生物多様性保全のための重要地域(KBA)
Piotr Nasckrecki
 
 

生物多様性ホットスポットは、地球全体のスケールでの保全上重要な地域ですが、限られた時間と資源で保全活動を実際に進めていくためには、科学的かつ世界的な文脈の中で保護すべき場所を特定し、具体的に何をすべきかを明確にする必要があります。KBAとは、危機性と非代替性の基準(表1)を用いて選定される生物多様性の保全上重要な地域です。

危機性については、IUCNレッドリストでCRENまたはVUとされている種が生育・生息していることを基準に地域を選びます。また、非代替性は、希少種以外も対象とし、ある種が安定的に個体群を維持するのに欠かせない場所を選ぶための基準です。 

生物多様性の保全上重要な地域を選ぶ取組は、KBAの他にもあります。

IBAImportant Bird Area: 重要野鳥生息地)は鳥類の視点から選ばれた重要地域で、現在、約170カ国で選定されています。その他、植物を対象としたIPAImportant Plant Area)、絶滅危機度の評価が特に高く生息地が1か所のみの種を対象としたAZEサイト(Alliance for Zero Extinctionサイト)などがあります。これらは、KBAの選定手法と整合性が強く、KBAの構成要素といえます。こうして選ばれた全ての地域の保護が法的に担保されているわけではなく、保護地域外の重要地域は「ギャップ」と呼ばれます。

KBAの境界線は、対象種の生存を確保するのに必要な範囲を包含するように選び、その大きさについて画一的な決まりはありません。この際、実際の管理の利便性や効率、既存の保護地域の境界線など考慮して設定されます。重要な生息地が既存の保護地域の外にある場合は、新たな保護指定や、既存の保護地域の拡大によって保護が担保されるように提言していきます。 

CIでは、経団連自然保護基金の支援を受け、2009より日本国内のKBAの選定に取り組んでいます。これまでに、危機性の基準を満たす哺乳類と両生類を対象に、環境省の自然環境保全基礎調査や既存文献を主な情報源として調査を行いました。2010年は、爬虫類、淡水魚類、トンボ類を対象に調査を続けています。