衛生・健康と自然環境
 
 
 
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自然の生態系は、気候、空気、水を調節し、伝染病を抑える他、有効な病気治療法を提供するなど、人間の健康安全保障に不可欠な役割を果たしています。コンサベーション・インターナショナル(CI)が健康安全保障を新たな優先事項の一つに掲げる理由はそこにあります。

世界には、近代医薬の50%以上、伝統医薬の90%以上が野生の植物と動物を使って作られています。7万種以上の植物が医薬に使われており、国連環境計画(UNEP)が言うように「人間が生物多様性の恵みを直接的に受ける最も重要な形態の一つ」となっています。ガン、HIV/AIDS、アルツハイマー病、糖尿病その他、生命を脅かす多数の病気の治療方法に関する手がかりの多くが、サンゴ礁の広がる海洋生態系から得られるのです。

近年、多くの製薬会社が新薬用の独自ののライブラリーの調査に期待をかけてきましたが、これらの調査は結局期待外れに終わりました。米国国立ガン研究所によれば、実際のところ、自然に存在する薬効のある化合物の多様性は、既存の合成ライブラリーの1億倍にも達します。

詳しい情報はこちらをご覧ください:アメリカドクトカゲと人間の健康との関係(英語)

残念ながら、生態系の劣化によって、近代医薬、伝統医薬ともに、その開発と供給が妨げられる恐れがあります。生物種が減少し、また薬効の高い合成物をつくる有機体を生み出す生態系の相互作用が妨害されてしまうからです。世界保健機関(WHO)は、発展途上国で伝統医薬を入手しやすくし、利用の促進に努める活動を行っていますが、すでに乱獲がこうした医薬品の不足を招き、その医薬品から生み出される収入の流れも(特に農村の貧困層を中心に)減少しています。

人間の病気の増加は、遡れば、森林破壊、農業開発、水流の撹乱、都市化、気候変動などによる生態系サービスの阻害に起因してきたのです。最近の研究結果によると、森林破壊と森林の分断が、蚊をはじめとする疾病媒介生物の増加を引き起こすことが判明しました。新伝染病の大半は、「野生動物の肉」を日常的に摂取することを通じて、人間と野生動物の接触が増えたことや野生動物がペットや珍味(exotic food)として売買されるようになったことに関係していると知れば、多くの人は驚くでしょう。

21世紀に入り、人間の健康安全保障と、手付かずのままの健全な生態系が関係していることをを示す証拠が急速に増えてきました。しかし、この関係についての認識は低いです。そこでCIは、人間の健康に不可欠な原生自然を維持するため、その科学的な証拠を積み重ね、パートナーとして協力することができる政策決定者、企業、市民に対して伝えていく活動を行っています。

自然は、地球上で最も総合的な健康のためのパッケージを提供してくれます。そこには、気候調節、清潔で再生可能な水資源、森林と海から採れる豊富な食料、そして必要な場合には病気治療の薬などが含まれています。今行動を起こせば、私たちは、人間の健康にとってきわめて重要なこの自然システムを救うことができるのです。私たちの生命はこうした自然システムによって生かされているのです。

CIの具体的な戦略とイニシアチブ:

 
 
健康な家庭・健康な森林プログラム(Healthy Families, Healthy Forests Program)
CIは、この総合的な健康・環境保全プロジェクトを通じ、世界で最もへき地にあり、かつ生物学的に多様な地域(カンボジア、フィリピン、マダガスカル)で活動を行いました。
 
 
プログラムの戦略
生物多様性に対する人間のフットプリント軽減のためにCIがとっている方法の一つが、重要な生物多様性保全地域において、コミュニティベースのプログラムを実施することです。これにより人間と生態系の健康を同時に改善することができます。