生物多様性
 
 

A tree frog peers over a wood-rotting fungus in the Tambopata River region of Peru.

© Art Wolfe, www.ArtWolfe.com
 
 
生物多様性の保全は、清潔で安定した水の供給、洪水や嵐の被害防止、安定した気候など、私たちの生活にとって必要不可欠です。

しかし、次世代が私たちと同じようにこうした自然の恩恵を受けられるようにするにはどうしたらよいのでしょうか?
自然のサービスの恩恵を受ける方法を、新しく発見できるでしょうか?また、深刻な問題が時間の経過とともに変化しても、生物多様性は、その解決策をこれからも提供してくれるのでしょうか?

健全な生態系サービスが持つ現在の価値と未来の未知の価値の両方をあわせたものを、"オプション価値"と呼びます。オプション価値は、種の遺伝子、生態系サービスから生物圏全体に至る生物多様性の全段階において存在する可能性があります。端的に言えば、私たちは自分たち自身の利益のために、そして子孫の利益のために自然を維持しなければならないのです。

CIをはじめとする保全機関は、自然の提供するサービスの価値が十分に評価されることを目指していますが、CIは、最も測定が難しい便益が、自然のオプション価値であると考えています。しかし、深刻な問題のいくつかに対しては、時間や、そして自然が解決策を提供してくれる場合があります。

例えば、植物、サンゴ、その他の形態の生物多様性の中に自然に見られる化合物は、作物を守るための殺虫剤や防カビ剤だけでなく、驚くほど効果を持つ人間用医薬をも同時に提供してきました。私たちの生物多様性保全活動によって、地球の生物種がもたらす膨大な化合物、遺伝資源その他の恩恵を、既存の諸問題に対する新しい解決策として利用できるようになりましたが、自然を保全することは、未発見の問題の解決にも役立ちます。例えば、CIが保護支援した森林は、大気中の二酸化炭素を吸収し、森林の生きた組織の中に炭素を貯留するという点で、気候変動に対し有効な働きをします。そのようにして森林は、最も有効な地球温暖化対策として考えられるようになりました。CIは、自然のオプション価値を継続して享受できるために活動を続けています。CIは、活動する地域の生物多様性の全てを保全し、オプション価値が近い将来さらに定量化しやすい現実世界の値になることを示す、さらなる根拠について調査しています。

自然の恵みを守る取り組み
現在、CIが優先する地域の多くには、潜在的な生態系サービスが地球上で最も高度に集中しています。例えば、アマゾンの原生自然地域は、地球最大の淡水生態系です。生態系を守り、次世代への水供給の利用を維持しているのです。個々の生物種と化合物の隠れた経済的評価が加われば、これらの地域の価値はさらに高まるはずです。
 
ハリケーン・カトリーナや2004年のインド洋津波のような天災の影響は、生態系サービス(ハリケーンでは"湿地"、津波では"マングローブ")が健全であれば軽減されたはずだという点について、市民の認識が高まったことは、自然のオプション価値が持つ"保険"としての意味への理解が深まったことを示します。気候変動のもとで、さらに深刻な出来事がますます頻繁に発生することが予想されるなか、沿岸生態系サービスの暴風雨軽減能力によって救われる人命の数やインフラの価値を定量化することはできませんが、近い将来、これらの要素がもっと人々へ理解される可能性は高いでしょう。

製薬業界は現在、基本的に研究材料の調査に重点を置いていますが、他の研究開発セクターは、バイオ燃料、バイオテクノロジー、低コストの食品蛋白質摂取源の開発、バイオミミクリーなど、別の分野でバイオプロスペクティングを活発化させる動きを見せ始めています。

未知の可能性
いずれの場合もCIは、これらの可能性と広がる収入の流れが、特に地元の人々との間で公平に分配されるよう努めています。地元の人々は多くの場合、オプション価値の根源である生物多様性の管理者であるからです。CIは、人類の未来が最終的に依存する生物多様性が、短期的なニーズに対応して策定された開発政策やビジネスプラクティスによって侵害されることのないよう、公共セクターと民間セクターの両方に関与しています。私たちは、生物多様性のオプション価値を認識し、保全し、その喪失を防ぐため、グローバルな取り組みにおいて媒介役としての役割を果たさなければなりません。
 
 
 
 
 
 
速いことは必ずしも良いことではありません。例えば、生物種は20分におよそ1種の速さで絶滅に向かっていると推定されます。これは、地球の歴史における標準値の1000倍にあたるペースです。速いだけではなく、コントロールもできない状態にあり、明らかによくない状況であるといえます。