力構築を図ること

4)生態系や小規模農家が気候の変化に対応し適応できるように支援すること

5)自由にアクセス可能で透明な情報源による「グローバルな公共財」を生み出すこと


●ビル&メリンダ・ゲイツ財団プレスリリース (英語)
http://www.gatesfoundation.org/press-releases/Pages/international-fund-for-agricultural-development-120223.aspx

◆本件に関するお問い合わせ
コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 磯部麻子

電話:0369116640 /emaila.isobe@conservation.org
http://www.conservation.or.jp/