文化的サービス
 
 
 
 © Levi S. Norton 
 
 

ミレニアム・エコシステム・アセスメントは、人類の福祉を、人が「豊かな生活(good life)」を送るために必要とするすべての要素と定義しています。これには、生存のための基本的ニーズ(食料、水、住居など)と、文化的、精神的、個人的ニーズの両方が含まれます。後者の「文化的サービス」は、自然が人類に与える恵みの中で尊重されている要素です。

海に面した国、ベリーズでは、ガリフナ族のいくつかのコミュニティの宗教的慣習に、海洋資源の利用にまつわる儀式が取り入れられています。

マダガスカルでは、コンサベーション・インターナショナル(CI)が国内外の観光客向け自然観察ツアー(nature tourism)に娯楽的価値を含めるよう取り組んだ結果、、新たに設けられた保護地域の管理体制が強化されると同時に、観光の恩恵を受ける現地住民の数も著しく増加しました。

グアテマラでは、地方自治体による土地権付与(communal land titling)において自らの世界観と権利が認められ、国家の保護地域システムに取り入れられるように、住民が活動を行っています。

ベネズエラでは、神聖な場所を保護するためモロコイ国立公園(Morrocoy National Park)海洋保護区域が設けられ、、過剰な漁獲、開発、汚染による脅威を最小限に抑えることに貢献してきました。

ブラジル・アマゾナス州の保護地域は、牛の放牧を大規模に行った場合と比べて、州の観光収入を3倍に伸ばしました。これは、公園用地の代替利用として、可能性が最も高い方法といえます。

また、ケニア沿岸のカヤ森林群からインドとガーナの聖なる森、フィジーとニューカレドニアのタバコ地帯に至るまで、伝統的な管理手法への支援は、天然資源の維持、さらには再生につながりました。

自然は、文化的ニーズと精神的ニーズ、自由と選択、生計、娯楽、良好な社会的関係、安全保障に直接貢献しています。

これらのサービスは、自然と密接な関わりを持ちながら生活する人々と最も直接的に関係しています。例えば、神聖な場所は、恐らく人類最古の保全形式と思われます。つまり、土地所有者は、その場所を保護することによってもたらされる文化的便益を優先し、他の用途を見送るという選択を自発的に行ったのです。しかし、自然が直接与える文化的サービスは、手付かずのままの自然地域から遠く離れた場所に住む人々にとってもまた重要です。つまり、例えば、我々がアマゾンの熱帯雨林やスマトラトラが存在するという知識をもつことも、グローバルな便益ががあるのです。

自然が直接もたらす文化的サービスは次々に、観光などの市場活動環境保全への投資、全体的な便益の範囲拡大とこれらの便益の公平な配分に絡む問題の解決に役立つ政策などを動かしています。

結局、人々が自然とどれだけ上手に付き合い、生態系サービス全体からどれだけの恩恵を受けられるかは、権利、保有権、資源へのアクセス、伝統的知識の尊重、便益の公正な配分を含む一連の文化的安全保障の問題に左右されます。

CIは、長年にわたり、文化的サービスを支える生態系と生物多様性を保護してきました。先住民族プログラム(Indigenous and Traditional Peoples Program)におけるCIの活動は、文化、人権、安全保障問題、保全の相互関係についてCI自身がその理解を深めただけでなく、幅広いパートナーシップの確立につながりました。

保全協定(Conservation agreements)と保全管理プログラム(Conservation Stewards Program)は、現地の政策決定者と便益を共有することにより、生物多様性の継続的保全を図る手段として、明確な目的をもって立案されました。ツーリズムにおけるCIの活動方針は20年かけて精練されてきました。その間に、現地の利益を確保するための最も戦略的な方策だけでなく、美的価値、存在価値、他者の文化的価値との関係をはっきり理解することができました。

CIは、自然から与えられる重要な文化的便益を明確化し、強調すること、これらの便益の価値が意思決定と開発戦略に盛り込まれるよう後押しすること、さらには以下の事柄に関するリーダーシップの発揮を通じて、生態系サービスの実現をより幅広くサポートすることを目的とした活動を行います。

・天然資源の管理に関する現地住民の権利と利益を確保するガバナンスシステムと政策。

・健全な自然システムと生物多様性に貢献する文化的慣行。  

・自然が直接もたらす文化的サービス。

・ 直接もたらされる文化的サービスによって支えられる市場と政策、特にツーリズムのバリューチェーン、保全協定(conservation agreements)、保全地域