REDD+: 気候と生物多様性の双方に便益を生むメカニズム
 

REDD+への適切な資金援助に  より、種の絶滅率が80%も減少 可能

2010年11月29日(メキシコ、カンクン)世界中の森林に生息するおよそ2500種に及ぶ、生物学的に重要な両生類、鳥類、哺乳類の絶滅率は、森林の減少・劣化に由来する温室効果ガスの削減(REDD+)を支援するための適切な資金支援があれば、5年間で46~80%まで、その絶滅率を劇的に減少させることができます

 

この発見は、コンサベーション・インターナショナル(CI)の科学者達がメキシコ、カンクンで開催された国連気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)における交渉へのインプット用に準備した新たな調査報告書内で、REDD+交渉の前進となる評価の一つとなるよう、発表されました。

この報告書“異なる参照レベルと資金支援のレベルにより、森林減少に由来する温室効果ガスの削減がもたらすことのできる生物多様性のコベネフィッツ
” (Busch et al. 2010)は、過去5年間(2005-2010)にREDD+メカニズムを導入した、世界85カ国の国レベルの森林減少率をモデリングした上で、気候緩和の手段としてのREDD+との効果と、森林域内の生物多様性への潜在的な便益の同時達成について報告しています。
本報告書は科学的ジャーナルである'Conservation Letter’に掲載されています。(
以下、リンク先)http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1755-263X.2010.00150.x/pdf(英語 

重要な結論を、以下に報告します。
REDD+メカニズムの実施により、85カ国全ての国の合計において、同期間の実際の森林減少率との比較において、森林減少率を“大幅に”減少させることができたであろうと報告しています。さらに、過去5年でREDD+への“十分な”資金の支援により、森林減少率を68-72%減少させたことができ、“一部分への”資金支援では、50-54%、“最低限”の資金支援では27-29%まで抑えることができたであろうとの分析をしています。


上述の3種類の資金支援シナリオと、何も対策を取らなかった場合との比較において、REDD+の実施による追加的な便益として、生物種の絶滅率は大幅に減少することができたとしています。(プレスリリース左上をご覧ください。)
報告書の分析結果によると、同時期の5年間を例に取り、2,472種類もの森林に生息する生物種(両生類、鳥類、哺乳類)の絶滅率が以下のように減ったであろうとしています。

 

·         “十分な”資金 (年間$280~310億米ドルで、78-82%減少

·         “部分的”な資金(年間 140-150億米ドル)で、71-74%減少

·         “最低限”の資金(年間$50-60億米ドル)で、43-49%減少

このような効果をもたらす理由として、地球上、他では見られない固有の生物種が多く生息する国々は、熱帯雨林を有し、炭素貯蔵能力が最も高い国でもあることが挙げられます。これは、分析対象となった国々のREDD+への参画を動機づけたとも言えます。

固有の生物種をもっとも多く有する国々は、世界的にも貴重な、森林に生息する両生類、鳥類、哺乳類の合計94%を有し特に、森林に生息する生物種は、陸上の生物種の三分の二を占めています。それらの森林に生息する生物種は、絶滅の最大の原因である土地利用の転換に伴う森林減少により、生息地の喪失の危機にますます脅かされています。一方で、熱帯雨林の開墾や焼失は、気候変動の原因となるあらゆる温室効果ガスの約15%に相当すると見積もられています

本報告書の主筆者で、CIの気候変動と森林研究に関わる科学者、ジョナ・ブッシュ博士は以下のように述べています。 「この研究により、REDD+の実施が気候の安定と、生物多様性の保全を同時達成できることが示せた。森林減少を減らし、生物種の絶滅率を低下できることは素晴らしい成果だが、もう一つの大きな成果は、REDD+の資金規模が、実際に本研究に基づく成果を進展させるための原動力となっているということだ。資金が多いほど、森林減少は大幅に低下し、森林の炭素貯蔵は増加し、生物多様性にもより大きな貢献になると言える。」
本報告書の共著者でCIの保全プライオリティを研究する科学者のウィル・ターナー博士は、以下のように、述べています。
「全てには関連性がある。REDD+は生物多様性の損失と気候変動という、人類が直面している2つの難題を同時解決していく方策として、重要な役割を果たすことになると考えている。もし、適切な資金支援がなされれば、REDD+は私たちが依存している地球上の生物多様性への救命策として、また温室効果ガスの排出削減のための実効可能な手段の一つになり得る。」
また、ブッシュ博士は、以下のことを付け加えています。
REDD+のメカニズムはCOP16以前では正確に合意されておらず、REDD+で救える生物種の正確な数は分からないが、膨大ではあることは間違いない。気候変動対策の資金が、森林減少対策を行う途上国の国々に拠出されれば、REDD+のもたらす便益がより明らかになるはずだ。」

 


本報告書では、REDD+メカニズムに①十分な資金が拠出され、②

森林を有する多くの国家の幅広い参加へのインセンティブを供給する設計されるべきである、と結論づけています。

 

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COP16に関してさらに詳しい情報はCIのホームページをご参照ください。

◆COP16
ページ
http://www.conservation.org/sites/japan/initiatives/climate/Pages/policy.aspx