25 and Counting
 
 
始まりから25年、そしてこれから・・・
コンサベーション・インターナショナル創立25年の節目

cupcakes1.jpg2012年、コンサベーション・インターナショナル(CI)は創立から25年を迎えました。
改めて、皆様へ感謝を申し上げます。
CIはこれから更なる目標を掲げ、将来世代にとっても大切な自然の保護に取り組んで参ります。
 
自然生態系と人との関わりを重視して環境問題を解決することを目指して、設立されたコンサベーション・インターナショナル(CI)は、25周年を記念し、これまでCIが成し遂げた実績を振り返るとともに、今後の抱負について、CI本部スタッフが創設者セリグマンと会長のミッターマイヤーへ取材しました。






始まりから25年、そしてこれから・・・
現在およそ30カ国で、約900人以上の多様で情熱に満ちた自然保護専門家が活動している国際環境NGOコンサベーション・インターナショナル(CI)は、
25
年前の1月、ワシントンD.Cでもっとも古いホテル、タバード・インで活動家ピーター・セリグマンとスペンサー・ビーブによって設立されました。

「当時は今とは時代が違いました。企業は自然保護を考えもしていなかったし、政府も優先していかなかったし、学校でも教えなかった。『自然と人類は根本的につながっている』という概念は誰の頭にもありませんでした。
だからこそ私たちは、そのことを示し、人類の繁栄のためには、環境保全と経済が安定することの結びつきを明らかにすることが極めて重要であると思ったのです。」CI最高経営責任者(CEO)セリグマン理事長は言います。
最初の1年目はセリグマンとビーブが活動していたことのあるボリビアとコスタリカ、メキシコの3カ国の地域コミュニティと関係を築くことに特に力を入れました。同年、35人のスタッフが新たに加わりました。スタッフは皆、市民や政府、企業の天然資源の価値に対する考え方を変え、それらを扱う方法に革命を起こすのだという強い信念をもっていました。
「環境保全で成功するためには、地元の人を巻き込んで能力育成をし、自国の自然環境を使うことができる権利を認め、その管理を任せることが必要だと確信していました」とイエール大学林学環境学スクールで教育を受けたセリグマンは言います。「そして私たちの環境保全が人々に与える影響を意味のあるものにするためには、自然科学者や自然保護活動家だけでなく社会科学者や経済学者も引き入れないといけないと強く感じたのです。」
CIの創立メンバー達はそうした夢を実現するため、自ら借金をしてまで、私生活をかえりみず働きました。
今振り返れば、その努力の甲斐はありました。
CIは現在、第3者評価機関が行うNGO評価で上位にランク付けされる団体です。年間予算が約15千万米ドル(125億円)40カ国以上で1000を超えるパートナーたちと保全のための資金を獲得しています。これまでに世界中で1600万㌶(陸域で5100万㌶、海域で5500万㌶)の保護地域設立に貢献しています。保全の緊急性が高い地域では、長期間にわたって保護する取り組みを支援するために画期的な資金調達方法を生み出し、公園や保護地域を生み出す草分け的な環境債務スワップを支援しました。

また、生物多様性の豊かな国が環境保全の取り組みを優先的に行うことを助けるため、何百という新種を発見し、地域固有の種を調査し、記録し、世界中の地元住民と協力して‘生物多様性の管理者’という彼らの役割を支援し、持続可能な発展を支持する政策や企業の決断に影響を与えました。
「私たちのアプローチは幅広いですが戦略的です。科学者が、生物多様性と人間の福利のために緊急度が最も高いと選定した場所に注力しているからです。またパートナーショップにも重きを置いています」とセリグマンは言います。「泥の中をはいずりまわる努力をしてきて今、頭を空にかかげて思うことは、人々の行動を変え、持続可能な発展を成し遂げる最も効果的な方法は、影響力の最も大きな人たちを集めて、私たちの専門技能を提供し、現場から良い影響を広めていくことだということです。」
世界的に有名な霊長類学者であり、フィールド生物学者であるラッセル・ミッターマイヤーは、6か国語を流暢に操り、これまで25冊の書籍、655の科学論文を執筆し、年間200日以上を世界中の保全プロジェクト現場やそのリーダーたちへの訪問に費やします。ミッターマイヤーは1989年にコンサベーション・インターナショナルの会長に就任し、今日に至るまでセリグマンと共に組織を率いています。
 
ミッターマイヤーは、次のように述べます。「我々の保全戦略は常に、最も有効な科学的知見に基づいて、優先的に取組を進めるべき地域を選び、支援を決定してきました。その基盤があるからこそ、正当な意思決定を支援し、助言することができるのです。しかし一方で、保全のアプローチの仕方は、過去25年の間変化してきました。」
 
「最初の頃は、生物多様性にとって安全な場所を作ることで、種や生態系の喪失を防げると考え、生物多様性ホットスポットの中に、保護地域を作ることに重点的に取り組みました。多様な種の保護地域を作ることは、保全目標を達成するために最も重要なことであり、また、そうした地域は世界中の人間にとっても根本的に重要な場所なのです。しかし今日、我々はその取り組みだけでは充分でないと認識しています。依然として種の数は減り、人間を含む生物の生活基盤となる多くの生息環境は劣化し続け、人口の大部分は、未だに貧困状態の中で生活しています。自然はそれ自体が保全に値するということだけでなく、長期にわたって人間生活を支える最も重要な基盤であるという認識を持って、もっと広義の課題設定を行い、大きな視点で考える必要があるのです。」
 
そうしたことを考慮し、2010CIは、組織のミッションを見直し、取り組みの範囲と規模を地球全域に広げました。それは、増加していく人口を支えるためには不可欠な、食糧、水、衛生、生物多様性、自然文化遺産、気候の安定など、健全な生態系と物やサービスのつながりにより広範囲に取り組み、分野を広げ、現代で最も困難である環境問題に取り組むための見直しでした。また、地球規模で保全のイニシアティブを取るため、人間開発に投資する国際銀行や市民社会、基金と新しいパートナーシップを築いています。

セリグマンは、次のように述べます。
「自然遺産を守るため、自然保護区や公園を作ることに重点的に取り組んでいましたが、時とともに、保全のアプローチを再構築する必要があると感じ始めました。私たちは、今ある全ての知見を用いて、地球規模の貧困や食糧不安、水不足、経済発展、サプライチェーンなど、政府や企業が直面しているあらゆる規模の課題に取り組みます。今後25年は、我々の共通の課題に、情熱を持って、知識を総動員し共同で取り組むべく、新しい提携を組み、多くの人々を保全の取り組みに巻き込む必要があります。そのためにはまず、現場で保全の概念を実証し、より広い地域に解決策を共有・拡大していき、地域社会、企業、銀行や政府が、保全に対して正しい理解と賢明な動機を持ち、持続可能な経営を行い、自然資産を適正に評価できることが大切です。現場の取り組みというボトムアップと政策提言というトップダウンのアプローチは、保全に向けた支援の流れを大きく変える最良の方法だと考えています。」
 
25年間にわたって、CIは、世界中でパートナーと仕事をしてきました。その間に団体のロゴは3回変更されました。最も新しいロゴは、持続的で環境や社会に配慮した開発の選択に支えられた健康な青い地球をあらわしています。
CIの目指す成功とは、CIが保全を実施する地域に住み、その自然生態系に依存して生活している人々に、保全活動が明らかな便益をもたらということを実証することです。そして私たちの課題は、種と生態系を含む、自然を保全することが、経済発展と人間の幸福のために不可欠である、ということへの理解を含んだ「開発」を進めること、現代でもっとも力強い社会的な動きを作り出すことです。
 
25周年にあたって、CIの共同創立者であるスペンサー・ビーブは、理事会やスタッフに祝辞を送りました。彼は後にCIから移り、オレゴン州ポートランドにあるエコツーリスト協会を立ち上げ、組織を率いています。
CIは勇敢な人が集まったチームです。信念をより自然な発展モデルにすることができます。人や場所がもつさまざまな特徴を越えて、全体の底上げを実現します。」

CIの理事兼役員のウィリアム・リグレイ・ジュニアは、次のように述べます。
CIはユニークな組織です。科学的で実践的な考え方ができ、それを直ちに実証可能な行動に移し、人類や環境にプラスの影響を与えることができる、驚くべき能力を持っているのです。過去25年間のCIの成果は、驚異的と言わざるを得ません。CIが推進する人類にとって意義のある変化は、年々スピードを上げているようです。」
 
セリグマンは、言います。「25年前、我々は何とかなると信じていました。当時の状況から飛び出し、あらゆる困難を乗り越えて実績を積み重ねてきました。我々は今日、同じように信じています。次の40年、人口は90億人を超え、今世紀の終わりまでに100億人を増え、深刻な問題となるでしょう。エネルギー、食糧、水の需要は次の40年で2倍となりますが、この増加する人類の需要を満たすことができるのは、地球だけです。保全はもはや、できたらいいことではなく、しなければならないことなのです。ペースを落とすわけにはいきません。本気で、真剣に取り組まねばなりません。」
 
 
1987年~2012年 主な活動成果 *抜粋
 
自然保護債務スワップ:
自然保護債務スワップにおけるCIの革新的なリーダーシップが始まったのは、CIの設立年でもある1987年に、ボリビアが民間債権者から負っていた債務の一部をCIが購入した時に遡る。その引き換えとして、ボリビア政府はその資金をベニ生物圏保護地区内及び周辺の150万㌶に及ぶ土地の保護に充てた。それ以来CIとそのパートナーは,以下に述べる様々な自然保護債務スワップ取引において重要な役割を果たしてきた。2004・・アメリカ合衆国とコロンビア共和国が自然保護債務スワップに合意し、1,000万ドルの債務が免除となった。取引の一部として、コロンビア政府は最低1,000万ドルをむこう12年間に亘り、445万㌶の熱帯雨林の保護に投資することに同意した。この取引には,CIが運営するグローバル・コンサーベーション・ファンド(GCF)、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)、世界自然保護基金(WWF)が合計140万ドルを貢献した。2006・・・アメリカ合衆国とグアテマラ共和国が、2,400万ドルに及ぶ債務帳消しに合意した時も、CIが重要な役割を果たし、同規模の資金が15年間に亘り環境保護のための地域補助金として使われることになった。CIはこの取り決めにおいて100万ドルを貢献し、そのうち70万ドルはGCFから、残りはCIが共同運営を努めるクリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)から拠出した。TNCもこの取り決めのパートナーであった。2007・・・アメリカ合衆国がコスタリカ共和国に対する2600万ドル分の債権を免除する引き換えに、コスタリカは同規模の金額を国内の6つの重要自然地域の保護に使うことに同意。CITNCはこの債務の購入にも貢献した。
 
 
生物多様性ホットスポット:
1989年にCIは,イギリスの生態学者ノーマン・マイヤーズ氏が提唱した生物多様性ホットスポットという概念を取り入れた。生物多様性ホットスポットとは、地球上でもっとも生物多様性が豊かであるにもかかわらず、同時にもっとも破壊の危機に瀕している地域のことである。この1999年の分析では25の地域が生物多様性ホットスポットとして選ばれ、世界的な環境保護戦略の上で重要な枠組みとなった。ホットスポットには絶滅が危惧されている哺乳類、鳥類、両性類の75%、全維管束植物の50%、陸上の脊椎動物の42%が生息しているが、その中に残されたもともとの自然の合計面積は地球上の陸地面積のわずか2.3%を占めるに過ぎない。それぞれのホットスポットは本来の自然植生の70%以上を既に失っており、重大な脅威に直面している。2012年現在、35の生物多様性ホットスポットがある。
 
 
ラピッド・アセスメント・プログラム/短期集中調査プログラム(RAP):
RAPは、1990年に、短い期間で生態系の健康状態を的確に評価するために始められた、様々な分野の一流の研究者からなる生態学の「SWAT」チームである。このプログラムはこれまでに27ヶ国で80件の調査を行い、2,100万㌶の保護地域の設立あるいは改善、また1,300の新種の発見に貢献した。またこれらのRAP調査は、調査対象の国やコミュニティの経済に5,300万ドル以上の資金をもたらし、さらに発展途上国の400人以上の学生や科学者に対して研修を行ってきた。これまでに発見された種の中には、「ウォーキング・シャーク」、「ヨーダ・コウモリ」、また「ETサラマンダー」などと名付けられた「RAPスター」もある。

クリティカル・エコシステム・パートナーシップ・ファンド(CEPF):
CIのリーダーシップの下、2000年に作られた融資メカニズムであるCEPFは、生物多様性が豊かでありながら、その生態系が著しく危機的な状況にある「生物多様性ホットスポット」の保全活動を支援するために設立された共同基金である。CEPFは、市民社会団体に対して直接的な支援をすることが可能である。CEPFは、CI、フランス開発庁、地球環境ファシリティ、日本政府、マッカーサー財団、そして世界銀行の共同拠出で作られた基金で、CIが事務局を担っている。設立以来、既に13700万ドルの拠出を約束しており、さらに53ヶ国において1,600以上の市民社会団体が実施する様々な生物多様性ホットスポット保全プロジェクトのための資金として、追加の32000万ドルを調達している。この基金により、対象地域の保全活動グループは強化され、これまで1,200万ヘクタールに及ぶ保護地域が新設または拡大されている。また、世界的に重要な2,100万㌶の地域ではその管理方法に改善がみられる。
 
CIのグローバル・コンサーベーション・ファンド(GCF):
GCFは、新規の保護区の創設、既存の保護区の拡大、そして保護区における長期的な管理に対して資金を供与し、生物多様性ホットスポットが危機的状況を回避するのを助けるために活動するパートナーを支援する。2001年に設立され、ゴードン&ベティ・ムーア財団が出資した1億ドルの資金を元にGCFは始まった。この基金は、生物多様性ホットスポットや生物多様性が高い地域における新規の保護区の創設を支援し,7,900万㌶の陸地・海洋保護区の新規創設・拡大に貢献している。GCFCIの地域プログラムをはじめ,TNC,マダガスカルのFANAMBY協会、野鳥保護ローヤル・ソサエティ、またブラジル生物多様性基金など、40以上のパートナーを支援してきた。


先住民族・伝統民族プログラム(ITPPIndigenous and Traditional People’s Program
先住民や伝統民族の適応能力を強化し、彼らと環境活動家が共通の目的に向かって、政策を通じた実践的なパートナーシップを世界的レベルで組むための取り組みをしてきたCIは、2003年に「先住民族・伝統民族プログラム」を創設した。このプログラムは、透明性を確保しながら、先住民が参加のできるしくみであり、関係者の合意に基づく自己解決を促進し、自己決定、文化の独自性、伝統や伝承から得る知識、土地所有の体系、紛争の解決に焦点を合わせた環境保全プログラムである。過去20年間を通じて最も重要なCIの取り組みに、ブラジルのアマゾン先住民、カヤポ族、南スリナムのトリオ族、ガイアナのワイ-ワイ(Wai-Wai)族とのパートナーシップがある。 今日では、CIは世界で50以上の先住民グループと連携し、ブラジルのカヤポ族とフィリピンのイゴロット族のリーダーをCI理事会のメンバーとして迎えている。 この協力的な取り組みは、成功への糸口となった。ワイ‐ワイ族が土地利用の権限を無条件で得られるよう援助し、カヤポ族を支援するための長期的な信託基金を創設した。また、地元コミュニティが森林を守ることで温室効果ガスの排出を削減する努力の対価を受け取るエクアドルのソシオ・ボスケプログラムを立ち上げなど、一連の成果につながっている。2011年、ITPPは、CIの新しいミッションである自然保護と人間の福利とのかかわりを考える新たな部署「社会政策と実践部門」の基盤となった。


環境とビジネス パートナーシップ・センター CELBCenter for Environmental Leadership in Business)
20
年以上にわたり、CIは自然保護と環境保全の実践活動をより向上させるため、企業との協業を積極的に行ってきた。2000年に設立したCELBを通じ、CIは健全な生態系人間の幸福のために、民間の発想力を活かし、環境へのインパクトを最小化することに取り組んでいる。ウォルマート、スターバックス、マリオットグループなどの様々なセクターの大手企業と協業することで、CIは、生物多様性と生態系サービスの保全策が効果的にビジネスの運用および供給ラインにきちんと組み込まれるよう、働きかけている。


シースケープ (Seascapes & Pacific Oceanscape)

近年、CIは戦略的な活動で違いをもたらすことのできる、優先度の高い海洋保全地域の持続可能な管理を支援することに注力してきた。この重要な海域(シースケープ)は、インドネシア、フィリピン、ブラジル、コスタリカ、パナマ、コロンビア、エクアドル周辺にある。国境を越えて広がるシースケープは、沿岸地域の住民の生活を守るため、政府や多国籍企業などが協力して海洋生態系を守る舞台であるといえる。CIは、太平洋の島々のリーダーが立ち上げた、3,550万平方キロメートルという世界で最も広い政府が承認した海洋管理イニシアティブである「パシフィックオーシャンスケープ」の実施も支援している。この海域は、北米大陸を合わせた面積よりも広大であり、シースケープの保全戦略は周辺の島に住む人々と海洋生物が気候変動の影響に適応できるように、海洋生態系のレジリエンス(回復力)の構築することに焦点を当てている。


熱帯の生態系、評価、監視ネットワーク(TEAMThe Tropical Ecology, Assessment and Monitoring)
TEAM
は、科学者が地球上のどんな場所でも気候変動が熱帯生態系にどのような影響を及ぼしているか定量化できるよう標準化されたデータを使用した、生物多様性、生態系サービスおよび気候のモニタリング・システムである。
自然の早期警告システムとして、TEAMは、気候、炭素蓄積量、生物多様性などがどのように変化しているか、またそれらが人々に意味することに関するデータをほぼリアルタイムで提供している。
CI
により創設されたTEAMネットワークは、現在、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの17ヶ国で、CI、ミズーリ植物園、スミソニアン協会、野生動物保護協会(WCS)を含む、80以上の団体からなるネットワークである。
これまでに、定点カメラで脊椎動物の写真を350,000枚撮影し、IUCN種の保存委員会へ300を越える種の個体数情報を提供し、広範囲の森林炭素量をリモートセンシングで把握するために必要な参照データをNASAジェット推進研究所に提供している。また、気象観測ステーションから何百キロも離れた自然地域に世界気象機関(WMO)の基準に準拠した気象観測網を構築している。