​​​​​​​​​​2014年「ODA大綱の見直し」について​

​「環境」対「開発」から
​相乗効果をもたらす社会づくりへ

peru-mts.jpg 

© Luana Luna​

ODA大綱見直しの背景​:
政府開発援助(ODA)は、CIが目指す持続可能な社会を実現するために、非常に重要な手段です。そのあり方を示すのが、「ODA大綱」です。現在のODA大綱は、2003年に発表されたもので、2014年3月31日、岸田外務大臣はこれを見直すことを表明しました。見直しのプロセスは、外相のもとに「ODA大綱を見直す有識者懇談会」を設置、6月に報告書をまとめ、2014年内に新たなODA大綱を閣議決定するという性急なものであったため、CIジャパンは他のNGOと協力して、NGOからの声を新たなODA大綱に盛り込むための働きかけを続けてきました。

主に「(社会)開発系」NGOの間では、ODAを軍事に使用することへの懸念、また経済成長への偏重により貧困解消、格差是正、ジェンダー問題など、「開発」の重要要素が疎かにされることへの懸念が強くあります。CIジャパンとしては、「環境」が全ての人間活動の基盤であり、人間の幸福を生み出す資本であるという考えに基づき、提言をしてきました。

現行ODA大綱にある「援助実施の原則」(いわゆるODA四原則)のひとつとして、「環境と開発を両立させる」ことを掲げています。CIジャパンでは、これをさらに発展させる必要があると考えます。特に、「環境」対「開発」という構図を、相乗効果をもたらす構図に変えていかなければなりません。議論の焦点が「経済成長が環境への悪影響を起こさないこと」にとどまらず、経済発展を環境の改善につなげたり、良好な環境が好調な経済に結びつくような社会を目指すことが重要です。生物多様性、生態系、自然資本などを守ることは、社会への「コスト」や開発の「障壁」ではなく、可能性を確保したり拡大したりする「投資」であるという視点が求められます。この視点を、自然との共生を文化として持つ日本のODAに明確に表すことは、非常に意義深いことと考えます。同時に、現在の日本人の生活は、海外の環境に支えられていることを忘れるわけにはいきません。

ODA と環境について = 「環境容量」が飽和する中で、環境と開発を融合させる ODA に 
(JANICのもとで協力してまとめた「ODA 大綱見直しに関する NGO の論点整理」より)

 現代の世界では、世界の人口増加が続き、自然資源を含む生態系サービスへの依存が増加し、さらに気候変動が急速に進んでいます。その中で、貧困・格差を解消し、持続可能な発展を実現するためには、これまで通りの開発のやり方を繰り返しているわけにはいきません。地球環境と開発の両立の確立が急務です。環境負荷を受け入れる地球の「環境容量」は飽和しつつあり、環境面の担保の無い開発の推進は、持続可能性が無いばかりでなく、将来的に高コストになると指摘されています。また、水、食料、木材などの自然資源、安定した気候、土壌の保持、自然災害の緩和機能などが脅かされることによって、社会不安や地域紛争が引き起こされる可能性も高まります。 
 その中で日本の ODA が果たすべき役割は、「do no harm」といった、ODA 事業による環境負荷の回避や緩和だけに留まらず、健全な環境を積極的に維持・再生し、自然環境と有機的に融合する社会を構築していくことにあります。 ​

(1) 地球益あっての国益 
  国民生活や産業、経済に必須な物資を海外に強く依存している日本の国益は、安定した世界と環境に支えられたものです。自然に強く依存する途上国において、人口増加、気候変動、持続可能性のない開発などの大きな変化は、直接的に安定や平和の損失につながり得ます。これは、日本の国益にとっても好ましくない状況です。短期的・直接的な便益のみを国益と捉えるのではなく、地球環境の保全、再生という地球益も長期的・間接的な国益として捉える発想が求められます。

CIジャパンの考え:
ODAが日本の利益を中心に考える国益を目指して進めていては、様々な条約の下での国際合意が実現されません。例えば、生物多様性条約では、2020年までに世界の生態系を回復力のあるものにし、かつ生態系サービスが享受し続けられるようにするため、生物多様性の損失を止めるために効果的かつ緊急な行動を実施することを掲げていますし、そのための資金を含む様々な資源動員を進めることとしています。これはつまり、持続可能な社会を作るという約束です。さらに、2011年から2020年は、日本の発案により「国連生物多様性の10年」とされ、この課題に集中して取り組むこととされています。そのために日本は、世界全体の将来を考えて行動する必要性がありますし、良好な開発と良好な環境は同じ方向を向いたものでなければなりません。さらに、2030年を目標年として現在作成作業が進められている持続可能な開発目標 (SDGs: Sustainable Development Goals) でも、持続可能な開発のためには環境が不可欠であることが認識されています。ODAは、国際協力の主要な手段の一つであることは間違いなく、日本が受ける期待に応え、担うべき役割を果たしていくためには、「環境」を具体的かつ効果的に扱うODA大綱が必要です。​

 これまでNGOのパートナーと協働で作成・賛同したODA大綱改定に関する声明等は、こちらのページでご覧いただけます。​​​