フィリピンの森林再生プロジェクトがCCB認証を取得 (2010年1月29日)
 
CIがトヨタ自動車と協力して実施するフィリピン森林再生プロジェクトが、多面的な便益を評価され、CCB認証をゴールド・レベルで取得

コンサベーション・インターナショナル(以下CI)は、トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ自動車)と協力してフィリピンで実施中の森林再生プロジェクトが、多面的な便益をもたらすプロジェクトに与えられるCCB認証(「気候・地域社会・生物多様性プロジェクト設計スタンダード第2版」)をゴールド・レベルで取得したことを本日発表した。

2007年9月から、CIとトヨタ自動車は、フィリピン環境資源省およびペニャブランカ町と協力し、フィリピンのルソン島北部に位置するカガヤン州ペニャブランカ町(マニラより北へ約500km)にて、森林の再生、保全およびアグロフォレストリーを実施し、単に木を植えるだけではなく、地域住民の生活と森林再生を両立させる仕組みづくりを目指している。

CCB認証の取得により、このプロジェクトの質が客観的に実証されたことを受け、トヨタ自動車は、プロジェクトの第2期として今後3年間、支援を継続することを決定した。プロジェクト対象地は約3000ヘクタールで、第1期と第2期の合計で2500ヘクタールを対象に活動を展開する計画。

CCB認証は、森林カーボン・プロジェクトにおいて、温室効果ガスの排出削減・吸収する効果とあわせ社会および環境(特に生物多様性)への追加的便益を促進する実証可能な基準を示すものである。また、第三者機関の審査を受けることにより、プロジェクトの多面的便益性を客観的に実証することができる

気候変動対策が急務とされる中、植林活動は二酸化炭素の吸収源として注目されているが、他方、環境や周辺社会への悪影響を起こす可能性もある。CCB基準は、そのような悪影響を防ぎ、植林が生物多様性にも地域社会にもプラスの効果を生むための十分な対策を設けさせるためのスタンダードであり、14の必須項目すべてをクリアしなければならない。本プロジェクトは、第三者機関であるレインフォーレスト・アライアンスが審査を行い、プロジェクトサイトが生物多様性の保全上重要な地域であることから、生物多様性面で特に優れた効果が見込まれるとして、CCB認証における最高レベルのゴールド・レベルの評価を受けた。

「今回ゴールド認証により、このプロジェクトが、温室効果ガスを吸収し、絶滅危惧種の自然生息地を拡大し、地元の人々の生計の助けになるように設計されていることが立証された」とCCB基準を運営する「気候変動対策におけるコミュニティおよび生物多様性への配慮に関する企業・NGO連合」(CCBA)のディレクター、ジョアンナ・ダービン氏は語る。

「このプロジェクトは、ペニャブランカの人々と一緒に、森林を再生しながら残された森林の保全にも取り組むものである」とレインフォーレスト・アライアンスの気候イニシアティブ・マネージャーのジェフ・ヘイワード氏は語る。「草の根レベルで、適切なアグロフォレストリーや土地改良の技術を使って、生物多様性にとって重要な地域の森林保全を促進している。CCB認証は、このプロジェクトが国際基準に適合していることを透明なプロセスで証明している。」

このプロジェクトは、森林が伐採された後に放牧などによって荒れてしまった土地に、在来の樹種を植えて森林を再生することと、森林再生活動を続けるための資金・社会メカニズムを構築して永続性を担保することを目指している。また、その奥に広がる生物多様性の宝庫であるシエラ・マドレ山脈の原生林を守り、地元社会が生態系サービスの恩恵を受け続けられることも狙っている。

また、マンゴーなどを栽培するアグロフォレストリーと組み合わせることで、その収入の一部を積み立てて基金を設立し、トヨタ自動車の支援が終わった後も永続性を確保できるような仕組みを構築し、活動が継続することを目指している。

ドナーであるトヨタ自動車はこのプロジェクトに主体的なパートナーとして参加し、CIがプロジェクト管理者としてフィリピンの政府と地元自治体との連携をコーディネートしている。

「森林が再生されるまで長期間にわたり資金援助を得るのは現実的に難しい。また、生物多様性が急速に失われていく中で、一か所だけでの取組みにかかりっきりになってしまうのも好ましくない。このプロジェクトでは、初期の投資を、森林再生と、社会発展に対する地元の積極的な参加や能力の構築に充てることで、地元社会が自らの力で森林の保全や再生を達成していくことを目指している。また、このモデルがさらに多くのプロジェクトの参考になっていくことも期待している」とCIジャパン代表の日比保史は語る。

「このプロジェクトを通じて、ペニャブランカ自然保護区、地元住民、そして環境全体について様々な取組を進めてきた」と、フィリピン環境資源省技術ディレクターのジョビト・ラユガン氏は言う。「ここまでの道のりは大変だったが、多くを学んだ。ゴールド認証という素晴らしい評価を受けたことは、国内の先進事例を進める身として非常にうれしい。」

今後の3年間では、地域の人々が自らの力で森林再生を続けていけるように、能力と体制の構築に力を入れる計画である。

CIのよびかけによって2003年に設立された先進的企業とNGOの世界規模のパートナーシップ。政策や市場に働きかけて、質が高く、多面的便益をもたらす土地利用に関連する炭素固定・吸収プロジェクトを通じて、森林保護、再生あるいはアグロフォレストリーの事業形成を推進することを目指す。メンバーは、CI、CARE、レインフォーレスト・アライアンス、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)、Wildlife Conservation Society、BP社、GFA Envest、インテル社、SCジョンソン社、Sustainable Forestry Management Ltd.、ウェアーハウザー社に加え、アドバイザリー機関がある。