UNFCCC-COP15総評 (2009年12月22日)
 

先進国と途上国双方多数による合意を評価するものの、気候変動対策の実質的対策の遅れと森林の減少と劣化を止める手立ての先送りを懸念

国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議 (COP15) において、主要国がまとめ、「留意」することが決議された「コペンハーゲン合意 (Copenhagen Accord) 」に対し、コンサベーション・インターナショナル(CI)は、「期待されていた法的拘束力のある新たな枠組みではなく、森林減少や適応に対しても重要な対応策を欠いているものの、今後への望みをつなぐもの」と表明した。

コペンハーゲン合意において、長期目標として気温上昇の摂氏2度以下での安定、長期的な対策資金の準備、透明性のある排出削減の報告、途上国支援の迅速な開始について、先進国と途上国の双方を含む多くの国々が合意したことは、かつてない前進である。しかし、具体的な実効策が先送りされたのも事実である。気候変動に対応するために残された時間はわずかである。一刻も早く実行性ある枠組みに合意することをCIは各締約国に要請する。

CIのCOP15代表団団長を務めたフレッド・ボルツ博士は、「気候変動の危機に立ち向かうために、米国、中国、その他主要経済国の実質的な参加を確実なものとすることが重要であり、その意味でコペンハーゲン合意の意義は大きい。だが、もう時間が残されていないにも関わらず、温室効果ガスの削減に向けた法的拘束力のある枠組みになっていない」と警告する。

さらに、「今回の結果が、気候変動問題への対策の機を逃すこととなってはならない。気候変動問題に対応する責任は、むしろ各国の決断と行動に委ねられたと、各締約国はとらえなければならない」と述べた。

世界全体の温室効果ガス排出量の17%が、森林の減少と劣化に由来し、森林問題の解決は気候変動対策だけでなく、貧困対策、生物多様性保全にとっても不可欠である。そのため、CIは、COP15で森林の破壊および劣化を由来とする排出の削減 (REDD) の推進で締約国が合意し、その実行のための方向性が示されることを望み、各締約国への情報提供や政策提案を行ってきた。CIは、今回、先進国と途上国双方の多くの国々が、REDDに"プラス"して森林の保全、森林の持続的な管理、森林による吸収量の増加を含むREDD+*に賛同を表明したことを、高く評価する。即効性がありコスト効率の良い気候変動対策としてREDD+が効果的であることが認識され、その実施のための資金提供が表明されたことは、大きな前進といえる。

しかしながら、最終的にREDD+がCOP15で正式に体系化されなかったことには落胆しており、気候変動対策の遅れとともに、森林の減少と劣化を止める手立てが先送りになったことを危惧している。今後、締約国が一刻も早くREDD+を含む法的枠組みに合意することを望む。

2010年~2012年の3年間で途上国に対し300億ドルの支援を行う「コペンハーゲン・グリーン気候基金 (Copenhagen Green Climate Fund) 」の設立は、途上国による気候変動対策への支援への第一歩としては評価できる。しかし、途上国が排出の削減と適応の双方から気候変動に取り組むためのニーズには、はるかに及ばず、支援額としては不十分と言わざるを得ない。COP15で、ペルーは、2020年までに森林破壊を止めることを宣言した。また、森林破壊の減少を目指しリーダーシップを発揮するブラジルは、野心的な目標を掲げ、国際的な資金提供を表明した。国際社会は、このような国々の努力に見合う対応をすべきである。

CI日本プログラム代表の日比保史は、「日本政府が、CGCFの半分に相当する150億ドルの途上国支援を表明したことは、高く評価できる。 今後は、国際交渉の行方の如何に関わらず、国内の排出削減と、途上国へのより積極的な支援を速やかに実行していくことで、真のリーダーシップを発揮してもらいたい。なかでも、効率的かつ相乗効果の高いREDD+への支援を大幅に増やしていくべきである(現時点では、日米英仏豪ノルウェーが35億ドルのREDD+支援に合意している)。2010年10月に日本がホストする生物多様性条約第10回締約国会議 (COP10) を前に、REDD+および生態系機能を活用した適応策 (Ecosystem-based Adaptation) を、途上国の持続可能な発展と生物多様性保全の観点の双方から議論し、途上国のコミュニティに届くような実質的な支援へと発展させてもらいたい」と述べた。

森林の減少と劣化に由来する排出の削減(REDD)に"プラス"して、森林の保全、森林の持続的な管理、森林による吸収量の増加を含む。自然の森林の減少と劣化を止めるための支援を行い、森林の回復を促進するとともに永続的な保全を目指す。REDD+は、カーボン吸収のみに留まらず、環境、経済、社会的な目標に貢献する大きな可能性を秘めており、持続的な開発に貢献しながら気候変動対策の目標を達成するという国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の目標に適うものであると同時に、国連のミレニアム開発目標(MDGs)のもと、各国が掲げる様々な開発目標に貢献することができる。
生態系機能を活用した適応策(Ecosystem-based Adaptation):生態系を適正に管理することで、生態系サービスを維持し、住民の安全を確保し、生計確保して気候変動に対応すること。「適応」とは、気候変動の緩和策を講じても起きてしまう変化に対応していくこと。