自然を利用した適応策
(Ecosystem-Based Adaptation)

現在国際社会では、温室効果ガスの排出削減のための様々な努力がなされていますが、これまでに人間社会が既に排出してしまった温室効果ガスもかなりあることから、将来的にある程度の気候変動が起こることは避けられないと考えられています。このような気候変動に対して、社会や生活が順応できるように対策することを「適応(Adaptation)」と呼んでいます。

一般的に適応策には、水没や水害を防ぐための堤防の整備、水道や灌漑設備などの整備(気候変動で水資源の供給がさらに困難になると予想されています)、局地的な気候変化に対応した農業技術の開発などが検討されていますが、バランスの取れた自然生態系は、気候変動による変化を緩和し、人々が気候変動によって引き起こされる様々な変化や現象に対応し、適応していくための「盾」となることが可能です。

例えば、マングローブ林は、強力な嵐や海面の上昇から沿岸地域を守ることができます。珊瑚礁は、魚類などの海洋資源を維持するために重要な役割を担います。森林は、水を涵養し、洪水・干ばつ・土壌流出などの自然災害から地域を守ってくれます。

CIは、気候変動対策のひとつとして、自然生態系の力を計画的に組み込んだ適応策を導入し、気候変動の脅威から長期的に途上国の人々の生活を守れるような環境を整えていくことが大変重要であると考えています。